梅宮辰夫・吉田輝雄が極悪非道に立ち向かう!東映東京「続・決着(おとしまえ)」石井輝男監督 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み2日目、朝から曇り空です。

 

 

昨日は昼から夜迄就寝し、夕飯を兼ねて飲酒をしながら貯まっている未見作品を観賞した後夜中の2時頃に再び就寝しましたが、明日からは日勤ですので睡眠調整の為、6時には起床しました。

 

 

 

さて、先日ですが「梅宮辰夫・相次ぐ癌摘出手術。そして人工透析の日々」という内容の記事が、多数のウェブ内に於いて報道されている事は多くの皆様がご存知かと思います。

 

 

愛娘の梅宮アンナによると、辰ちゃんの伴侶であるクラウディア夫人は膠原病、アンナさんの愛娘は原因不明の体調不良に見舞われているそう。

 

 

辰ちゃんはこの様な中でも去年は「不良番長シリーズ・誕生50周年の同窓会」等々で元気な姿を見せておられましたが、その裏では「相次いで発見された癌の摘出と人工透析・そして愛する家族の病にも直面をしていた」とは…

 

 

しかし、辰ちゃんは「デイリー新潮」及び「週刊新潮」内に於ける対談で「本当に大変なのはこれから。何しろ、1日おきに4時間の人工透析を受ける事になる。人工透析を30年、40年と続けている患者さんには本当に頭が下がる思い。80歳迄人工透析をせずに生きて来られた事を、僕は有難く思わなければならない」「このまま芸能界を去るのは癪。俳優が俳優らしく生きられた昭和の芸能界に引き戻したい」とお話をされています。

 

 

ここ数年、毎月の様に名優の訃報に接している状況の中で、決意を力強く語られた辰ちゃん…「病は気から」と云うのは本当で「目的意識が強い方が病魔に打ち勝った例」は無数に有りますし、辰ちゃん自身「癌は6度目」との事。

 

 

「体調最優先で、負担のかからない範囲で、昔話や映像業界の現状を打破させる行動・発言」に尽力をして頂きたいと願います。

 

 

 

そこで本日は此方の作品を…

 

 

 

「続・決着(おとしまえ)」(「決着(おとしまえ)シリーズ」第二弾」昭和43年3月30日公開・内田弘三/石井輝男の共同脚本・石井輝男監督・東映東京制作。

 

 

未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われてはいませんが、平成31年4月の東映ch「傑作任侠スペシャル」の枠内の一作品として、4/6(土)23:00~25:00・4/22(月)22:00~24:00の二回放映されます(HD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

「名和センセイ」こと名和宏の「善人芝居」では指折りの「博奕打ち・殴り込み」の併映作品(「博奕打ちシリーズ」第五弾・笠原和夫脚本・小沢茂弘監督・鶴田浩二主演・加東大介/松尾嘉代/待田京介/山本麟一/遠藤辰雄(後の遠藤太津朗)等々共演・東映京都制作。DVD化作品で、DMM.com/TSUTAYA TV/ビデオマーケット/GYAO!ストア/Amazonビデオ/iTunes/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

●東映公式・YouTube予告篇動画

 

 

 

 

 

 

「公私共に「兄貴分」「弟分」と関係が良好だった辰ちゃん・鶴田のおやっさん」にとって(辰ちゃんの結婚披露宴で鶴田のおやっさんは、仕事先の京都から東京へ駆け付けて祝辞を述べた上に、辰ちゃんの御両親から「うちの息子は私達に言えない事を鶴田さんに相談をされている様で…申し訳無く思いますが、今後共息子を宜しくお願いします」と言われたとか)この番組構成は非常に嬉しかった事と思います。

 

 

 

舞台は横浜。

 

 

