「単純・粗暴・純情」がぶつかり合えば…東映東京「トラック野郎・望郷一番星」菅原文太/梅宮辰夫 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日は休日出勤で仕事納め…本日から来年1/5(日)迄休みとなり、明日から1/4(土)迄郷里の盛岡に行きます。そして、来年からは4勤2休の変則勤務体制から再び夜勤専従体制となり(予定は今年度一杯でしたが、部署内の能力均衡化等々から前倒しとなりました)記事の更新は週末となります。

 

 

 

さて、梅宮辰夫がご逝去されてから大凡二週間となりましたが「共演者の中では特に相性が良かった一人」(辰ちゃんのお話では「現在の奥様との酒席に付いて来てくれた恋のキューピット」でもあるらしいです)と言えば菅原文太。

 

 

「不良番長シリーズ」では半分の作品に「助っ人枠」として出演した「準レギュラー」他にも「直接共演した作品のみ」に限って見ても「関東テキヤ一家シリーズ」二作品「血染の代紋」「やくざ対Gメン・囮」「安藤組外伝・人斬り舎弟」「県警対組織暴力」等々多数!

 

 

 

その中でも最高峰クラスと言えば「仁義なき戦いシリーズ」の正篇五部作の「第一部」「代理戦争」「頂上作戦」も在りますし「此方が一番!」と言われる方も多いでしょう…しかしここは敢えて「単純・粗暴・純情がぶつかり合えばどうなるか?」即ち「星桃次郎同士が衝突をしたらどうなるのか?」が企画段階から構想されていたのではないかと感じてしまうこの作品を一番に挙げます!

 

 

 

「トラック野郎・望郷一番星」(「トラック野郎シリーズ」第三弾)昭和51年8月7日公開・野上龍雄/澤井信一郎の共同脚本・鈴木則文監督・東映東京制作。

 

 

VHS/DVD/ブルーレイ化作品で、DMM.com/Hulu/TSUTAYA TV/ひかりTVビデオ/ビデオマーケット/Amazonビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

●東映ビデオ公式・YouTube予告篇動画

 

 

 

 

 

 

現在販売中の1/32スケールのプラモデルの箱絵ですが「望郷一番星仕様・一番星号」は此方。

 

 

「海上に鯉!」は有り得ないですが力強さが在りますし「津軽海峡を超える恋」に「鯉」をかけたと思えば納得!しかも「運転席側・赤鯉/助手席側・青鯉」と「対」にもなっています。

 

 

因みにこの車両より「運転台正面の電飾にV字マーカーを装備」「電飾が大型車の標準である24ボルト仕様から、荷室に発電機を備えた100ボルト仕様に改造され、明るさと派手さが前作品とは比べ物にならぬ程に発展!」「後方確認用のカメラと白黒モニターを装備」「警笛をマリンホーンに変更」「夜間走行場面に限り、荷台の両側面に最大で各四台/背面に一台のスポットランプを装備可能」等々、前作品「トラック野郎・爆走一番星」から大幅に進化しています。

 

 

更にこの「三菱ふそう・FU113型改・大型冷蔵冷凍車」(昭和50年式)は東映が北海道・室蘭で購入した新古車…その感謝の意味からも「望郷一番星」の舞台は北海道となったのではないかと思っています。

 

 

 

 

 

 

広島のカンカン場(カンカン=過積載の取り締まり)で室田日出男・川谷拓三扮する警察官をおちょくって木っ端を食らわされていた松鶴屋千とせ…しかし「県警本部車両の衝突炎上事故発生!」と云うでっちあげの事態を警察無線に入り込んで拡散し「お前では点数が足らん!出世に響く!」と、千とせさんや他のトラック野郎仲間達を助ける(?)仲間思いと男気を見せた桃次郎・ジョナサンの行動で物語は始まりますが、最初から最後迄アクセル全開!

