高教組VS国鉄は何方に軍配?高原プロ/東映「高原に列車が走った」美保純・佐伯孚治監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

実は本日午前中に投稿した日活ロマンポルノ作品の記事が再び公開停止となりました。文面や掲載写真を一つ一つ確認してはみたものの何が理由となったのかは全く解りません。ですのでこの記事に関してはこのままにし、細部を検証・書き直しした上で後日再掲載致します。いいねを下さった方々が居られますが再掲載時それが全て消える可能性もありますのでその際は何卒ご容赦下さい。しかし他のブログサイトや各情報サイトで使用されている言葉や表現・写真等々を確認した上で使用をしているのにアメーバでは駄目とは…この判断基準の狭さは何故なのか疑問、もっと一般的な判断を求めますし古き良き大らかな時代の感覚を持って欲しいと願います。全てを現代の感覚に合わせるのが正しいどころか過去の経験から言って間違いが多いですし人間同士の心が通っていないと強く感じます。更に言わせて貰いたいのはポルノ映画やピンク映画は立派な庶民の娯楽かつ表向きの内容のみで全てを判断するのは絶対に間違っていますし、今後も同様の事態が起きる可能性はありますが俺はポルノ・ピンク映画の紹介は絶対にやめません!

 

 

●R5・7月1日(土)20:10頃追記 当該記事に関しては一部文面・写真を変更の上7月2日(日)00:00に再更新してみます。再度公開停止となった場合は何卒ご容赦下さい。

 

 

さて、本日よりAmazonプライムビデオ「東映オンデマンド」内に於いて「非情のライセンス・第1シリーズ1~10話」「若山富三郎の極道シリーズの一部の作品(再開)」等々と共に配信が開始された作品です。組合活動に熱心な社員を送り込む為に設立された東映東京制作所が閉鎖の危機に見舞われた際、制作所の幹部が岡田茂・前東映名誉会長に「国鉄労働組合・各都道府県教職員組合の組織動員が見込める」(実際には小規模の公開となった模様です)と直訴し制作された作品との事。尚、細部に差異があるものの実話を元にしています。

 

 

「高原に列車が走った」昭和59年9月29日公開・中沢憲一原作・本田英郎/佐伯孚治の共同脚本・佐伯孚治監督・高原プロダクション/東映東京制作所の共同制作・東映セントラルフィルム配給。未DVD化作品で先述の通り昨日よりAmazonプライムビデオ内「東映オンデマンド」に於いて有料動画配信が行われています。尚、昭和59年度の文化庁芸術祭参加作品で舞台となった長野県内の各団体の後援・推薦等々を受けていますし、制作には国鉄労働組合(東京・高崎・長野・静岡の各地本)・長野県高等学校教職員組合が協力をしています。

 

 

 

 

音大を卒業しながらも定職に就かずブラブラしていた上に西田敏行からの求婚を断った美保純は心機一転、長野・小諸の高校で音楽担当の臨時教員として赴任する事となりました。一般的な教員像とは異なるだけではなく「何方が教師か生徒か見分けが付かぬ様な行動・言動」であった純さんでしたがその姿勢が劣等生や不良学生の心を開き「誰にも話せぬ事でも相談出来る存在」になって行くのです。何せ単車を乗り回し「田舎者が金を得るならシンガーソングライターしか無い!」と自作曲の出来で個々の成績を決めると言いだし実行したり、両親が煙草を扱う商店の息子で同級生に煙草を売っていると知るやその生徒を人の居ない場所に呼び出してツケで煙草を買ってしまう様な女…その頃勤務先の高校や長野県高教組小諸支部では「普通列車の空白時間が長い事が非行に結び付いているのでは?」(列車の待ち時間に喫茶店やゲームセンターに立ち寄る、等々)との判断から長野鉄道管理局に信越本線・小諸↔軽井沢間の普通列車増発を請願していたものの巨額の累積赤字を抱えているとの理由から前に進まない…そんな活動を始めは冷ややかに見つめていた純さんでしたが、自身の高校の女子生徒が売春目的で見知らぬ男性と高崎に向かった事を知るや普通列車増発運動に率先して参加する様になり…

 

 

 

 

佐伯監督が手掛けられた劇場公開作品は東映東京「どろ犬」とこの「高原に列車が走った」のみで他は特撮作品を含めた東映のテレビドラマ作品が主体。「どろ犬」を初めて鑑賞した際「この実力が劇場公開作品で発揮されなかったのは(大川博・初代東映社長の自宅に先頭を切ってデモを仕掛けたのが辛酸を舐める理由であったとは云え)非常に勿体無い」と感じた程。そして、佐伯監督が手掛けられた特撮作品を含むテレビドラマを抜き出して東映chで観ると「役者の中でも特に女優の魅力と老若男女を問わず心の奥底に眠る叫びを演出するのが非常に巧い」とも…当作品に関しては「列車増発問題か?純さんの魅力追求か?何方か一方に的を絞るべきだったのではないか?」等々の意見が識者を中心に見受けられましたが「女優遣いが巧くて組合活動にも熱心な佐伯監督にとっては一石二鳥の最良の題材であった」と俺は感じました。言動がはっきりしている純さんの素の人間性をそのまま役柄に移行させフィルムに焼き付け、日活ロマンポルノ「ピンクのカーテン」「OH!タカラヅカ」松竹「ロケーション」等々と共に「美保純の代表作」とも言えますし、高教組本部の後援が無い活動を成功させる為に支部員が奮闘する姿だけではなく、現場をよく知る国労組合員が「不良化よりも子供達を数時間も待たせる現状がいけない」「特急増発・普通減便が地域住民に多大な影響を与えている現状」等々を絡めて国鉄本社に訴え、更には組合員の決断が前進に役立った事実がしっかりと描かれています。

 

 

そして純さんの天真爛漫さや奇想天外さは多くの場面で笑いを誘い、題材が硬質な割には観る側を疲弊させないのは美点!周囲を固めるのも高教組の支部長ながら純さんを「可愛い!」と目を細める室田日出男やオカマ教師の石山律雄(現・石山輝夫)・小諸駅前交番の巡査で純さんに振り回される所ジョージ・友情出演で出番は15秒程ながら腹の太さを見せ付けた丹波哲郎等々、役者探しをしながら鑑賞する楽しみも兼ね備えています。