最近読んだ本/トム・クランシー『米中開戦』全四巻 | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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トム・クランシー/マーク・グリーニー共著『米中開戦』全四巻・新潮文庫刊



昨年他界したベスト・セラー作家トム・クランシーの、ジャック・ライアン・シリーズの最新刊です。再びアメリカ合衆国の大統領となったジャック・ライアンと、その息子ジャック・ライアン・ジュニアの活躍を描く作品で、今回の敵は中華人民共和国の中央軍事委員会首席。中国による、アメリカに対するサイバー攻撃を主軸にして、世界の覇権を握ろうとする野望に対して、ジャック・ライアン大統領、そして息子のジュニアがどう活躍するかが見所の大作です。

実際の現実社会で、アメリカ政府機関やヨーロッパ各国機関、日本政府機関へのサイバー攻撃が問題になっており、その元凶が中国政府ではないかという調査結果がアメリカ国内で発表されるなど、経済面では好調な米中関係とは裏腹に、軍事的な覇権争いは確実に火花を散らしているのです。更に中国は、東シナ海においては日本との尖閣諸島の領有権問題を抱えていますが、同様に南シナ海でもフィリピン、ベトナム、マレーシアなどとの領土問題を抱えています。今作は、それらを包括的に見つめて、中国側のサイバー攻撃によりアメリカ国内の大きな混乱おこさせ、更にはアメリカの軍事活動能力を大幅に削いだ上で、南シナ海と台湾を手中に収めようとする中国首脳の企みが描かれます。

こうした、トク・クランシー特有の国際情勢分析に基づいて書かれた作品であるため、そのリアリティは半端ではありません。またCIA内部での情報漏洩などもその題材の一つとなっており、その視野の広さは、宇宙での各国の人工衛星による情報戦にまで及んでいることに驚かされるばかりです。

先週末から公開されている映画『エージェント・ライアン』は、このジャック・ライアン・シリーズのテイストを残したまま、オリジナルのストーリーを組上げたもので、この原作もますます注目されると思っていたところ、昨年末に原作者のトム・クランシーが急逝されたとのニュースが伝えられ、大きなショックを受けたものでした。しかし、まだ日本では出版されていないジャック・ライアン・シリーズがもう一作残されており、もう一度私たちを楽しませてもらえると知り、まだ楽しみが残されていることに感謝、感謝です。

全四巻に渡る大作ですが、その面白さは間違いないものでした。楽しませてもらいました。