快演・高倉健!東映東京「暗黒街の顔役・十一人のギャング」鶴田浩二/杉浦直樹・石井輝男監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、寒さで目が覚めました。実は俺「トラック野郎シリーズ」で菅原文太演じた星桃次郎と同様、大小共に便の間隔が人よりも短く、寒くなると特に飲酒後の回数が…50代を目前にしてそろそろ頻尿防止薬の世話にならなけらばないのだろうか?

 

 

 

さて本日は今月一日よりAmazonプライムビデオ内「JUNKFILM by TOEI」で動画配信が開始された作品です(本日時点で他の動画サイトでの配信は行われていません)。比較的早い時期にVHS化されておりDVDも発売されています。俺も20年程前に鑑賞済みではありましたが詳細を失念していた為記事化を躊躇っていましたが、やっと打ち込む事が出来ます。

 

 

 

「暗黒街の顔役・十一人のギャング」昭和38年1月15日公開・石井輝男脚本/監督兼務・東映東京制作。

 

 

 

 

 

「十一人のギャング」=鶴田浩二・杉浦直樹・江原眞二郎・待田京介・高英男・安部徹・梅宮辰夫・伊沢一郎・三原葉子・瞳麗子・高倉健。浜松の銅管製造会社の従業員給与である総額五億円を奪う計画を企てた鶴田のおやっさんと杉浦さんは江原さんや健さん等々を高額の報酬で誘った上に、準備資金を銀行への有利子負債償還で苦悩している経営者の小暮実千代及びその秘書の丹波哲郎から引き出し実行に移ります。「死の商人・アイ・ジョージから人数分の銃火器を調達し、自らの銃火器の使用を禁じ二重三重の盤石な自己防衛策を実行」「信頼出来る一時預かり所の使用」「分単位で綿密に練られた資金強奪計画」等々から成功に自信を持っていた鶴田のおやっさんでしたが「鶴田のおやっさんが提示した報酬額の高さから何かを察知し、主導権を握ろうと画策した江原さんと、その昵懇である待田さん及び高さん」「杉浦さんから話を持ち掛けられた際に頂戴した高額の足代を酒場で使った事で、ツケだらけなのに健さんの金回りが良くなった様子に疑問を抱いた女給の三原さんと、その報告を受けた酒場の主の安部さん」「三原さんに後を付けられた事を切欠に肉体関係を結び、鶴田のおやっさんと同じ方向を見ていた筈が徐々にずれだした杉浦さん」と、思惑に暗雲が…

 

 

 

 

 

 

「今は東映京都撮影所よりも東映東京撮影所が儲かっている!」と言い放ったのは当時の東京撮影所所長で後の東映名誉会長であった岡田茂…その勢いをそのまま利用し制作したギャング映画だったと生前、自著内で石井センセイはお話をされていました。しかも当作品は「安部さんが初めて出演した石井センセイ監督作品」「杉浦さん・待田さんは当作品以降石井センセイに重用される役者となった」「個性的な役者の起用に執着した石井センセイの意思によりジョージさん・三原さん・瞳さん・高さんの出演が実現した」「健さんが演じたトラック運転手の在籍先は実在する王子運送とされ(東映作品ではよく登場します)事件の舞台となる工場に関しては撮影許可を出す会社が無く難儀したものの最終的に日本軽金属蒲原工場から許可を得た」等々、純粋な作品評価だけでは勿体無くなる程の話題に溢れている作品でもあります。

 

 

物語の流れは面白い上に快速感が気持ちいいですし構成や時間軸も文句無しの出来ですのでここでは割愛します。俺としてはそれ以上に皆様にお伝えしたいのは個性溢れる出演陣の中で、出演場面数及び総時間は決して多いとは言えないものの最も快演を見せているのは健さんと言ってもいい事!酒と女に塗れっ放して業務中の飲酒運転何ぞ朝飯前の前科者!しかもツケをして迄安部さんが経営する酒場に入り浸っているのは女給の三原さんにホの字である為で清算後は温泉マーク(=モーテル)に直行!更に三原さんが一週間欠勤した事に臍を曲げ、事の実行数時間前に「止めた止めた!」と言い放つ程のヤキモチ焼きでもある…まるでこの十数年後に制作され大ヒットしシリーズ化された「トラック野郎シリーズ」の星桃次郎の雛型「単純・粗暴・純情」を健さんが演じたのかと考えてしまう程ですし、金欲のみに目が食らいっ放しの面々の中で唯一、人間臭さを前面(全面)に出していた役柄設定。当方の記事で何度も書いていますが「健さんの魅力は東映退社以降の大作出演よりも東映在籍時…特に昭和30年代後半から昭和40年代半ばにかけての役柄及び芝居に魅力と面白さが溢れている事実」を再認識させられます。

 

 

 

最後に、下の写真の二冊の新書は相互読者さんであるももじろう2号さんより情報を頂戴し購入しましたが、左のちくま新書「東映任侠映画120本斬り」(山根貞男・著/¥1.100-+税)は東映任侠映画群/東映ヤクザ映画群で押さえておくべき作品が殆ど網羅されている事、右の小学館新書「やくざ映画入門」(春日太一・著/¥820-+税)は東映だけに留まらず各社、全盛期に留まらず近年のアウトロー作品群の持つ魅力や役者論に迄言及している事がいい!東映ファンやアウトロー作品群好きのボンクラ映画ファンにとっては頷いたり再鑑賞を促したり新たな魅力を発見したり、そしてこれからこれ等の作品群に足を踏み入れてみようとされている方々にとっては参考書として、作品を更に楽しむ為の旨味調味料として重宝する事と思います。