皆様、おはようございます。
昨日は急遽夜勤となり、本日は6/5(土)の休日出勤の代休です。何度も当方の記事にも書きましたが、俺の所属している部署は今年の2月から先月迄最低でも40時間前後、多い月は6.70時間を超える時間外超過勤務が続いた為、今月に関しては「時間外超過勤務時間を20時間以内に留める。休日出勤は基本的に代休取得・平日は極力定時退社」となりました。収入・休息、当方共に大事ですが偏りは問題…年に数ヶ月間はこの様な事が無ければ精神面に影響が出ます。
さて本日も簡単に…未ソフト化かつ有料動画配信も行われていない、恐らく名画座での公開実績も皆無か在っても極僅かと思われる貴重な作品が衛星劇場で放映されています。佐藤友美の劇場公開作品初出演作で主演。尚、当作品は本日以降、6/24(金)19:45・7/10(日)04:15・7/28(木)11:30の三回放映されます(字幕付きHD放映)。
「さそり」昭和42年5月13日公開・野村芳太郎/森崎東の共同脚本・水川淳三監督・松竹制作。
名古屋に出張の際、昼間は名古屋駅近くの百貨店の店員・夜は売春婦謙ブルーフィルムの映写機担当であった19歳の佐藤友美と火遊びをした東京のスーパーマーケットの社長・伊藤雄之助…それから暫く経って、佐藤さんが伊藤さんの店を訪れ「仕事を退職して東京に出て来た」と。過去と決別して新天地で新たな人生をと考え上京したのだろうと捉えた伊藤さんであったのでしょうが、結局桜井センリが管理人を務めるマンションの一室を借り与え愛人関係となります(因みに伊藤さんの女房役は菅井きん・長女役は呉恵美子)。そこに転がり込んで来たのは佐藤さんの幼友達の石立鉄男。佐藤さんは石立さんのヒモともなり、伊藤さんが買い与えた家財道具を売却して迄貢ぎますが、その事に腹を立てた伊藤さんが佐藤さんに愛人関係の破棄を申し出た時、石立さんは勢い余って伊藤さんを死に至らしめます(過失致死か傷害致死)。事が表面化するのを恐れた二人は伊藤さんを首吊り自殺に偽装してその場を立ち去り、生まれ故郷に戻ったものの警邏中の警官を自分達を探していると勘違いし東京に蜻蛉帰り。そして佐藤さんが名古屋時代の買春客・牟田悌三と偶然出逢い情交した事で売春婦に逆戻りし、後に防犯係の刑事・加藤武に逮捕されたのを切欠に歯車が狂い始め、伊藤さんの事件を追っていた露口茂の姿が徐々に近付いて来ます。
「名古屋美人の佐藤さんが名古屋の売春婦」しかも「デビュー作から脱ぎっぷりの良さと(但し全裸は無し)この後の作品では余り見られない滑稽さが伊藤さんとの遣り取りで堪能出来る」この時点で実年齢は25歳ですが「色気を纏った19歳も居れば、年齢不相応の幼さを醸し出す25歳」が過去も現在も存在していますから…そして「何処か子供っぽさが抜けず、嫉妬深さと気持ちの弱さが同居する石立さん」に対し「計算高いが楽観的な面も併せ持ち、更にはいざとなれば黙秘をしてでも芯を貫く強さを兼ね備えた佐藤さん」は、刑事役の露口さんが「土壇場になれば強いのは男より女」と云う意味合いの台詞を放っている通り「女の強かさを事件を交えた物語で証明したかの様な趣」。この辺りは共同執筆脚本ですが恐らく森崎監督の描いた女性像かと思います。「喜劇・女は度胸」「喜劇・女は男のふるさとヨ」等々の脚本・監督を担当した森崎監督ですが「主役が俳優・女優であろうとも、物語の内容が喜劇・悲劇・事件物であろうとも、女性の芯の強さと男の内面の弱さを同居させた趣の作品を手掛けさせれば、もしかしたら未だに日本で一番巧い脚本家・映画監督ではないか?」と改めて思わせる傑作!
この様な物語でも何処か滑稽さや間抜けさが見え隠れする味が魅力の伊藤さんや菅井さん、先述した桜井さんと警官役の石橋エータローの「クレイジーメンバー」出張先の接待係役の江幡高志、更には佐藤さん・石立さんが一時期ヤサとした安アパートの隣人役に加賀まりこを配し「佐藤さんの心情を代弁させる」等々、所々に配された充実したチョイ役陣も見所ですし「嗚呼、観客目線と娯楽映像作品の神髄をよく解っているなぁ」と思わせてくれます。
東映制作の「さそり」梶芽衣子とは全く違いますが、佐藤さんの演じた売春婦も立派な「さそり」です!