小林旭の東映劇場公開作品初出演!東映京都「ゾロ目の三兄弟」田中邦衛/渡瀬恒彦・山下耕作監督 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

 

 

昨日の17時半に勤務を終え、月曜日20時の始業時迄の休みに入りました。

 

 

暖冬の傾向をそのまま引き摺っている様な天気は続いていますが、一昨日は僅かではあったものの場所により積雪となり「冬将軍の最後の足掻きか?」と感じました。

 

 

そして今年は年頭に「当面は業務量が少なくなり、それに伴い残業も抑える様に」と言われてきましたが、今月に入り状況が好転し始め、少しずつではありますが残業時間が日に日に伸びて来ています。

 

 

 

さて本日は「小林旭が初めて出演をされた東映制作劇場公開作品」です。

 

 

 

「ゾロ目の三兄弟」昭和47年4月14日公開・今東光原作・高田宏冶脚本・山下耕作監督・東映京都制作。

 

 

未VHS/DVD化ですが、GYAO!ストア内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

又、今月の東映ch「傑作任侠スペシャル」の枠内の一作品として、本日以降3/23(土)22:00~24:00に放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

「劇場公開作品初出演」と「但し書き」を行ったのは、旭兄ぃは昭和46年に東映東京テレビプロダクション制作・ANN系列放映のテレビドラマ「ターゲットメン」に主演として「東映作品初出演を果たされている為」です(DVD化作品)。

 

 

直近では二年程前に東映chで放映されましたし、東映chの慣例から考えると、そろそろ「二度目の放映」が行われるものと思います。

 

 

 

 

 

 

「ゾロ目の三兄弟」と共に上映されたのは「ギャング対ギャング・赤と黒のブルース」佐藤純彌脚本/監督兼務・鶴田浩二主演・東映東京制作。

 

 

VHS化作品ですが未DVD化で、GYAO!ストア内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

「ゾロ目の三兄弟」が「日活ダイヤモンドライン」の旭兄ぃの主演ならば「赤と黒のブルース」には同じダイヤモンドラインから二谷英明が「神奈川県警察・捜査四課課長」として出演。

 

 

その「二谷さんの芝居」は、後に主演を務められた東映東京テレビプロダクション制作・ANN系列放映「特捜最前線」の神代課長を彷彿とさせるもので「原点は「赤と黒のブルース」の芝居なのか?」と感じる程!

 

 

 

そう云えば、去年?一昨年?失念しましたがTBSch1で放映されていた「トップスターショー・歌ある限り」で司会の二谷さんとゲストの旭兄ぃが対談されていたのを視聴していたのですが「俳優部屋が存在せず、家庭的な雰囲気で皆仲が良かった」と言われている日活の雰囲気がそのまま表れていたかの様で、旭兄ぃは二谷さんを「エイメイさん」と呼び、二谷さんは歌唱を始めた旭兄ぃの肩に手を添えた後に席を離れる姿が良かったです(この番組は今後も放映される可能性が有ります)。

 

 

 

そして渡瀬恒彦は「ゾロ目の三兄弟」「赤と黒のブルース」の双方に出演をされています。

 

 

 

「ゾロ目の三兄弟」は昭和20年代後半の大阪・鶴橋と河内が舞台。

 

 

半ば強引に鶴橋をシマ(縄張)とした、小さな一家の親分で長男の旭兄ぃ(女房は弓恵子)父親である北村英三の身の世話をしている関係で河内に有る資産を引き継ぎ、大衆食堂を営む次男の田中邦衛(女房は池田幸路)船乗りで三男の渡瀬恒彦の「三兄弟」が「北村さんへの親孝行の度合い・没後の遺産相続争い」「陰の有る美女・土田早苗」等々で激しく争いながらも、邦衛さんの住む河内に工場の建設を目論んでいる大手繊維会社と、工場建設/土地の買収に暗躍をしている河津清三郎/天津敏が率いる大組織に牙を剥ける物語。

 

 

 

 

 

 

「硬軟の使い分けは朝飯前かつ、当作では水準以上の滑稽さを見せている御三方」の旭兄ぃ・邦衛さん・恒さんですが、役割分担はしっかりと為されており「硬の旭兄ぃ・軟の邦衛さん・勢の恒さん」と言えば適切かと思います。

 

 

この「三兄弟」に「御邪魔虫」とも言える存在感を見せた遠藤辰雄(後の遠藤太津朗。女房役は現在脚本家の掛札昌裕夫人である葵三津子。尚、KINENOTEの出演者一覧では「葵さんの役」に三原葉子が配された事になっていますが未出演。経緯等々は一切不明ですが、三原さんは当作品の直後の公開作品の一つであった鈴木則文監督・東映京都制作・杉本美樹主演「徳川セックス禁止令・色情大名」に出演をされていた関係で調整が付かなかったものと、私感ではありますが推測をします)が絡み、実質「四兄弟・三夫人+土田さん」により物語が進行しているとも言えるかと…

