困った時のシンボルちゃん頼み?東映東京「不良番長・口から出まかせ」梅宮辰夫/大信田礼子/菅原文太 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

休み二日目ですが、昨日日中迄の暖かさは夕方以降鳴りを潜め、急速に気温が低下しています。今日の日中には洗濯物が乾燥機を使用しなくても乾く程度迄になって欲しいのですが、期待は薄いです。

 

 

 

さて、昨日は梅宮辰夫のご命日…東映chでは一周忌を祈念して「辰ちゃん特集」が放映されていますが、今回は何方かと云えば「ソフト化された作品も存在してはいるものの、これ迄余り取り上げられなかった浸透度の低い作品」で構成されています。勿論此方にも辰ちゃんご本人が生涯一番の作品と生前お話をされていた「花札勝負」や、「夜の歌謡シリーズ」第一弾ながらも日の目を見られずにいた「柳ヶ瀬ブルース」等々隠れた傑作揃いですが、やはり辰ちゃんの代表作品かつ代名詞となると、不良性とスケコマシ振りを融合させた辰ちゃん主演でなければ成立しなかった「不良番長シリーズ」と言う方が非常に多いと思いますし俺もそうです。

 

 

事実、東映の劇場公開作品に於けるシリーズ作品(幼少者向けの作品群を除きます)としては「警視庁物語シリーズ」「網走番外地シリーズ+新網走番外地シリーズ」の総作品本数に次ぐ十六本ですし「他作品との合体作品」が一作品(極道VS不良番長)/辰ちゃんが「神坂弘」の名をそのまま使用して出演が1作品(女番長(スケバン)ブルース・雌蜂の挑戦)/神坂の成りのままで出演した作品(同時に菅原文太は「関東テキヤ一家」の成りで出演しています)が一作品(喜劇・ギャンブル必勝法)も存在しています。そこで本日は此方の作品を…

 

 

 

「不良番長・口から出まかせ」(「不良番長シリーズ」第十弾)昭和45年12月30日公開・山本英明/松本功の共同脚本・野田幸男監督・東映東京制作。

 

 

VHS/DVD化作品で、DMM.com/TSUTAYA TV/ビデオマーケット/Amazonプライムビデオ内に於いて有料動画配信が行われています。尚、KINENOTEの作品情報内の出演者についてですが、渡瀬恒彦・悠木千帆(後の樹木希林)等々は未出演ですし、実際の配役とは違っている役者陣も複数見受けられます。

 

 

 

 

 

「網走番外地シリーズ」第十五弾(「新網走番外地シリーズ」第五弾)の「新網走番外地・吹雪のはぐれ狼」の併映作品。因みに昭和45年・46年の東映の年末年始興行番組は「新網走番外地+不良番長」かつ、他の時期に於いても「日本女侠伝シリーズ」「女渡世人シリーズ」「極悪坊主シリーズ」「石井輝男監督の東映異常性愛路線シリーズ」等々と組み合わせられており、併映作品としての東映からの絶大なる信頼と観客側からの高い支持を受けていた事が解ります。尚、東映社内に於いては俊藤浩滋・近藤照男等々の統括は「不良番長が嫌い」だったのに対し、岡田茂・前東映名誉会長(当時は映画本部長兼東映京都撮影所所長)や鶴田浩二は「不良番長は面白くていい作品」と評価をしていた模様です。

 

 

 

 

 

●東映公式・YouTube動画(再生ボタンを押すと無料の予告篇の再生が開始されます)

 

 

 

 

 

 

日本を離れて数年後、筏で米国大陸を目指していた辰ちゃん率いるカポネ団(他の面々は山城新伍・安岡力也・ルーキー新一。中盤からは宮内洋も加わります)が辿り着いたのは清川虹子が村長を務める関西地方の或る漁村…しかもこの地は丁度この時期に男性群が遠洋漁業に従事しており一時的に女だらけの村となっていた為カポネ団全員は「欲求不満の女性達による大歓迎会と云う名の酒池肉林の犠牲」となり精も根も尽き果てる羽目になりましたが、丁度この時に村を襲撃に来た関西で幅を利かせていた曽根晴美率いる愚連隊「ジャンボ団」(他の面々は伊達弘・団巌・小林稔侍・花田達)と一触即発の状態となります。しかしそこは「ペテンの実力は超人級」の辰ちゃん…ジャンボ団と小林千枝等々の「漁村の若い娘達」を巧く丸め込み、大阪・釜ヶ崎に「会員制のヌードクラブと云う名のフリーセックス専門店」を由利徹(関西在住の設定でも言葉は完全な東北弁)が経営する旅館を乗っ取る形で開店させ巨万の富を得ます。

 

 

