偽ドル紙幣事件にのめり込む業界新聞記者・東映東京「空港の魔女」高倉健/久保菜穂子 | 東映バカの部屋

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皆様、こんにちは。

 

 

昨晩0時に勤務を終え、月曜日13時の始業時迄の休みに入りましたが、昨日今日の陽気で3.4日前に一気に積もった雪は早くも消えつつあります。昨夜の帰宅時には秋田市内は一斉除雪が入りましたから準幹線道路や主要生活道路も問題無く走行可能です。

 

 

 

さて本日は、今年生誕九十周年を迎えた高倉健の初期の主演作品からです。

 

 

 

「空港の魔女」昭和34年11月22日公開・橋本忍/国弘威雄の共同脚本・佐伯清監督・東映東京制作。

 

 

未VHS/DVD化作品で、Amazonプライムビデオ(JUNKFILM by TOEI対象作品)内に於いて有料動画配信が行われています。尚、大凡10年前に一度東映chで放映されました。

 

 

 

 

 

三流の業界新聞社を率いていた高倉健は「偽ドル紙幣事件発生」の記事を新聞で目にし、容疑者として一時身柄を拘束されていた東京国際空港内の売店店主を訪ねましたが、その店主が殺害されていた為に健さんは要らぬ疑いをかけられてしまいます。その際、所轄署で再会したのは警視庁(本庁)の刑事である加藤嘉と新人刑事の織本順吉…この時点で「健さんと加藤さんは旧知だが、何かが隠されている事」が容易に解ります。

 

 

嫌疑無しで無事放免となった健さんは、空港で見かけた久保菜穂子が気になり独自に調査をして行くと、旅行会社の営業担当者で完全歩合給制ながらも一般月収の数倍の給与を得ていた為、いい生活をしていても何もおかしくはない…しかし「何かを感じた」健さんは本業を一時停止し当時はまだ高価だった自家用車やテレビ等々を売却をしてでも調査資金を捻出、しかも社員で最初は健さんに呆れて居た様子をも見せていた星美智子迄が「あの女の化けの皮を剥いで遣る!」とのめり込む始末。そして健さんは…

 

 

 

 

 

 

この当時、東映京都撮影所に比べてヒット作も少なければ格下と周囲から見られていた東映東京撮影所の数少ない看板作品として君臨しただけではなく、後の「東映刑事ドラマ・事件ドラマの碑」ともなった「警視庁物語シリーズ」の雰囲気を新聞記者に持たせたのかと鑑賞前は考えていたのですが、全くの別物!

 

 

健さんは「完全な反権力志向=偽ドル紙幣を掴まされて売り上げを白紙にされた上に、それを補填する為に無理をしたタクシー運転手の悲惨な末路を目の当たりにしながらも、何処迄も法令遵守を主張し同時に「いい勉強代」と補償もしない国家・警察への批判」を堂々と加藤さん・織本さんにぶつける程!それに対し織本さんは「ケツの青い新人刑事役」ですから逆上せ上がりますが、加藤さんは「立場上先述の通りに行動しなければならぬものの、健さんの心情に関しては一定の理解を示している様子が伺える」のも明らかですし、それが「健さん・加藤さんの反目し合いながらも或る程度心が繋がっている理由=最後の最後で明かされる健さんの辛く悲しい過去」の場面で納得が行く様に構成されています。

 

 

そして「追う健さん・追われる久保さんが何時の間にか相思相愛の関係に陥っているのではないか?」と受け止めてしまう描写が始まってからの展開が見物!ましてや先述の通り「健さんの過去は最後の最後迄明かされない」のですから「ペンを正義に闘う記者から共犯者に成り下がったのか?」としか思えぬ一方で「気持ちは解るし俺もそうなるかもなぁ…これだけの美女なら自分だけのものにしたくなるし加えて金も有るのだから」と、俺を含めたど助平でボンクラ野郎の東映ファンならば多くはそう思うかと。

 

 

勿論、この手の作品には「顔役・行動役」が欠かせませんが、その点も手抜かりの無い中々の秀作です。