同級生の名家未亡人と年上女房の狭間に立たされたフランキー堺!東映東京「喜劇 「夫」売ります」 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

●この記事は令和元年11月14日の記事を一部編集の上再掲載しています。

 

 

皆様、おはようございます。

 

 

2時に勤務を終え、水曜日8時の始業時迄の休みに入りました。何せ今月から夜勤は当面17時から翌日2時迄となった為…久方振りの八連休後の勤務かつ、慣れぬ時間帯で疲れは普段の長期休暇明け以上の為、過去の記事の再掲載と致します。何卒ご容赦下さい。

 

 

 

昭和43年に岸宏子原作「売らいでか!」を元に本日紹介をする劇場公開版が制作/公開され、翌年の昭和44年にはNNN系列でテレビドラマ版も放映開始(俺はテレビドラマ版は未見です)。主演は双方ともにフランキー堺。

 

 

尚「舞台版」は極最近に於いても上演されている模様です。

 

 

 

「喜劇 「夫」売ります!!昭和43年11月9日公開・岸宏子原作・池上金男/瀬川昌治の共同脚色・瀬川昌治監督・東映東京制作。

 

 

未VHS/DVD化作品ですが、DMM.com/ビデオマーケット/Amazonビデオ(JUNKFILM by TOEI対象作品)/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

●東映公式・YouTube予告篇動画

 

 

 

 

 

 

「伊賀上野」こと三重県上野市(現在は「平成の大合併」による広域合併で伊賀市に移行)を舞台に(映像を観る限り、スタジオ撮影以外はほぼ全て三重県内で行われていた様子が伺えます)フランキー堺が「同級生で名家の未亡人・佐久間良子」「年上女房の森光子」の二人の狭間に立たされた上に、或る誤解を切っ掛けに森さんから佐久間さんに50万円で売られてしまう物語!

 

 

しかし「その人員売買」を境に堺さんは「新規事業である観光ホテルの支配人」として小間使いから異例の抜擢となり、森さんはその50万円を元手に組紐の製造・直接販売を開始し「お互いにこの先は薔薇色の人生が!」となるかと思いきや…森さんは安泰であったものの、堺さんは「怪文書騒ぎ」(観光ホテルではなく連れ込み旅館である上に、佐久間さんと堺さんが熱愛していると云う内容)に巻き込まれ、佐久間さんはこの騒動が発端となり手形決済不履行の瀬戸際に追い込まれる事態となり…

 

 

 

 

 

 

東映のお家芸である「卑猥で下品で、出演者全員によるスタンドプレー大会の趣」「粋な台詞と激しいアクション…しかし格好を付けたいが為の嘘八百と付け焼刃の知識の披露(しかし「勘違い・言い違え」等々は数知れず)が「これでもか!」とポンポン出てくる流れ」等々とは一線を画し、喜劇ではあっても松竹カラーに近いです。

 

 

瀬川監督は当作品の前に監督を手掛けられた東映東京制作・渥美清主演「喜劇・列車シリーズ」全三本の出来を評価した当時の松竹社長・城戸四郎の誘いを受けた上に「ちょっと行ってこいよ!」と云う当時の東映京都撮影所所長・岡田茂前名誉会長に言われた事から松竹に移籍をし、此処で更なる本領を発揮されました(一方で「東映との関係」もきちんと残され、松竹移籍以降はテレビドラマの演出に多数関わっています)。

 

 

そして、極一部の都市圏を除いて未だに全国に色濃く残る「悪い風習」を面白可笑しく見せながら痛烈に非難をする事を忘れていない流れも美点

 

 

