追悼・千葉真一。宗道臣に扮した東映東京「少林寺拳法」佐藤允/中島ゆたか・鈴木則文監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日21時に勤務を終え、月曜日10時の勤務開始時迄の休みです。朝から快晴ですが肌寒い…これからの時期困るのは洗濯物が乾き難くなる事。しかも俺の住むアパートには乾燥機が常備されていたのですが使用する方が少ないとの理由から去年撤去されてしまいましたので尚更です。

 

 

 

さて、皆様が既にご存じの通り、東映アクション俳優の筆頭格・千葉真一がご逝去されてから数ヶ月となりました。心よりご冥福をお祈りいたします。まさか千葉ちゃん迄もが新型コロナウイルスに負けてしまうとは…ご本人の意思でワクチン接種を受けておられなかったとの話も在りますが、鍛えられた心身と抱いている印象から「病魔なんぞ得意のアクションで蹴散らすのでは?」と云う思いが俺の中には在った為、非常に衝撃でした。そこで本日は「千葉ちゃんの主演作品」から、数か月前にYouTube内で期間限定の無料動画配信が行われた作品です。

 

 

 

「少林寺拳法」昭和50年2月15日公開・松本功脚本・鈴木則文監督・東映東京制作。

 

 

DVD化作品でGoogle Play/DMM.com/ビデオマーケット/Amazonプライムビデオ(JUNKFILM by TOEI対象作品)/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

作品冒頭のクレジットに表記されているのですが「日本少林寺拳法の開祖・宗道臣の波乱の半生を描いたアクション映画」でありながらも内容は娯楽映像作品向けに相当な脚色を施されています。しかし「ソクブン監督が千葉ちゃんの主張した論理である「俳優は体技と演技の二つが必要な肉体的表現」を本作で実証しようとした」(鈴木則文・著「東映ゲリラ戦記」より抜粋。尚、これに関してはウィキペディア「少林寺拳法(映画)」にも記載されています)姿勢により、作品の締めで出されるクレジットである「正義をともなわない力は暴力なり。力をともなわない正義は無力なり」(ブレーズ・パスカルの「パンセ」(-断章二九八-)からの引用)そのものを具現化した作品としてきちんと成立していますし「アクションの印象が非常に強いものの、俳優稼業最初期から積み上げて来た一般的観点からの演技力と「日本暗殺秘録」「仁義なき戦い・広島死闘篇」等々で実在の人物の意思を的確に、魂が乗り移った様に見せる姿勢が見事に合致し、当作品制作公開同年にシリーズ化された「けんか空手シリーズ」に於ける大山倍達役にも大いに生きた」と言えるもの。

 

 

そして「持ち前の正義感の宿った軌跡」「大悪党の小池朝雄・名和宏等々を相手に一歩も引かず、戦災孤児から兄弟姉妹・親子迄全ての弱き者達を守り切る姿勢」「盟友の佐藤允・中国大陸滞在時に知り合った元は名家の一人娘であった中島ゆたかの生き様を通じて自らに不足していた「愛」に気付かされる千葉ちゃん」「連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の遣り方に普段から疑問を抱いていた上に、千葉ちゃんの様な日本人がまだ居る事を心から喜んだ丹波哲郎が自らの首を賭けて画策した或る粋な計らい」等々、現代の我々が忘れかけている(若しくは「既に忘れてしまっている」でもいいのか)本来の絆の姿が作品全体に浸透しています。東日本大震災以降、人間生活に於いて必要不可欠なものであるとは云え「愛」「絆」この二つの言葉は安く・軽く扱われる機会が一挙に増大しましたが、これ等の本来の意味を取り戻す意味でも当作品は是非一人でも多くの方々にご覧頂きたい作品。又、この物語そのものが千葉ちゃん・ソクブン監督双方が声を大にして伝えたかった主義主張であったとも言えるかと思いますし、俺自身が「千葉ちゃんの主演作品」では一番好きです。

 

 

「不正はいかんが不法はいい!」の台詞も見事!敗戦直後の日本の混乱期を的確に、強烈に、端的に表現した名文句!

 

 

尚、2.3日前にNHK総合テレビの番組に出演されたと話題になっていた現在はフラワーアーティストの志穂美悦子が出演をしていますが「演技力を鍛える為に敢えて普通の娘役に起用した」のだそうです。事実ソクブン監督は「この娘は絶対に伸びる!」と確信をしたそう。そして菅原文太率いる「菅原一門会」の一人である誠直也は悦ちゃんの実兄役ですが、心情が乱高下する突っ張った若者らしさを非常に巧く見せてくれています。しかし誠さんの芝居を観ていると、師匠である文太さんの一挙手一投足や台詞回しとよく似ているなぁと感じます(同様の事は「千葉ちゃんと悦ちゃん」「鶴田浩二と弟分の天知茂」等々にも見受けられる傾向です)。

 

 

そう云えば、YouTube内にこの様な動画が在りました(中日新聞社公式動画)。

 

 

 

 

 

 

最後に二つ…令和3年12月8日に東映ビデオより「千葉ちゃん追悼」として「逆襲・殺人拳」「子連れ殺人拳」二作品のDVDが発売されます。東映chでは比較的放映回数が多かったですし動画配信での鑑賞も可能でしたが「逆襲・殺人拳」は体制側の和田浩治の劣等感が戦いに巧く絡んで面白いですし「子連れ殺人拳」は題目通り「アクションと親子愛の融合」と言える内容で、特に千葉ちゃんの盟友である夏八木勲と天津敏の芝居も見逃せません。

 

 

 

 

 

そしてYouTube内「TOEI Xstream theater」では本日21:00~11/6(土)21:00迄渥美清主演「喜劇・急行列車」が無料動画配信されます。

 

 

 

 

 

 

渥美清の一番弟子で、この作品以降「不良番長シリーズ」を中心として東映作品に多数出演された鈴木ヤスシや「男はつらいよシリーズ」で複数回のマドンナとして出演を果たした大原麗子も出演!

 

 

因みに渥美さんに対し頭を下げて東映を去って貰った際、東宝に行こうとした渥美さんに対し「貴方には松竹が最も水が合っていると思う」と進言したのは岡田茂・東映名誉会長。又「男はつらいよ」のアイデアは安藤昇が松竹所属時に出したものであると自著内で発言をされています。尚、映像化作品では「原作・山田洋次」となっていますが、これは安藤組長が気付きながらも「松竹は気の小さな組織だし、映画として成功・成長し松竹の為になるのであれば」と沈黙した為に成立したと云う事でしょう。岡田名誉会長の進言と安藤組長のアイデアが在って国民的シリーズが誕生した事実は、是非一人でも多くの映画ファンに知って貰いたいですし、山田監督に関してはその事実に対する謝意を文面や言葉として残して欲しいと願います。