学歴・安定性・我が道を行く…幸福とは何?松竹「ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!!」渡邊祐介監督 | 東映バカの部屋

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皆様、こんにちは。

 

 

昨日は休日出勤となり20時迄勤務…明日11時の勤務開始時迄の休み中ですがここ2.3日の秋田市内は最高気温が10度前後と3月/4月並の暖かさで市街地では積雪は殆ど融解しました。今日からは寒が戻る予報ですがそれでも例年と比べたら楽な方で、50歳を迎え職業病でもある間接各所の劣化を日々感じる身体には優しい冬期であります。

 

 

さて、昭和40年代中期から昭和50年代初頭にかけて「男はつらいよシリーズ」の併映作品としての地位を確立していた松竹「ザ・ドリフターズの全員集合シリーズ」…「いかりや長介が独裁的な頭で加藤茶が虐められ役・他の面々は長さんを陥れ様と画策するものの…」と云う「8時だよ・全員集合!!」の舞台コントを大型化したかの様な内容が常態化していましたが、基本線はドタバタ喜劇ではあるものの従来の路線とは一線を画す一作も存在します。それが此方…

 

 

「ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!!」(「全員集合シリーズ」第14弾)昭和49年12月28日公開・渡邊祐介原作/脚本(下飯塚菊馬と共同執筆)/監督兼任・松竹/渡辺プロダクションの共同制作。VHS化作品ですが未DVD化。DMM.com/ひかりTVビデオ/Hulu/フジテレビオンデマンドプレミアム/GYAO!ストア/U-NEXT(見放題対象作品)/Amazonプライムビデオ/YouTube内で有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

女房に先立たれてから10数年間再婚もせずに黙々と長男・加藤茶と長女・沢田雅美を育てて来た零細企業の中間管理職・いかりや長介…或る日、行き付けの居酒屋の美人女将・篠ヒロコ(現・篠ひろ子)に懇願されこれだけを楽しみに日々従事していたと云っても過言では無い退職金を前借りしようと社長の玉川良一に申し出た所既に無い事が判明…実は長さんが知らぬ間に予備校に通っていた筈の加藤さんが玉川さんや社員達の前で涙涙の作り話を披露し長さんの退職金を密かに前借りしており、その金銭は加藤さんが熱中していた楽隊の結成資金に消えていたのです。大喧嘩に発展したのは勿論ですが沢田さん迄もが加藤さんの肩を持つ始末となり長さんは自宅を飛び出し、戦友で居酒屋を営む佐野浅夫の元に転がり込んだのですが…

 

 

 

 

名優を迎えながらも「全員集合」を彷彿とさせる多彩なゲストの面々にも目を奪われますし、玉川さんの本業で或る浪曲も堪能出来る…しかし先述した通り、従来のシリーズ作品群とは一線を画した内容で主題は「幸福とは人其れ其れ。価値観を強要せず理解する事が最善」。当作品は終盤に近付くに連れて喜劇要素は影を潜め始め、ドリフターズの面々の中でも特に芝居巧者である長さん・加藤さんの良さが上手く生きた演技合戦となりますし、それが結実した最終盤の遣り取りは意地を張り合っているかの様に見えながらも男の親子関係はこうありたいと切に感じるもの。

 

 

そう言えば、今年の箱根駅伝では駒澤大学が往路・復路完全制覇かつ史上四校目となる大学三大駅伝を制覇する偉業を達成しましたが、話を伺うと大八木弘明監督自らが変わる事で信頼関係が強固になったと…家族でも組織でもそれは同じなのでしょうし何事も時代の変化云々とよく言われる上に個人の価値観が多様化し過ぎて正確な判断が難しくはなっているものの「固持すべき点は守りながら相互理解すると云う根底の基本線は何ら変化していない事」がよく映し出されている傑作だと感じます。