大胆さの裏には炭鉱衰退の暗い現実…松竹「白昼堂々」渥美清/藤岡琢也/倍賞千恵子・野村芳太郎監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

今朝の5時に仕事を終え(先週の記事にも書きましたが)今週末は三連休の為、火曜日20時の始業時迄の休みとなっています。しかし来週末は日曜日は早くても5時終業→月曜日は11時始業ですので気持ちとしては複雑です。2.3時間の仮眠後洗濯・入浴・掃除・買物・昼飯を済ませこの記事を打ち込んでいますが再度就寝します。尚、休み明けには健康診断があるのですが、バリウムが苦手…まぁアレが好きな方は皆無と言っても差し支えが無いと思います。味もそうなら一緒に渡される粉薬で更に飲み難くなり、検診車内のベッドでは戻しそうになる程ぐるぐる廻され、検査終了後は錠剤を渡されるものの最低1日は腹の具合が…ねぇ。

 

 

そして毎度恒例、本日も簡単に…DVD化作品でひかりTVビデオ/U-NEXT(見放題対象作品)/DMM.TV内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

「白昼堂々」昭和43年10月26日公開・結城昌治原作・野村芳太郎脚色/監督兼任・松竹制作。

 

 

 

 

元・スリで東京のデパートの警備員となっていた藤岡琢也は旅行先の北九州で仕事をしていた女スリ・生田悦子を警察の手から救った事を切欠に元・スリ仲間の渥美清と再会します。藤岡さんが渥美さんから話を聞くと、一度はスリから足を洗い炭鉱夫となったものの閉山…そこで食う為に過去の経験を生かし炭鉱夫仲間とその家族と共にスリ稼業に再び手を染めていたのです。しかも渥美さんは東京を始めとする全国各地で大胆な万引き稼業を計画しており、そうして得た品物を現金化する役目を藤岡さんに依頼…藤岡さんは現在の立ち位置、そして自営業の女房・三原葉子と愛娘の顔がちらついたものの承諾します。そして東京では大胆な計画を実行しながら旧知のスリ専従刑事の有島一郎の自宅を訪れ酒盛り迄する度胸の良さと云うか…この計画は東京に留まらず大阪・名古屋等々大都市圏を転々としながら状況が悪くなると九州に戻るという繰り返しで足が付かぬまま1年が経過した頃、渥美さんが一目惚れした女の遣手スリ・倍賞千恵子が一味に加わった事で不協和音が…

 

 

 

 

高度経済成長・所得倍増等々といい言葉ばかりが並んでいた時代の蔭で、炭鉱業に代表される幾つかの産業・業界では目も当てられぬ程の衰退により食えぬ者が続出したり、落盤事故やガス噴出・坑内火災等々で天涯孤独となった者も…小手先の技や幾分の毒が効いた笑いの中にもその様状況に見舞われていた底辺の者達の生きる為ならなりふり構わぬ日常や、絵に描いた餅に踊らされて底辺で彷徨う者達の苦悩の現実を作り話ながらも知って貰おうとしたかの様な姿勢に骨格の太さを感じます。勿論「清貧」を貫いたり、新たな活躍の場で血の出る努力をして生活を立て直された方々も居られますし、スリや万引きは違法行為!しかし「悠長な事を言っていられぬ現実・学が無い者達が手っ取り早く金銭を得る方法・失業者や生活弱者に対する公的機関の対応の手薄さと腰を据えた長期的な対応策が為されていない事実」等々を思うと、渥美さんの行動は情状酌量の余地はありますし「一度足を洗いながらも再び手を貸す決断をした藤岡さん」「前科者で再度獲物とはなったものの、人格を否定してはいなかった上に社会構造の不備も事件を起こした理由と理解をしていたかの様な有島さん」の心中にもこの様な思いが宿っていたのでは?

 

 

そして「渥美・倍賞コンビ」ではお二方の代表作品かつ役柄は押しも押されぬ代名詞の「男はつらいよシリーズ」よりも、当作品に於ける「一年契約で毎年更改を行う変わった婚姻方法を強く希望し渥美さんと所帯を持った倍賞さん」の方が俺は好み!最終盤では服役中の渥美さんに代わり家を守りスリ仲間の頭代行となり、右太股の刺青とハクい啖呵で警察を追い払うものの、渥美さんの持病「警察じんましん」を発症する様になった倍賞さんを観ていると「志村けんのバラエティー番組で「男はつらいよ」を模倣したコントや「変なおばさん」で爛々と楽しそうに遣っていたのは伊達ではない!大女優らしいサービス精神!」と改めて感じます。余談ですが、フランキー堺と共演された別な松竹作品では抜群のプロポーションを披露したビキニ姿や、酒と煙草を手にしながら酔い潰れる芝居等々も見せてくれていますので、さくら役では観られない芝居をこれからも探して行きたいものですし、80代を迎えても美貌や雰囲気は若年期と大きく変わらぬ点は、いい意味での魔女!