ピンク映画版「雪之丞変化」?扇映画プロダクション/新東宝興行「あばずれ」渡辺譲監督 | 東映バカの部屋

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皆様、おはようございます。

 

 

昨晩23時に勤務を終え、月曜日11時の勤務開始時迄の休みです。帰宅後夕飯・風呂・飲酒を済ませ就寝しようとしたものの寝られず、記事更新と洗濯を済ました後休もうかと思っています。そこで本日も毎度の様に簡単に…「ピンク映画の巨匠」と言われた渡辺譲監督の初演出作品の短縮版が数年前に見付かった際には相当な話題となったとの話ですが、その作品が現在日本映画専門chで放映されています。

 

 

「あばずれ」昭和40年制作・吉田貴彰脚本・渡辺譲監督・扇映画プロダクション制作・新東宝興行(現・新東宝映画)配給。

 

 

未DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが、先述の通り日本映画専門ch内に於いて本日以降、10/3(月)09:05・10/19(木)07:15に「PG-12版」が放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

感受性が高く勘も鋭い女子高生は、印刷工場を営む父親が産みの母親と死別後、元・女給と再婚した事を極初期には歓迎したものの、日を追う程に不信感が高まる一方でした。表面上は母親として努力をしている様に見えてはいても、二重帳簿を作成して迄社の資金を使い込んでいた主任と共謀していたり、婚姻から半年も満たぬ時点で自らが受取人となっている高額の生命保険を掛けたり…女子高生は父親に離婚を促すものの二人から叱責を受けた事を切欠に関係は更に悪化。しかも、後妻は旧知の暴力団員を使い女子高生を拉致監禁・輪姦した上に身代金を要求してきた為実父は全財産を投げ打って支払い無事取り戻したものの、ぼろぼろになって帰って来た愛娘の姿に衝撃を受け「何があってもお前は強く生きろ」と遺言を残し自決します。そして、実父の葬儀後姿を消した女子高生は数ヶ月の後パンスケとなっており…

 

 

当作品に関する詳細な話は上記にリンクを張った「ウィキペディア」の該当箇所を参照して貰えればいいかと思いますが、その中でも書かれている通りの「雪之丞変化を元として、時代背景を現代に移しピンク映画の世界に染めた作品」。幼少時家族が殺され孤児となり、後に女形となって江戸に現れ復讐の鬼となるのが雪之丞ならば、此方は思春期に継母の策略で処女を奪われ父親を間接的ながらも殺され、後にパンスケとなって継母・主任のみに留まらず継母の旧知の仲である暴力団員を探し出し親子の怨念を晴らそうとする話。しかも、パンスケになった事を悔やむどころか吹っ切れた様な表情・行動に獲物を探す様に野郎を貪り続けている姿を見ると、これは勿論先述した父親の遺言が非常に大きいのでしょうが「被害者にとっては下手な周囲の愛情よりも、例え孤独で身の危険が最大級でも怨念が生きる奏となるものなのかなぁ」とも感じた程ですし、泥水を啜ってでも行き続けて行く姿は些細な物事に悩み落ち込む現代人、特に自殺願望を抱いてしまう方々には「生きる奏は愛情ばかりとは限らない事」を、自決した父親・行き続ける女子高生の対比で教えてくれる点も見逃せぬ名画!