「小さな噂がどんどん大きくなりながら僅か数十分で町中に広がる上に「人の噂も七十五日」どころかそれ以上に残る現実」「郷に入っては郷に従うを都合良く解釈する年配者・生粋の地元住民と嫁・余所者のぎくしゃくした関係」(森さんと姑役の安芸秀子の関係に色濃く表れています)「地方の名家と称される佐久間さんの、誰にも話す事が出来ないからこそ尚更重圧となる孤独さ・堅苦しさ」「地域の慣習・思考等々を無視し一度郷里を離れた人間に対する冷たい対応」(「最終学歴は高校卒業で十分!」と云う父親・多々良純の意向に反してアルバイトで学費を稼ぎながら大学を卒業し、佐久間さんの会社の動脈硬化状態を打破すると同時に「親子で使用人の家に部屋住まいする現状」からも脱却しようとして最終的に失脚をした川崎敬三がこの役を請け負っています。私利私欲の面が存在していた事は否めませんが「保守的な地域柄とうだつが上がらない一族の現状に楔を打ち込もうとした心意気」は買います)等々、主演の堺さんは「振り回され役」に過ぎず(これはこれで適任です)主題は堺さんを取り巻く人々にあったのではないかと思う程!

 

 

「怪文書事件の顛末」も意外な真実が!

 

 

 

尚「悪い風習」に関しては「度合い・感覚・起きている事態」等々、地域により大きく違うと思われます。例えば俺の郷里の岩手県や居住地の秋田県では、営業担当時代に彼方此方を回って感じた事として「被差別部落の存在は確認が出来てはいても、幕府の意向に反してほぼ機能しなかった関係で部落差別が存在していない反面(此方では「部落」は「集落」を意味する言葉として日常会話で使用しています)他地域からの移住者や言葉(方言)の違う方々を簡単には受け入れない風習(東北管内・同一県内からの移住者に対してもその様な対応を取られてしまう事が多々有ります)」「一度でも出生地を離れてしまうと「余所者扱い」とされてしまう地域が有る」「郡部に於いて、未だに「本家・別家の力関係」が強く残っており、それが様々な弊害を生んでいる事が多々在る」「古きものばかりが良し悪しを問わずに残され、新旧の融合によるより良い地域環境作り・職場環境作り等々が他地域と比べて遅れている感がある(但しこの点は俺も大きな事は言えません。「考え方が古い」とよく言われていますので)」「目上最優先・男尊女卑の志向がまだまだ根強い」等々の問題を抱えているなぁ、と…

 

 

しかもお客様によっては「都市部こそ一番の田舎!(秋田県なら秋田市・岩手県なら盛岡市)何故なら田舎者の集合体だから!」と言われる方も居られました。こうなってしまっては「そうですねぇ」と、自身の意思に反して相槌を打つしかありませんでした。

 

 

 

話が脱線してしまいましたが…この様な顔触れの中で「孤独感と世間知らずぶりを顕著に見せる役」に(但し「人間を見抜く力」はそれなりに有りましたから、堺さんを「ホテルの支配人」に指名し、いざと云う時には助け船も出してはいます)佐久間さん(同時に「当時の東映の女優不足」を露呈していますが)「計算高さが際立つ上に弁も相当なもの…しかし口には出さない心の温かさが感じられる役(愛娘の「お父ちゃんは!」の一言に反応した際の「無言の表情」は見事!)」に森さんは適任でしたが「川崎さんと手を組みながらも駄目と解ると即座に相棒を森さんに変えた、計算高い強かな独身美女」橘ますみの可愛らしさは際立っています!

 

 

考えてみると、ますみさんが当作品の前に出演された劇場公開作品が、東映京都制作で「人間を人間として扱わない…特に「女優の扱いの酷さ」では東映一!」と言われていた(撮影中に「折角掴んだ大役」を放棄して現場から失踪した女優も居ます)石井輝男監督「徳川女刑罰史」!何処かで読み聞きした話では「同心役の渡辺文雄に縄で天井海老吊りにされた上に冷水をこれでもかと浴びせられた際に号泣して撮影が止まった」とも言われており(他作品だった可能性も有り。もし間違いの場合は何卒ご容赦下さい)その時の「嫌な経験」を忘れようとしたのか、東映京都と気風が違う東映東京の雰囲気が心地良かったのか、将又デビュー当時の「普通の若年女性の役」に立ち返る機会を得られた為なのか等々と思わせる程「芝居の範疇を超えているかの様な明るく生き生きとした芝居と表情」が印象に残りました。

 

 

「ブルジョアになれるのね!」と言えばいいものを「ブルーバードに乗れるのね!」(日産自動車「ダットサン・ブルーバード」の事)と言い間違え、川崎さんに咎められる場面も存在!