 

 

「前代未聞の子連れトルコ風呂!(男女合わせて9人!)しかも叶優子の一言は「まさか彼方此方で作った子供じゃないでしょうね!」小学生がサックを膨らまして遊ぶ場面も在り!」「フェリー上の甲板で勃起し、乗船中の女性客の尻にぶち込もうとした桃次郎!」「野糞中に馬の野糞に遭遇し「下品な馬だ!飼い主のツラが見たい…」(飼い主はマドンナの島田陽子)と褌で顔の汗を拭う桃次郎!しかもマドンナ・島田さんの満面の笑みの後に馬糞のアップを見せるとは…さすが東映!」「下痢なら僕にお任せ下さいと獣医を殴る桃次郎!」「あて馬(種付の助手=交尾の際に雌馬を興奮させるのみで、本番は血統のいい馬が行うとか…)に対し「一生本番無しか!人間にもこう云う野郎は居る!」と言い放った後に桃次郎自身がフラれて最後には「…兄弟!」と呟く」等々「下品こそ、この世の花」が全般に散りばめられていますが…

 

 

「桃次郎に負けぬ純情さ」を見せているのが「カムチャッカの熊」こと辰ちゃん!本名・大熊田太郎次郎左衛門!

 

 

島田さんの牧場の馬に「後で人参食わせてやるから!」と、乗馬経験が全く無いにも拘わらず勝手に騎乗し「あんまりスピード出すとお巡りに捕まるぞ!」と言っても通じる筈は無く落馬した桃次郎の話を大いに盛って「SMで処女喪失したじゃじゃ馬」に見立ててトラック野郎仲間達に吹き捲っていたジョナサン…

 

 

その途中でこの場に入って来た辰ちゃんは、一途に惚れていた女運転手「はまなすお涼」別名「北海道のじゃじゃ馬」土田早苗の「処女喪失話」と勘違い!(因みに桃次郎は土田さんとの初対面時「売れ残りのじゃじゃ馬!」と言い放ちお見舞いを食らっています)しかも桃次郎の「処女殺しの一番星だ!北海道のじゃじゃ馬なんか目じゃないよ!鞭使ってヒーヒー言わせて遣った!」の一言がとどめとなり辰ちゃんは激怒!ドライブインでひと暴れした後は、一升瓶を片手にラッパ飲みをしながら愛車「四代目カムチャッカ丸」(大型冷凍トレーラー)で飲酒運転!

 

 

ただでさえ面白い場面描写に「辰ちゃんの脳内想像図=文太さんと土田さんのSMプレイの一部始終!」をご丁寧に挿入しているのですから抜け目が無いと云うか、火に油を注ぐ面白さと云うか楽しさと云うか…ソクブン監督と東映には頭が下がります。

 

 

「この恨み」「俺みたいにデリカシーが在ればこんな悲劇は起きなかった!あの石頭の皮をひん剥いて根性を叩き直して遣る!」「十八番の嘘八百が飛び出した、同じ穴の狢である筈の桃次郎の一言!」も在った為に釧路の市場での決闘に発展し「口元の血を二度も島田さんに拭って貰った桃次郎!「俺のも拭け!」と懇願したら「甘ったれるんじゃないよ!」と土田さんに殴られた辰ちゃん!」と云う「新たな妬み」が加わり、冷凍保管庫で辰ちゃんは桃次郎に「金ちゃん蹴り」を食らわし桃次郎が股間に手を添え悶絶したはいいが…ジョナサンが温度を下げ過ぎて二人は動きが止まります!

 

 

しかも「この見せ所」で凍らせる思考も「やはり東映!やはりソクブン監督!」と思わせる大爆笑場面!

 

 

しかし「曲がった事には牙を剥き、仲間思いで男らしさは人一倍」と云う点も桃次郎と共通しており「一番星ならきっと遣る!」と信じて、酷暑の中釧路・札幌間を40トンの生物を積んで激走する桃次郎を(通常であれば8時間の行程を6時間で走り切らなければ、ジョナサンが2000万円の負債を抱えてしまう設定)電話と車両無線を駆使してトラック野郎仲間達の応援を貰いながら、一番星号のバースト(タイヤの破裂)回避を第一に作戦を指揮して行きます。

 

 

