☆心中常感謝無忘☆ -19ページ目

背中越しの愛 ⑳

好きな食べ物は?とか
好きな色は?とか
この辺に住んでるのか?とか。


亜希も当たり前に知ってた事。

俺は当たり前に知ってる事。


俺は亜希が言う、当たり前に知ってる事に…初めて知ったようなリアクションを取るのがきつかった。


でも…亜希のリアクションを見てて、
きっと…亜希は、感ずいている。

俺と、知り合ってた事。


そりゃ、あん時の亜希のお母さんのリアクションとか見てりゃ
気付くだろうけど。


亜希は、ものすごく…思い出せない自分に腹が立つような顔を何回もしてたのを
俺は見逃さなかった。


もし…
俺がいる事で、亜希を苦しめてしまうなら。

俺を思い出せない事で…
亜希が思い詰められるようになってしまうのなら…


…俺は…





…悲しい決断をしなきゃならない。



でも、

それが…
俺の決意する事だから。


俺が思う事はただ一つ。


亜希に…幸せになって欲しい。



それ以外は何も望まない。


例え、亜希にとって幸せなる人が俺以外でも…


亜希が笑顔でいれるなら、
笑顔でいれる為になら…




俺は、
亜希の前から――――――……。

読んでっちょ

背中越しの愛 ⑲

―――――


俺は亜希の手を握って亜希の家まで歩き出した。

亜希がこの海に座ってたのを見つけた時、戸惑いと期待でいっぱいだった。


この海は…亜希が入院する前に良く通ってた。

俺も亜希も海が大好きで、毎日表情の変わるのを楽しんでた。


俺、ここでプロポーズするんだって決めてた。
もうすぐ…結婚するんだって決めてた。


…だけど亜希が記憶喪失になってしまって…
それでも俺は、また亜希を振り向かせるんだ。

そう心にかたく決めて歩いてた時に、海に亜希の姿。


もしかして思い出したんじゃないかって。

俺と行ってた海の事。

…俺の事。



波打つ鼓動に耐えきれなくて、気付いたら亜希に近づいてて。

「覚えて…んべな?」

声をかけてた。


「雄輔…さん?」


…バカか俺。
亜希が…思い出してるはずが無い。

思い出したとしても、大切だった事は…
海の事はこんなに早く思い出さない。


俺は言いたかった言葉を飲み込んだ。


俺が覚えていれば…それで良い。
いつか亜希の記憶が戻るまで…
俺が覚えていれば、絆は変わらない。


そんな事を頭のスミで思いながら、亜希と話しながら家まで送った。

話したのは俺も亜希も知ってる事だった。