ビートルズ、シングル盤私的雑感(その89)/『恋のアドバイス』(3) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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2月25日はジョージ・ハリスンの71回目の誕生日でしたね。
昨日に続いて、1960年代から70年代にかけて、世界中で数多くリリースされた各国独自のビートルズのシングルの話です。今回も日本独自で企画されたシングル「恋のアドバイス(You’re Going To Lose That Girl)/テル・ミー・ホワット・ユー・シー」の話の続きです。


(日本では4曲入りEP盤も独自に企画、リリースされていました。『恋のアドバイス』もEP化されています。)

昨日は「恋のアドバイス」の成り立ちの話をしましたが、もう一つ大事なことがありました。バックの演奏は比較的シンプルであると書きましたが、ドラムスの隙間を埋めるためにボンゴが非常に効果的に使われています。この使用法は、「A Hard Day’s Night」でも効果的に使われていますね。先日観た映画『ビートルズと私』の中で、初期のビートルズのレコーディング・エンジニアを担当したノーマン・スミスが語っていたのですが、「A Hard Day’s Night」にボンゴを入れる様に勧めたのは彼だったとのこと。その時リンゴは、まだボンゴの叩き方を理解していなかったので、結局同曲でのボンゴはスミス自身が叩いたと語っていました。新事実ですね。まあこれは余談。

さて今度はB面の「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」の話です。これはポールの曲ですが、ジョンとのデュエットを当初より意図して作られたものと思われます。
ビートルズの楽曲は、ステレオ・ピクチャー(定位)を確認することで、そのレコーディングの進め方を知ることができます。と言うのも彼らのレコーディングのほとんどは4トラック・レコーダーによって録音されていますので、何度がオーバー・ダビングを繰り返すためには、トラックを節約しなければなりません。通常彼らが行ったのは、ドラムス、ベース、リズム・ギターのバックトラックをまとめて一つのトラックに詰め込み、空いている3つのトラックにボーカル、リードギターなどを加えるというレコーディング方法でした。

この「Tell Me What You See」の場合はどうでしょうか。ステレオの左チャンネルに入っているのが、ドラムス、ベース、ギター、ギロの四つの楽器です。恐らくバックトラックとして、4人でこれらの楽器を演奏したのでしょう。ギターのサウンドを確認すると恐らく12弦ギターと思われますが、これはジョージではなく、ジョンがこの64年の夏に入手した、リッケンバッカー325の12弦仕様のギターを使ったと思われます。そしてラテン・パーカッションのギロは、ジョージが演奏しているものと思われます。またその次に録られたのが、センターから聞こえるジョンとポールのボーカルで、ダブルトラックですのでこれで2つのトラックを使っています。最後に右チャンネルに入っている4トラック目が録られています。エレクトリック・ピアノはポール、タンバリンが恐らくリンゴ、クラベスがジョンで、ジョージが「Tell Me What You See」という歌詞の部分だけボーカルを加えています。ジョージのボーカルだけ右チャンネルに入っていますので、ジョンとポールのボーカルとは別に録られたことが判ります。こうやって、ビートルズの楽曲を聴いていくと、彼らがどうやってレコーディングを行ったか判ってきます。他の曲でも確認してみてください。

ビートルズの話は、また後日に。