野上正義の魅力全開!日活ロマンポルノ「タクシー野郎・夜の淫花」山本晋也監督。衛星劇場で放映中! | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。本日二本目の更新を行います。

 

 

明日13時の勤務開始に備え夜中の3時頃迄は起きている予定ですが、夜の冷え込みはまだまだ厳しいです。日中が暖かいだけにこの寒暖差は身体に堪える…

 

 

 

さて、東映にも籍を置いた事が在るものの「ポルノ映画・ピンク映画への出演」が圧倒的に多く、平成22年に70歳でご逝去される迄その姿勢を貫き続けた名優・野上正義。吉沢明歩主演のミュージアム・ピクチャーズ制作「デコトラ★ギャル奈美」の第一弾・第二弾に出演していた関係でご逝去後の平成23年に制作された第三弾「デコトラ★ギャル奈美~爆走!薔薇愛怒編」の最後には「野上正義に捧ぐ」のクレジットが出されましたが、心から制作関係者・役者陣に慕われていた方だったのだろうなぁと改めて感じさせてくれました。

 

 

 

 

 

 

その野上さんの主演作品が今月・来月の衛星劇場「ロマンポルノ傑作選」で放映されています(トップクレジットではありませんが実質主演です)。

 

 

 

「タクシー野郎・夜の淫花(みだら)」(KINENOTE・日活公式の作品案内等々では「淫花=いんか」となっていますが、完成作品のルビが「みだら」でしたので此方を使用します)昭和52年1月22日公開・山田勉脚本・山本晋也監督・ワタナベプロダクション制作・日活配給(日活ロマンポルノとして公開)。

 

 

未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが、先述の通り衛星劇場に於いて本日以降、3/13(土)01:30・3/21(日)01:30(以上は同時間帯に「R20版」スカパー!サービス専用の「R15+版」を放映)4/17(土)03:15(この回はスカパー!サービス専用の「R15+版」のみ放映。他サービスでは別作品の放映となります)の三回放映されます。

 

 

 

今回は俺が録画し焼いたブルーレイディスクの画面をパソコンに映し出し撮影した小汚い写真を掲載させて貰います。何卒ご容赦下さい。

 

 

 

 


※衛星劇場の令和3年3月分の作品案内・放映日時案内は此方から/令和3年4月分の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

この作品には川崎市の新興タクシーが全面協力をしており、クレジット内で電話番号迄掲載!調べてみたら現在も電話番号は当時のままでした。恐らく過去も現在も「ポルノ作品やアウトロー作品等々だからと嫌悪して撮影協力を拒む娯楽を理解していない法人」は数多いのでしょうが、新興タクシーは娯楽をきちんと理解している素晴らしいタクシー会社!絶賛されるべき姿勢です。

 

 

 

 

 

 

主演の野上正義。運転が好きでタクシー運転手となり、他の趣味は自淫と尺八!しかも自らの営業車両に「スピリット・オブ・ポルノ号」(車両はS60系トヨタクラウン営業車・通称はクジラクラウン)と名付け女房の様に愛して止まぬ程!でも運転は乱暴な事も多々である上に「堀之内で新興タクシーの○○と云えば知らん奴は居らんのじゃ!」を常套句としているとっぽさも!

 

 

 

 

 

 

そんな野上さんの長い一日が始まりましたが「一番好きなのは女!一番嫌いなのは小汚く小煩いジジイ!」と云う信念を貫き初老の男性に乗車拒否をしてしまった所からその日の運勢は激しいピストン運動の様に右往左往します。何せその直後に「癖の悪い男に追いかけられていた全裸の女性を救ったと思ったら一文無しであった為に郷里に帰るフェリー代と途中の食事代をあげる始末。しかし「金が無い代わりに誰にも負けない!」とその女性が自負していた尺八攻勢で一時は満足をしたものの、その女性が全くの下げマンでこの後も不幸を背負って野上さんに近付く切欠」となるのです。