「商売を考えたのは俺!悔しかったらナオン(=女)の一人でも連れて来い!」と辰ちゃんは曽根さんに言い放った所、普段から辰ちゃんを快く思っていなかったジャンボ団の面々は大阪国際空港に降り立った大信田礼子を誘拐・拉致監禁したのですが、この礼子さんが食わせ物!何故なら「大手製薬会社の重役である永井英明の実娘ながらも親子関係が最悪で海外に飛ばされたにも関わらず無断帰国をしたじゃじゃ馬!」で「誘拐したなら身代金をじゃんじゃん取りなさいよ!」とカポネ団・ジャンボ団を煽り「パパの会社は麻薬を扱っているのよ!」と迄話す始末。これが製薬会社の社長・安部徹や安部さんの秘密を握る辰ちゃんの鑑別所時代の仲間であった菅原文太を巻き込む騒動となって行き…

 

 

一応、脚本は存在してはいるものの「現場の雰囲気や閃き・アドリブも同等に重視し、観客が喜ぶことのみを考えて制作した作品なのでは?」と感じる程楽しく面白い作品!何せ野田監督は「自らの作品を映画館に行って鑑賞しどの場面がウケたかを全て確認したり、今回の作品では何か所以上笑わせると云う目標を以て毎度臨んでいた」と言われていますし、当時の他作品出演よりも明らかに肩の力が抜けた楽しい芝居を見せていた文太さんも「トラック野郎シリーズ」出演時代のインタビューで「娯楽は考え過ぎるよりもその場の閃きが生きたりする場合も多いし…」という意味合いの事をお話しされていた記憶も在り、娯楽映像作品の制作現場としては非常に理想的な雰囲気であった事が作中からも伝わって来ます。悲壮感・絶望感の極北ともなり易かった東映仁侠映画作品群/現代ヤクザ映画作品群等々とは明らかに一線を画す「人が大量に死んで行く決斗でさえも大馬鹿・爆笑演出最優先で描かれている事」も美点かつ「テレビドラマの現場に主戦場を移した野田監督が脱線の許されぬ作品群でも辣腕を発揮出来たのは、これ等が確実に出来た事が一番の理由なのだろうなぁ」と納得させられるもの(同時上映される作品群の結末の雰囲気とは真逆のものを念頭に置いて東映側及び監督を筆頭とする制作関係者は「不良番長シリーズ」の制作に臨んだ可能性も高いのではないかと思います)。

 

 

そしてこの作品は「新伍ちゃんの十八番のアドリブ展開」は勿論の事「大阪から東京へのヒッチハイクに於いて、女性が運転するトラックの前に飛び出し親指ではなく満面の笑みで自慢のシンボルちゃんを勃てて急停止させる!」「着ぐるみ剥がされ新宿駅前に放り出されたカポネ団が暖房付きの動物園の檻で一夜を過ごしていた際、雌ゴリラが居る事に気付かなかった事で危機が迫った時、辰ちゃんは再び自慢のシンボルちゃんを勃てて雌ゴリラをベッドインに誘い込む!」この二場面が最大の笑わせ処となるかと思います(他に曽根さんと経営権を賭けたシンボル勝負も在ります)。この様な場面は「逆さま言葉」「腹黒いが憎めないスケコマシ」と同様、辰ちゃん以外の役者では絶対に成立しない場面でありますし、考案及び実現可能な映画会社も東映以外には在りませんでした。さすが東映!

 

 

 

 

他の出演者に関しても、安部さんと昵懇の暴力団組長の諸角啓二郎・安部さんの会社の麻薬取引に関わっている藪医者の園佳也子・社の内部状況を告発しようとして強制入院させられた元社員の北川恵一・カポネ団をモニター重役に選考した事で安部さんに解雇を通告された人事関係役員の南利明・宮内さんに一目惚れし何事も最優先する性格に変貌する東京のホステスの時美沙・カポネ団が東京で根城とする居酒屋の助平親方の上田吉二郎・大阪在住のオールドミスでありながらも由利ちゃんと同様此方も台詞は完全に東北弁の若水ヤエ子(「東北流れ者」と云う歌を出していたとの話が在り、是非一度聴いてみたいもの)等々、この作品の楽しさと面白さを更に盛り上げる面々がこれでもかと云う程登場します。

 

 

 

 

最後に、多くの皆様が既にご存じの通り昨日、小松政夫の訃報が報じられました。ご冥福をお祈り致します。

 

 

その小松さんも昭和44年に制作された「不良番長シリーズ」第四弾で内藤誠監督の第一回監督作品である「不良番長・送り狼」に「カポネ団の一員」として出演しています。此方はVHS/DVD化作品でひかりTVビデオ/DMM.com/TSUTAYA TV/ビデオマーケット/Amazonプライムビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。追悼を込めて、是非一人でも多くの方々にご覧頂きたいと思います(他に東映作品では「喜劇・初詣列車」「新宿(ジュク)の与太者」「極道の妻(おんな)たち(岩下志麻主演のシリーズ第一弾)」等々にも出演されています)

 

 

 

 

 

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