貧乏侍の破滅を徹底的に描いた四谷怪談!東映京都「怪談・お岩の亡霊」若山富三郎・加藤泰監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんばんは。

 

 

昨日22時に勤務を終え、月曜日13時の始業時迄の休みに入りました。季節外れの暖かさで秋田市内は降雪ではなく降雨…そしてここ一か月の間に深夜帯の死亡事故が多発している為か、主要幹線道路は交通機動隊の車両が白黒・覆面共に相当目を光らせています。早く帰宅したいからと徐に加速をしよう物なら、桜の代紋が手薬煉引いて青切符(最悪の場合は赤切符か両手をガシャン!)。因みに俺の通勤経路に設置されていたレーダー式オービスが先月撤去されましたからサツの旦那方は尚更本気でしょう(因みに秋田市内では他にも2.3か所の同型オービスがここ数年で撤去されました)。

 

 

 

さて本日は簡単に…今月の東映ch「傑作時代劇スペシャル」の枠内で放映の一作品からです。

 

 

 

「怪談・お岩の亡霊」昭和36年7月2日公開・加藤泰脚本/監督兼任・東映京都制作。

 

 

DVD化作品でTSUTAYA TV内に於いて有料動画配信が行われています。又、先述の通り東映chに於いて本日以降、12/22(火)11:00~13:00・12/27(日)17:00~19:00の二回放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

 

泰監督の著書によれば「統括から「兎に角怖い作品を制作してくれればそれでいい。注文はそれだけ」と言われ「東海道四谷怪談」を徹底的に読み、人間達を自らの目で徹底的に睨み、徹底的なリアリズムを遣ってみた。その結果「女の亡霊の復讐劇及び因果応報の勧善懲悪劇」ではなく「意思が弱いが故に安易に生に執着し悪に居直ろうとする男の破滅のドラマ(貧乏侍に扮した若山富三郎の破滅を徹底的に描いたドラマ)」となった」との事。

 

 

その為「舞台設定は最初から江戸」「お岩こと藤代佳子の実妹こと桜町弘子の恋人である沢村訥升は殿様のお国入りに同行する為長期不在となっている」「藤代さんに毒を持ったのは若山先生でも、毒を提供し事を画策したのは、若山先生に一目惚れした愛娘を不憫に思った高利貸しの父親の考案である事」「若山先生と一蓮托生の近衛十四郎に対する沢村さん・弘子さんの終盤の決断(ここは結末を大いに面白くする捻りが効いています)」等々、原作及び同原作を元とした他の映像作品と大きく違う点が相当に見られるもののこれはこれで非常に面白いですし、当作品の良さは実際にご覧頂く以外には無いかと…

 

 

 

 

 

 

 

当作品の主役に選ばれた時、若山先生も嬉しかったでしょうし真摯に悪になり切ったのではないかと思いますよ。と云うのも、実弟の勝新太郎が大映京都制作「不知火検校」で悪に徹し頭角を現したのは当作品公開の前年である昭和35年(此方も傑作ですし、俺は勝新の主演作品では一番好きです。何せ「座頭市シリーズ」誕生の切っ掛けにもなっていますし)。

 

 

 

 

 

 

可愛い仲の良い実弟が出世の切っ掛けを掴んだ事は嬉しかった反面、悔しさも若山先生はそれなりに抱えていたでしょう。そんな時に飛び込んで来た「貧乏侍の破滅の物語」かつ「不知火…の森一生監督に負けず劣らずの加藤泰監督の作品」は若山先生にとっては願ったり叶ったりの嬉しさだったのではないかと考えます。事実、悪党振りは勝新に匹敵しており、その「灰汁と悪」が得意の殺陣を更に際出せたのではないかと感じる程!観たら絶対に気に入って頂ける方々が相当数居られるだろうと感じる大傑作です!

 

 

最後に…一般的な評価や人気では残念ながら「勝新に圧倒的に差を付けられている感が強い若山先生」ですが、勝新も認めていた通り「芝居も殺陣も若山先生が上」(但し「相当なレベルに於いての優劣」ですのでその点はご留意下さい。尚、勝新は「企画力は俺が兄貴よりも上」と思われていた様ですが、俺はこの点は「互角」と見ています)。今後正当に評価される場や機会が与えられるべき名優の一人です。