タイヤの交換を指示する辰ちゃんに対し「小便する暇も無い!」と無視する桃次郎…辰ちゃんは桃次郎の心理を読み取ったのか「道路を水浸しにしてタイヤの温度を下げる作戦」に指示を切り替え当面の危機は回避…「望む事と望まれている事は必ずしも一致しない」「心理をより的確に感じ取る事の重要性」等々を教えてくれる場面でもあります。

 

 

因みに、荷は時間に何とか間に合ったものの一番星号は最後の最後でバーストが発生、更に壁面衝突し走行不能状態となった上に桃次郎は軽傷を負います。そして「ありがとうよ、一番星」と云う仲間達に対して桃次郎が言い放った言葉は「礼ならトラック野郎の皆に言ってくれ…」。

 

 

この一言と桃次郎の精神構造…単純明快ではありますが非常に重い言葉ですし、俺を含めた現代人が肝に銘ずるべき思考と言い切っても過言ではないでしょう。

 

 

「締め」は「走行不能に陥った一番星号をやもめのジョナサン号が牽引する情景」ですが、これが物語を更に奥深い物としています。

 

 

 

 

 

 

数年前に「トラック野郎シリーズで一番好きなのは片平なぎさがマドンナの第五弾「度胸一番星」である」と書いたのですが、現在では「一番はこの「望郷一番星」二番が僅差で「度胸一番星」である」となります。「桃次郎が二人居る」と云う設定が順番を変えました。

 

 

「ボーイズ・ビー・アンバランス!」も明言!

 

 

当作品には今年も話題を振りまいた上沼恵美子が「海原千里」名義で、東てる美がノンクレジットで大凡5秒、由利徹が「オシャマンベイ!」を言う為だけに大凡30秒、そして都はるみが「トラック音頭」を歌唱する為に特別出演をしています。

 

 

尚、現在YouTubeには「文太さんが舞台上で「一番星ブルース」を歌唱した動画」(途中から「左耳に左手を添え歌う姿=鶴田浩二と同じ歌唱法」を見せてくれます)「文太さん・欽也さんがシリーズ第二弾「トラック野郎・爆走一番星」のマドンナ役であったあべ静江と共に「トラック音頭」を歌唱する動画」(欽也さんがあべさんに「隣に桃次郎が居ますが…」と言い放つと、文太さんが「キラキラキラ…」と呼応する姿が見られます)が存在していますので、是非ご覧になって見て下さい(投稿者様へのご迷惑を回避する為、また、動画の削除に至らぬ様にする為、お手数をお掛けしますが検索は各自で行って下さいます様にお願い致します)。

 

 

 

現在の映画館の多く、特にシネマコンプレックスは「面白い場面で大笑いする事さえ嫌悪される」そうですが、この「トラック野郎」をその様な映画館で上映してみては?

 

 

「不良番長シリーズ」「温泉スッポン芸者」「東京ふんどし芸者」「河内のオッサンの唄」「シルクハットの大親分」等々でもいいですが…東映は「この類の作品の宝庫」ですしね!

 

 

「我慢大会」となる可能性も秘めてはいますが、開始数分で「この作品は笑わずしては観られない!」と共通認識を皆が持ち始めて、例え台詞が聞き取れぬ程の爆笑となっても誰一人として苦情を言わず、満足して映画館を後にすると思いますし「古き良き時代の映画館」を取り戻す切っ掛けとなる様な気がします。

 

 

 

最後に、令和2年1月5日(日)の東映chの無料放映作品案内です。

 

 

 

●20:00~22:00「網走番外地」(「網走番外地シリーズ」第一弾)。字幕付きHD放映。

 

 

VHS/DVD/ブルーレイ化作品で、DMM.com/TSUTAYA TV/ビデオマーケット/Amazonビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から


 

※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

●東映公式・YouTube予告篇動画

 

 

 

 

 

 

●22:00~24:30「やくざ戦争・日本の首領(ドン)」(「日本の首領(ドン)シリーズ」第一弾)字幕付きHD放映。

 

 

VHS/DVD化作品で、ひかりTVビデオ/DMM.com/TSUTAYA TV/Hulu/ビデオマーケット/Amazonビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

●東映公式・YouTube予告篇動画