蒸発した女房を追い海を越え…日活ロマンポルノ「色情旅行・香港慕情」宮下順子/片桐夕子/小川節子 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日22時に勤務を終え、月曜日からは14時勤務開始に変更となりました。そして少しではあるものの今年も給与のベースアップを実施してくれた事に感謝!因みに前の職場は10年勤務して時給換算で100円しか上がらなかったのに対し現職場は2年半の勤務で毎年ベースアップをして下さったお陰で60円上昇しています。雇用形態が前職の契約社員から現在は派遣社員とはなってしまい年収は下がったもののこの心遣いは嬉しいですし「衰え続ける身体に鞭を打ってでも!」と組織に尽くそうとなります。そして一時期雇用形態に固執した時期があったのですが、現在では全く気にならなくなりました…気持ち次第で如何様にでもなりますし、考えて使う様になった分貯蓄額は賞与を頂戴していた頃よりも多い位です。今東光が話されていた「人間金銭が有ると努力も勉強も疎かになるが、無いと先述の二つをしっかりとしているもの」と云うのは本当だなぁとも感じています。

 

 

さて本日は「恐らく…日活ロマンポルノ初の海外撮影作品ではないか?」と思われる作品です。公開時期が時期だけに「団地妻の宮下順子・清純路線の片桐夕子・そして時代劇の小川節子の豪華な顔合わせに相応しい舞台=香港」となったのか…因みに三人共に現役を続けられています(小川さんに関しては数年前に女優復帰)。

 

 

「色情旅行・香港慕情」昭和48年8月4日公開・中島丈博脚本・小沼勝監督・日活制作。DVD化作品でU-NEXT(見放題対象作品)/Amazonプライムビデオ内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

商社勤めの井上博一が自宅へ戻ると女房の宮下順子の置き手紙が…その事を宮下さんの実妹・小川節子に伝えると「姉は香港に行った」との回答。その時井上さんの脳裏には後輩が上司の出張に同行し香港に向かった事と何か関係があるのかと浮かんだ為に自らも香港へ飛びます。そして香港の支社を訪れた井上さんが支社長から聞いた話は「後輩が香港到着直後に出張旅費を持ち逃げし行方不明である事実」。伝手も宛てもないまま香港の街を彷徨い続けても宮下さんが見つかる筈が無いばかりか有給休暇もあっと云う間に無くなってしまう…そこで井上さんは或る騒動の際自らを救ってくれた上に宮下さんと瓜二つの中国人売春婦を厚意で斡旋してくれた香港在住の日本人で売春宿を営むやかた和彦の助言を受け、有給休暇消化後も香港に腰を落ち着けて探し続ける決断をしましたが、ふとした事を切欠に覚醒剤に溺れ、更にはやかたさんと組んで日本人観光客の片桐夕子を拉致監禁したりと全てが一変し…

 

 

 

 

U-NEXTのお薦めポイントには「往年の日活無国籍アクションをロマンポルノで味付けした異色作」との一文が…小沼監督はロマンポルノで監督デビューを果たされたものの助監督として往年の一般作品に携わった方でしたから「遣ってみたかった題材」だったでしょう。勿論全盛期の様な雰囲気の全てを求める事は出来ませんし描写も激しくはないものの、そこは「男の未練を狂気に変えて内面から絞り出される静かな凄味」「普通を全てを捨てさせ覚醒剤・女体塗れの日常に一変させる未練の落とし穴」等々に置き換える事で幾分かはその雰囲気を感じられますし、ロマンポルノの作風等々との融合も上手く行った作品と感じます。又「女房を満足させるのは大事だが、満足させ過ぎるとしっぺ返しを食らう可能性の存在」も…

 

 

そして宮下さんの安定感(平凡な主婦と中国人売春婦を見事に演じ分けただけではなく、井上さんんに対する愛情表現も別次元で見せ付けた実力は素晴らしい!)片桐さんの清らかさ(世間知らずの女の子が毒牙にかかる様な芝居をさせれば当時では最右翼と言ってもいいでしょう)は他作品と同等ですが、時代劇が殆どで現代劇は片手で間に合う程の作品に留まる小川さんの貴重な姿が堪能出来る上に別次元での魅力が味わえるのも大きい!笑顔もいいですが悲壮感が漂う役や周囲に振り回され苦悩する役なんかがよく似合う一人です。

 

 

最後に…YouTube内で日活ロマンポルノ女優が歌唱した作品を取り上げられている方が居られるのですがこれがいい!当作出演の小川さんの「怨歌情死考」(日活ロマンポルノ「怨歌情死考・傷だらけの花弁」の主題歌)・梢ひとみ「明日から愛して」等々もいいのですが、中川梨絵唯一の持ち歌であるらしい「躍りましょうよ」これが一番気に入りました!