世継争いは女体と性技で…日活ロマンポルノ「大奥秘話・晴姿姫ごと絵巻」小川節子/二条朱美 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、ここ数日の秋田市内は最低気温が0度前後/最高気温が10度台前半から半ばと云う状況が続いています。快晴で過ごし易いものの、油断をすれば体調を崩してしまう…特に現在の業務過多による疲労蓄積の場合は気を遣ってしまいます。自身の身体よりも業務に穴を開ければ相当な迷惑をかけてしまう事の方が頭に浮かんでしまって…

 

 

さて本日は数ヶ月前にGYAO!の期間限定無料動画配信を通じて鑑賞した作品です。

 

 

「大奥秘話・晴姿姫ごと絵巻」昭和49年1月3日公開・中沢昭二脚本/林功監督・日活制作(日活ロマンポルノ)。

 

 

令和5年1月10日にDVDが発売される予定です。尚、有料動画配信は行われていません。

 

 

 

 

 

江戸幕府末期、黒船来航以来病弱であった第十三代将軍・徳川家定(浜口竜哉)の後継問題に頭を抱えていた幕府…紀州和歌山の徳川慶福(=第十四代将軍の徳川家茂)を推す井伊直弼は大奥の御年寄りの二条朱美と結託し「女体と性技で家定の命を縮める画策」を実行に移し、吉原の花魁・小川節子を身請けし大奥に迎え入れます。

 

 

江戸から遠く離れた地の水呑百姓の娘であった小川さんにとっては花魁だけでも出世であったのに大奥ともなれば夢を手に入れた様な物…「今の将軍を満足させる名器を持った中臈は居ない」と二条さんに言われ意気揚々と家定の伽を勤め上げた小川さん…しかしその相手は家定ではなく、井伊と大奥が結託していた事を見抜いた、水戸の一橋慶喜(=第十五代将軍の徳川慶喜)を推す家定及び老中が分身として送り込んだ、幼い頃家定の影武者を務めた事も在る、不正行為で廃れた旗本の実子・谷本一の友人。しかしその友人は小川さんの行為の激しさに伽の直後に心臓発作で絶命し、その仇討ちとばかりに谷本さんが数十年ぶりに再度家定の影武者として小川さんと一線を交える決意を固めたのですが…

 

 

 

「大奥もの」と云うと、多くの方々が東映制作の劇場公開作品群かテレビドラマを思い浮かべるものと思います。劇場公開作品群は昭和期・平成期双方の作品共に「身銭を切ってでも観たい!」と思わせる魅力が在りますし、テレビドラマも其れ其れの時代の代表的な制作陣・役者陣をこれでもかと投入し、期待通りの芝居を見せてくれる一方で、殻を打ち破った灰汁を見せて印象をガラリと変えた方々が非常に多いのも美点…しかし、日活ロマンポルノの大奥作品群も東映作品群に一歩も引けを取らぬ内容と奥深さが在り、特に当作品はその頂点と言ってもいい程!比較的時代考証が忠実かつ、事実を元に創作を膨らました巧さが際立つ!「病弱・乳母に心を開かぬ上に人前に出る事を極端に嫌った・しばしば癇癪を起こした等々の人物像に絶妙にロマンポルノの創作の自由度が絡み、色香や猥雑さがどこかへ吹き飛んでしまう様な重厚感」をも兼ね備えていますし「幼少時に一度は家茂の身代わりを務めた谷本さんが鉄砲玉として将軍を守るのか?他の旗本仲間と共に不正で失脚した実父の恨み晴らしとばかりに攘夷運動に加担するのか?の狭間に立たされる苦しみが結末に至る道筋に大きな味付けとして作用している」のも良し!主軸の「津軽美人」小川さん「秋田美人」二条さんの他にロマンポルノが誇る芝居後者である宮下順子・中島葵も出演していますが、この四人の妖艶振り以上に物語の面白さ・奥深さに引き込まれてしまいますし、殿方は勿論の事女性でも抵抗無く受け入れて貰えるポルノ作品の一つで在ると感じます。

 

 

当方の記事で取り上げる作品は「娯楽第一主義のボンクラ好みの作品群=時代劇・任侠/ヤクザ等々のアウトロー作品・アクション作品・事件物・不良/女番長作品・ポルノ/ピンク作品」が殆どで、文学性や芸術性が第一の作品群や「巨匠」と祭り上げられている方々の作品群・娯楽性に乏しい大作は取り上げる事は今後も無いです。しかし「思考・嗜好・志向は人夫々かつ自由」と解った上で苦言・疑問を申し上げるとすれば、俺好みの作品群の人気が中々盛り上がらぬどころか、題目や作品紹介・宣伝媒体等々表向きの印象のみで「反社会的・性的表現等々が問題にされ臭い物に蓋をしようとする傾向」が日々強くなっている感を抱きます。普通の人間の成長過程に則って考えれば「趣味嗜好が徐々に変化する」のですから、懐かしさで幼少期の記憶を辿る程度で在れば俺も在りますが普段は成人向けの作品を観ているのが一般的な筈。しかしGYAO!の無料動画配信のみでの判断となりますが、再生回数では動画・特撮関連をも遙かに下回っている現実…日活ロマンポルノに携わった経験の在る村川透監督は「悪の中にこそ美と真実が在る」と自著内でお話をされていますが俺も全くその通りだと思いますし、加えて言うなら「アウトロー猥雑等々の中にこそ人間らしさ・日本人らしさが在る」と…この様に主張をしてもどの程度の理解を頂戴出来るかは未知数ですが、一人でもいいですからもし理解して下さったなら、世間に流される事無く重箱の隅を穿り日の目の当たらぬ娯楽傑作を探し出すと云う気持ちで貪る様に映像作品を楽しんで欲しいと思います。最後に、黒澤明・小津安二郎・木下恵介・山田洋次等々「名匠・巨匠等々と識者・評論家から高い支持を受ける方々を遙かに凌駕する、巨匠達の作品群が観客を見下した退屈で得る物の少ない事を気付かせてくれる日本人映画監督」(但し山田洋次のみに関しては東映・日活・大映・新東宝等々の娯楽作品監督陣及び松竹出身の森崎東等々より腕は相当に劣るものの、商業主義の娯楽作品群を一定水準を僅かに上回る程度に仕上げる力量を持っていますので「退屈で得るものの少ない」と云う点は該当しません。悪しからず)は無数に居られますよ!