 

 

「北村さんが病床に伏せっているにも拘らず、大喧嘩を始める三兄弟を見たくて近所の住民が集まった上に、煽り立てて盛り上がりが最高潮に達した所で北村さんが呆気無く他界する展開」「葬儀中に土田さんに熱を上げる三兄弟と云う、不謹慎さを逆手に取り笑いに変えてしまう娯楽演出の面白さ・楽しさ」「序盤で贈った「毛唐の御守」が功を奏したのか「二号を欲しがっていた旭兄ぃ・邦衛さんの思惑」を「猛烈に愛し合っておるんじゃ!」と見事に粉砕し、土田さんをモノにした独身の末っ子・恒さん!しかし「土田さんと男気」を天秤にかけた結果は…」「岡八郎・正司玲児/敏江等々の関西芸人軍団が物語を大きく盛り上げ、それをしっかりと受け止め悪乗りをする旭兄ぃの懐の深さ」「河津さん・敏さんに手下の汐路章・志賀勝・潮健児等々、安定感抜群の東映顔面凶器軍団の極悪非道さ」「中盤の道行きで聴く事が出来る、旭兄ぃが歌唱された「人生劇場」の気負いのない心地良い歌声」等々、東映現代やくざ映画路線の最末期の作品ですが、東映仁侠映画作品の最末期と同様「安定感と面白さ」は寧ろ熟成の域に達している上に「東映の水に飛び込んだ旭兄ぃ、旭兄ぃを迎え入れた東映の関係者双方の姿勢と力量が見事に融合した、中々日が当てられずにいる娯楽傑作」と感じました。

 

 

 

 

 

 

考えてみると「三兄弟」と題目に掲げられた東映作品は菅原文太主演「懲役三兄弟」「現代やくざ・血桜三兄弟」(以上東映京都制作)「人斬り与太・狂犬三兄弟」(東映東京制作)が浮かびますが「血縁関係の在る三兄弟」と云う点で共通性が有るのは「現代やくざ・血桜三兄弟」

 

 

「現代やくざ・血桜三兄弟」は当作品の前年に当たる昭和46年に野上龍雄脚本・中島貞夫監督で制作されましたが「任侠映画に抵抗を抱いていた中島村長の演出」ですから「堅気を守る為ではなく、自らを守る為の戦いの趣」であり「人斬り与太」二部作や「東映実録やくざ映画路線」誕生の切っ掛け作りに「或る程度貢献をしたのでは?」と感じる程。

 

 

山下将軍は生前、自著内に於いて当作品に関しては何もお話をされてはいない為、現在となっては「心中を知る事」は不可能となりましたが「任侠映画路線に固執する事を伝えて笠原和夫と袂を別った経緯の存在」「同じ東映京都撮影所の常駐監督の立場に在った事」から察するに「血桜三兄弟との共通点を認識した上で、従来の路線に乗せた形での物語の展開・演出を模索した結果を焼き付け、急速な衰退となっていた東映仁侠路線の命脈を保たせる賭けに出たのではないか」と…

 

 

日活から迎えた旭兄ぃを主演として迎え「心機一転・一発逆転」を目論んだのでしょうが…

 

 

しかし、東映実録やくざ映画路線が主体となってからも、従来の路線が細々とではありながらも昭和50年迄命脈を保つ事が出来たのは「山下将軍を始めとする東映京都撮影所の古参常駐監督陣の尽力」でしょうし、この伝統は「東映京都テレビプロダクション等々が制作を行ったテレビドラマ時代劇作品」に様々な形で存分に生かされたのですから「多大な貢献を果たした事」は間違いがありません。

 

 

 

 

 

 

そして、梅宮辰夫に「小林旭も凄かったが、渡瀬に比べたら…」と言わせた「日活の狂犬」旭兄ぃ「東映の狂犬」恒さんが初共演を果たした点も「東映キチガイ」としては見逃せません!

 

 

当作品の後に御二方が共演された「仁義なき戦い・代理戦争」「唐獅子警察」「実録外伝・大阪電撃作戦」(全て東映京都制作)は全て「敵対関係としていい芝居合戦」を見せていますが「この御二方が共闘」と云うのは、記憶を辿ってみても当作品のみかと(もし間違っていましたなら何卒御容赦下さい)。

 

 

是非共DVD化を行って貰い、一人でも多くの方に鑑賞して貰いたい一作です!