17年振りに帰国した妻の謎…日活ロマンポルノ「桃子夫人の冒険」日向明子/伊沢一郎/団鬼六 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

休み二日目の夜中ですが肌寒いです。しかし今年は春の訪れが早いのが珍しいだけで例年はもっと寒い思いをしていますからまだいい方…それよりも早く夏タイヤに交換したいのですが、勤務先が山間部で何時積雪・凍結となるかこれだけ暖かくても予断を許さぬ為、4月に入る迄待たなくてはなりません。

 

 

さて本日は日活ロマンポルノ女優の中でも特に好きな一人、日向明子の主演作品です。美貌や肌の綺麗さに加え芝居の巧さでも高い評価を得た女優ですが、実際一般作品への出演依頼も切れなかったそうで、日活以外では特に東映に重用された為なのか東映カレンダーにも水着姿で登場した事がある程…

 

 

「桃子夫人の冒険」昭和54年12月22日公開・出倉宏脚本・小原宏裕監督・日活制作。VHS化はされましたが未DVD化作品でU-NEXT(見放題対象作品)/Amazonプライムビデオ内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

因みに当作品公開の同時期に東映が公開していたのは日向さんがマドンナ・石川さゆりの友人でもあるドサ回りの歌手として出演していた鈴木則文監督「トラック野郎・故郷(ふるさと)特急便」(シリーズ最終作品)。ソクブン監督が手掛けられた日活ロマンポルノ「堕靡泥の星・美少女狩り」で強姦殺人に遭う女子高生として出演された関係でこの作品の主演である波乃ひろみと共に「トラック野郎」にも声を掛けられたのではないかと思います。

 

 

 

 

此方ではドサ回りの歌手の寂しさや苦悩、チャンスを得たさゆりさんに自らの夢をも賭けながら応援する優しさや人間らしさを存分に見せ付けていますが「桃子夫人の冒険」はと云うと…

 

 

会社社長・伊沢一郎の愛娘である日向明子を成田空港に迎えに行った娘婿の吉原正皓…実は日向さんは17年前に米国に渡り冷凍保存され、その間全く歳を取らず?劣化せず?過去の姿のままで帰国したのです。その美しさに夫婦の愛娘である東郷亜紀(東郷健のお嬢さんなのだそうですが、映画出演は当作品のみの模様です)は複雑な心境を抱き、東郷さんの男友達の今井久は一目惚れ…しかし日向さん「昼は淫乱女」となり元・ヤクザやデパートの管理職等々毎日野郎をとっかえひっかえ交尾に明け暮れながらも夕刻になると行為の途中であっても「帰宅しなければ…」と…そして「夜は貞淑な妻」となり夫婦の営みも拒む程変わってしまう。そこで吉原さんは友人である医師の団鬼六に米国での保管状況を確認して貰うと「日向さんは人造人間である事」が判明し…

 

 

当作品は冷凍保存した理由も語られなければ何故人造人間にされてしまったのか等々、詳細が一切解らぬばかりかそれに至った理由も「娘婿に嫉妬した伊沢さんの仕業では?何故なら息を引き取る前に俺の失敗だったと言い放っていたから…」程度しか解らない内容。整合性や筋書きの綿密さを求める方々が鑑賞すれば「駄作」の一言で片付けられてしまうでしょう。

 

 

しかし「公開時期が年末年始である事」「商売敵が明るい娯楽映画で毎年公開している現実への対抗策」として「淫靡だが健康的かつ嫌味の全く無い、当時のロマンポルノ主要女優陣の中では飛ぶ鳥を落とす勢いの人気で知名度も高く芝居の上手い日向さんに白羽の矢が立てられた」とすればそれは十分に納得が行きますし、事実明るく心底楽しそうに演じられていた日向さんの姿を観られるだけでもファンとしては大満足!「家政婦を日本刀や矢で脅して恐怖に陥れ失禁させ「おうおう、誰がこんな酷い事を…」と、自ら仕掛けて優しく慰める行為に快感を感じる伊沢さんの怪演」は当作品もう一つの見物!(因みに伊沢さんはロマンポルノ期の日活作品では峰岸徹/高瀬春奈主演の「武蔵野心中」三原じゅん子主演の「嵯峨野の宿」にも出演しています)加えて「日向さんの最期」これは悲しい場面となる筈が大爆笑を誘います!