父親の形見の刀で地上げ屋を斬る鳶!イメージファクトリー・アイエム「斬り込み」世良公則/菅原文太 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、昨日の晴天が一転して夜中から早朝にかけて降雨となりましたが、現在は再び日が差しています。

 

 

 

さて先日も書きましたが、スカパー!の商品構成が今月中旬より新しくなった関係で契約変更と契約機器を「追加料金無料の範囲内」で増やした結果、ブルーレイレコーダーの副務機とテレビの二契約については「新規契約」となった為なのか、未契約の衛星劇場が視聴出来ています。

 

 

加入から二週間は「お試し体験期間」と同等の形式で「全chが視聴出来る為」だと思いますが、本日が丁度二週間目ですので終了となる筈です。

 

 

只「今後常時視聴出来る状態にする=視聴契約をする可能性」は極めて低いです。東映chと並行して日活ロマンポルノが鑑賞出来る事はいい点なのですが、毎月¥2000-の負担増となる上に「基本プラン」との組み合わせではセット割引も適用とならない為…毎年二月の「加入月だけの無料視聴サービス時の楽しみ」と云う形態を継続して行きます。

 

 

 

そして本日は、その「衛星劇場の無料視聴」のお陰で、大凡二十年ぶりに再鑑賞出来た作品から紹介します。

 

 

 

「斬り込み」平成7年2月8日公開・吉川潮原作・斉藤猛/小川智子の共同脚本・斎藤秀雄アクション監督・福岡芳穂監督・フィルム・シティ制作協力・イメージファクトリー・アイエム制作/配給兼任。

 

 

VHS/DVD化作品ですが有料動画配信は行われていません。

 

 

又、衛星劇場に於いて11/13(火)25:45より放映されます。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※衛星劇場の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

KINENOTE内の記述を読むと「やくざ映画専門上映館の新宿昭和館で封切となり話題となった」となっていますが(秋田県内を含む大部分の地域では「Vシネマ作品の一つ」として扱われていたと推測します。俺も「初鑑賞」は貸出用VHSでした)「そうなった事が十二分に納得出来、失われつつあった昭和のやくざ映画の趣を踏襲しながら公開当時の社会背景や嗜好を上手く融合させた傑作」です。

 

 

 

舞台は東京・深川。

 

 

父親で極道であった菅田俊が殴り込みの際に死亡してから、義父で鳶の菅原文太・義母で文太さんの女房の長谷川待子・文太さんの元で親方を務めていた千波丈太郎に育てられた世良公則。

 

 

文太さんは「実子の内藤剛志と義子の世良さん」を分け隔てなく育てたつもりでいたのですが、年少時の些細な揉め事が原因となり、実子の内藤さんが家を飛び出してしまった為に今では世良さんが「鳶の親方」として家業を継ぎ、文太さんは「隠居生活をしながらお目付け役として時折現場に足を運ぶ日々」を過ごしています。

 

 

世良さんは菅田さんの血を引いている為なのか、今でこそ「街の住人から慕われ、取引先から信頼され、仲間達からの人望が厚く、文太さんも一目置いている堅気」なのですが、青年期は「手の付けられない暴れん坊」で、散々手を焼かせられた文太さんは「我慢を根付かせる事」を目論んで世良さんの背中に「不動明王の刺青」を彫らせていたのです。

 

 

そんな順風万端な日々が続いていた深川でしたが、世良さんと内藤さんの幼馴染である中村久美の生家の材木店が、中村さんの亭主の山口仁の旧友で証券会社社員の徳井優・過去に文太さんに深川から追い出された経緯を持つ不動産業の中尾彬・中尾さんの右腕として「裏工作の指示」を担ったいた大杉漣・そして「突如姿を現した」内藤さん等々に「大きな負債を抱えている事」から目を付けられ、周囲の住民達をも巻き込んだ「地上げ工作」が開始されるのです。

 

 

放火・殺人・嫌がらせ…疲弊する住民達の姿を心苦しく思いながら我慢に我慢を重ねる世良さんを見かねた文太さんが「一世一代の懇願をする為」に中尾さんの事務所に出向いた際、帰路で瀕死の重傷を負う事態となった事で遂に「菅田さんの形見の刀」を握り殴り込みへ!