組長・安部徹の指示を受け、敵対組織の親分を殺傷し服役…しかし満期出所をして組に戻ると、黒幕の田崎潤と右腕の南原宏冶と手を組み、名ばかりの芸能事務所を隠れ蓑にして「毛唐を相手とした売春」「異国への人身売買」に手を染めていた為に「親子の盃」を水にした上で反旗を掲げ「自らが命を奪った敵対組織の組長の愛娘」宮園純子とその子分である由利徹・砂塚秀夫の為に尽力をする吉田輝雄と、安部さん達の命に従い「売春斡旋を行う三下やくざ」であったものの、実弟の谷隼人が安部さんの愛娘である大原麗子に手を出した事で「義理の親を取るか?実弟を取るか?」の岐路に立たされた辰ちゃんが、最終的に「極悪非道」に牙を剥く物語。

 

 

 

 

 

 

当作品について、石井センセイは自著内に於いて多くを語られてはいません。

 

 

これは当時「網走番外地シリーズ」等々「東映の王道路線」を、絶大の信頼を得た上で監督を務めていたものの「この類の作品に飽きていた頃の最末期」で、この作品を最後に一旦東映東京撮影所を離れ、東映京都撮影所で「徳川女系図」の監督を務められたのを皮切りに「石井ワールドを確立させ、看板番組として君臨しただけに留まらず、東映全体に対する起爆剤としての効果をも果たした、東映異常性愛路線誕生直前の監督作品」ですから、仕方がないでしょう。

 

 

 

東映として「夜の青春シリーズ」等々で「軟派路線」に傾倒しつつあった辰ちゃんを、他監督の演出作品と共に「硬派路線のアクション俳優として再度売り出そうと企画をした様子」が伺えますが、感受性と自己表現の技量がこの時期に於いても非常に高く、硬軟を非常に上手く使い分けただけではなく「主役は実質的に吉田の輝さん、助演はタニーと麗子さん等々と云う意識だったのか?」と感じる程、出しゃばらない控え目の芝居が非常に心地良いです。

 

 

「吉田の輝さん・辰ちゃんの顔合わせ」は貴重で、俺も思い浮かべてみましたが当作品と当シリーズ第一弾の「決着(おとしまえ)」しか出て来ません(もし間違いの場合は御容赦下さい)。

 

 

 

 

 

 

そして「激しさ等々の中に、少しだけの美しい物が欲しい」とお話をされていた「石井センセイの信念」はきちんと貫かれており、此方は吉田の輝さんが「本来は敵として命を取られてもおかしくは無い筈の宮園の純子姐御との人間関係・恋愛関係構築」と云う形で描かれます。

 

 

この「石井センセイの信念に基づく演出」と云う点では「東映に於ける石井センセイの代表作である「網走番外地シリーズ」等々よりも明確に描かれている事」が特徴の一つ。

 

 

 

その一方で、田崎さんは宮園の純子姐御が美人である上に「唖、加えて金銭で難儀をしているからこそ言う事を聞くだろう」と、下の写真の様な「情けない強がり」を見せている始末…

 

 

 

 

 

 

この後、吉田の輝さんが「宮園の純子姐御の子分」である由利ちゃん・砂塚さんと共に「匕首を裁判長に見立てて、田崎さんに自作自演で私刑判決を下す場面」「硬軟を上手く生かした、石井センセイらしい演出」です。

 

 

「脚本通りなのか?即興なのか?」どうも後者の様な雰囲気だなぁ…

 

 

 

 

 

 

もう一つ「辰ちゃんがタニーと麗子さんの恋愛成就と薄汚れた世界からの絶縁を願い尽力をする姿」が描かれており、この意を汲み取った吉田の輝さんの「男気」も見所!

 

 

当作品に関しては「綺麗な物が二つ」描かれていると云う事になります。

 

 

 

そして「骨まで愛して」で大ヒットを飛ばした城卓也が「癖の強い安部さんの組織の用心棒姿」を、更には「アラカン」こと嵐寛寿郎が「含みを感じる易者」として、吉田の輝さんと宮園の純子姐御を見守ります。

 

 

「アラカンが、あっと驚く実の正体を明かす場面」は片岡千恵蔵御大主演の「多羅尾伴内シリーズ」をも彷彿とさせますし、小技でもしっかり笑わせてくれます!