加賀百万石の城代家老・三船敏郎の愛娘の栗原小巻が次期藩主選びに絡んだ乗っ取りの阻止の為水戸光圀こと東野英治郎の元に向かっている途中で深江章喜が率いる追手に襲われた上に右腕の東野英心を失いますが、助三郎こと里見浩太郎・格之進こと大和田伸也に救われ命拾い、しかも静養先は運良く光圀の住む西山荘…事の経緯を聞き東野の御大は旅に出たものの、道中の柏崎で偽黄門一行(ハナ肇=黄門・植木等=助三郎・谷啓=格之進)に遭遇した上に利権に塗れた城下を粛正せざるを得なくなり、事の解決を済ました後に加賀へ入ったのですが…
出来の良さと高質感では月形龍之介が演じた東映京都制作の劇場公開版のシリーズに軍配が上がりますが(印籠の効力をむやみやたらと出さぬ点が特に美点)お茶の間の徹底娯楽路線に視点を変えてしまえば此方のテレビドラマ版は全く別の意味で楽しいし面白く、何度も観ている流れの筈なのに「飽きた!」等々とは微塵と感じぬ、正に「偉大なるマンネリ」の金字塔!寧ろ観ながら飲む酒が更に美味くなるのだから魔力以外の何者でもありません。これは俺の憶測ですが、岡田茂・東映名誉会長は当作制作当時「トラック野郎」の監督の鈴木則文に「一番星ブルースとキラキラ星を使わず制作する事。これは現場の営業の要請」と言ったとの話を見聞きした覚えがあるのですが、もしかすると併映作品が「偉大なるマンネリの金字塔・水戸黄門だったからでは?」と…「水戸黄門」の劇場公開作品化はかなり前から有ったものの紆余曲折を経てこの時期になったそうですし(ウィキペディア「水戸黄門(1978年の映画)」より)「トラック野郎シリーズ」も偉大なるマンネリの良さと意味を知るソクブン監督の代表作ですから「似た雰囲気の作品が重なるのを回避したいし双方共大人気作品!ならば作品としては先輩格の「水戸黄門」監督としては一年先輩の山内監督を立てよう。代わりに冠作品は「トラック野郎」で「水戸黄門」は併映扱い」としたのでは(現実には雰囲気の共通点が多いですし扱いは同格。しかも興行収入は二作品で10億円を超え日本映画収入ランキングでは昭和54年度の5位かつ当時も現在も人気作品で東映に利益を齎し観る側を喜ばせているのですから、結果良ければ全て良し!)。
出演者に目を向けても「水戸黄門」のレギュラー陣に加え「大岡越前」から竹脇無我・谷幹一・和田浩治「江戸を斬る」の鮎川いずみ、東野御大の実子の東野英心、そして遠藤太津朗は「銭形平次」深江章喜は「桃太郎侍」出演の間合いに此方にも?と勘繰ったり(東映の作品群は「間合い出演か?」と思われる場合が非常に多いですしそれを調べるのもまた楽しいです。これはヤクザ映画や刑事ドラマ、特撮でも同様の傾向があります)…更に「渡哲也版・浮浪雲」の新之助こと伊藤洋一、安部徹・河合伸旺・浜田寅彦・加藤嘉・汐路章・稲葉義男・富田仲次郎・牧冬吉等々東映作品には欠かせぬ悪役及び脇役御一行様の面々にかしまし娘迄登場する眼にも楽しい芸達者揃いで豪華絢爛!