 

 

因みに、東京国際空港付近の岸壁で野上さんは尺八をされるのですが、その頭上を通過するのは「アッパーデッキの形状が野郎のアレを想像させる」日本航空のボーイング747…

 

 

 

 

 

この構図は山本監督が当作の大凡二年後に当たる昭和53年に手掛けられた東映セントラルフィルム制作「生贄の女たち」にも流用されており「山本監督お気に入りの演出技法なのかなぁ…」と考えてしまいます。

 

 

 

 

その後も「紳士風の中年男性から浮気相手を都内迄送る様に頼まれ一万円を受け取ったものの「国電で帰るから一万円返して!」と言われてしまった上に初乗り料金のみで降車!されてしまう」「乗車した応援団員(日活が実写映像化したどおくまん原作「嗚呼!!花の応援団!!」の主演である青田赤道の様な風情の団員かつ、野上さんが「映画の花の応援団観たか?あれはいい映画!」と言い出す描写も在ります)が後部座席で自淫・射精した上に(行動も青田赤道そのもの!)「これは精子じゃない!カルピスだ!」と言い張った為に大喧嘩!」「自称・刑務所帰りのヤクザのたこ八郎に「伊香保温泉迄!但しスケ(=女)の所から金を持って来るから!」と言われ渋々信用。しかし逃げられた為に必死になり捕まえて警官に引き渡そうとした迄は良かったものの、一瞬の隙に車両の下に潜り込んで隠れてしまった事に気付かぬまま警官から説教を食らいその場を去ってしまった為に乗車料金を取り逃す!」「好きモノの若い女性を乗せせがまれるままに連れ込み旅館で交尾をしたものの、実は脳梅毒に侵された精神病院の入院患者であった上に過去に交尾中の男性の首を絞めて五人も殺した殺人犯と解ってしまう!」等々散々な目に遭い、勤務開始から半日経った時点での水揚げは僅か八百数十円!

 

 

そこで野上さんは一計を案じ「野上さんの休憩時間中に一組の男女に交尾の場として車内を30分一万円で提供する作戦!」を実行!これは巡回中の警官に怪しまれてはしまったもののその男女の機転で事無きを得、運気が向いて来たかと思いきや、先述の「尺八の女」に再び会ってしまった事で再び下降線に…

 

 

 

 

 

 

当作品は東映東京制作「トラック野郎シリーズ」の大入りを切欠に企画・制作された事は明らかかと思います。東映が「トラック野郎」なら我々は「タクシー野郎」でと…娯楽を知らぬ方々や口の悪い方々は「只の真似事」「二番煎じ」等々と感じられたり発言される方々も居られるでしょうが、先に登場した作品が優れているからこそ模倣した類似作品が登場するのですし、その模倣作品も真摯な姿勢で徹底的に突き詰めて完成させれば楽しく面白く認められる作品になるのが現実!当作品は正にその姿勢や言葉がピタリと嵌る傑作ロマンポルノ!

 

 

剽軽で卑猥でとっぽいものの、時には同情してさり気無い優しさや気遣いを見せる(しかしこれが先述の通り「災いの切っ掛け」となるのですが)憎めない人柄は菅原文太が演じられた星桃次郎と相通ずる点が在り、俺は大好きな作品となりました。同時にこれは「芝居が好きで愛していたからこそ作品種別や内容等々に固執せず、どんな役柄でも全力かつ数で熟して精進し続けて来た野上さんの信念・姿勢が生み出した名芝居」とも言え、是非友野上さんの知名度拡大及び再評価に繋がって欲しいと強く願うばかり!

 

 

当作品の様な「日蔭の存在であった隠れた傑作娯楽作品や、知名度が中々上がらぬままの名優がどんどん日の目を当てられる時代に戻って欲しい」と常々思ってはいるのですが、現実は中々厳しいのが残念です。