 

 

そして「文太さんのもがき苦しむ姿」を発見した内藤さんも「自分は中尾さん達にとっては尻拭い要員(=逮捕要員)にしか過ぎない事」に気付き、世良さんと合流して巨悪に立ち向かうのです。

 

 

 

世良さんは皆様ご存知の通り「太陽にほえろ」が「俳優としての出世作」。

 

 

既に「歌手」として確固たる地位を築いていた時期の起用ですが「太陽にほえろ」出演時は「芝居は知らないから新人と同じく扱って下さい」と願い出たとの話を何処かで読み聞きした記憶が有り、この「一兵卒としての数年間の経験」がこの後大きく生きて、当作の様な「やくざ役」に於いても快心の芝居を見せ付ける事が出来たものと思います。

 

 

東映京都制作「極道の妻(おんな)たち」を観賞した際に「むやみやたらと目を剥かない世良さんの芝居」に惹かれましたし、安藤昇組長も自著内に於いて「何時でも何処でも目を剥くのは度胸の無い三下か田舎ヤクザだけ」と仰られていましたので「度胸満点」です。

 

 

そこに「懐いている中村さんの実子に「テレビゲームのお姫様を守る様に、お前がママを守ってあげなきゃならないんだぞ!」と優しい眼差しで話す姿」「粋な台詞を微笑みながらサラリと放って豪快に斬り殺す迫力」「台詞の間の取り方の上手さと、目を剥くべき場面を的確に捉えている芝居感」も加わっているのですから「往年のやくざ映画・任侠映画を観慣れて来た方々でも、納得・満足して頂けるであろう芝居を見せている芝居巧者」と言えます。

 

 

これは「俺の憶測」なのですが…世良さんは「広島生まれ」広島は東映制作「仁義なき戦いシリーズ」の舞台でしたから、恐らく当作制作時点で鑑賞されていたでしょうし、世良さん自身が「やくざ映画のファンで文太さんのファン=望んでいた世界観の作品で、しかも文太さんとの共演と云う事で、それまで以上に奮起して臨んだ作品なのかなぁ」とも考えました。

 

 

 

文太さんは「喧嘩で物事を解決するのを嫌う昔気質の職人気質そのもの」中尾さんは「何時も通りの低速走行で安定性の高い悪党振り」ですが、そうである分大杉さんの「観客達が抱く感情を簡潔明瞭な台詞で代弁しながら、手下達に残虐・非情そのものの命を下す冷血ぶり」(その「手下の一人」として「サッカーボールを蹴る様に、プロレスラーの様に、テレビゲームの様に殺傷行為を爛々と行う狂気そのものの若き殺人鬼」が顔を連ねており「殺人鬼とは思えぬ台詞の軽さと、自らの危機では何処迄も下手に出る態度」が「狂気と悪党ぶりを更に高めさせる効果」を担っています)内藤さんの「狂った様に叫び、チンピラたちを玩具としてしか扱わない人格障害かと感じさせる姿。そして「僕お金が大好きなの!だからやくざになったの!」の名台詞」が「より脳裏に焼き付く芝居」となります。

 

 

「弱きを助け強気を挫く、東映仁侠映画の世界観を、公開当時の現状に合致させ、新旧双方の出演陣を使い切り、見事な傑作とした事」「深川と云う狭い地域に舞台を限定した事がいい意味で凝縮感を生み出し、人間同士の心暖かな触れ合いも「惨状」と同時並行で描き切っている事」は大いに評価出来ますが、残念ながら現時点では「正当な評価を受けているとは言えない作品」です。

 

 

もし鑑賞の機会が訪れましたなら、是非共ご覧頂きたい作品の一つです。