遣るだけ遣ってしまえと臨んだ石井輝男初の東映作品・ニュー東映「花と嵐とギャング」高倉健/鶴田浩二 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

 

 

昨日の19時に勤務を終え、土曜日8時の始業時迄の休みを過ごしていますが、昨日夕方頃より雨模様が続いている上、本日は日が差す事を期待するのは無理と感じます。

 

 

 

昨晩、スカパー!の契約を「新基本パック+東映ch」から、東映chが内包された「基本プラン」に切り替え「一台分の料金で三台迄追加料金無で登録が出来る」との事で、ブルーレイレコーダーの主務機に加え、テレビとブルーレイレコーダーの副務機も登録しました。

 

 

これにより、受信料は従来よりも税込みで大凡¥1050-下がりましたので「煙草の値上げによる一カ月当たりの負担増」を軽減する事が出来ました。

 

 

そして、夕飯を食いながら東映ch「ピンスポ」を視聴し、その中で黒沢年雄が「今は何でもかんでも「自主規制」とか「駄目」とか言い過ぎて(言われ過ぎて)映像作品が本当につまらなくなってしまった」「是非観て下さいと言ったり、過去を振り返るのは大嫌い!「観たければ皆様どうぞご自由に。それで好きになってくれれば一番嬉しい」と常々思っているし、常に前しか見ていない。今も新たな事を考えて遣る予定が有る」とお話をされていたのですが「観る側の、しかも「過去の日本の映像作品に魅せられている一方、現在の作品や制作現場については好転の兆しも見えるものの、悲観的な見方が強くなっている俺の様な映像作品好きの心情を代弁してくれた事」「良作・感動作であると、観る側に押しつけているとしか思えない、制作側・配給側・役者陣等々の映像作品の宣伝手法に対し、自らの考え方を包み隠さず話す形で疑問を呈して下さった事」には心から感謝を申し上げるのみです。

 

 

 

さて本日は、新東宝倒産後、或る方の伝手を頼りに東宝への参加を考えたものの、旧知の映画関係者から「行くなら東映だろう。東宝は黒澤明等々「巨匠」揃いでお前さんの出る幕が有るの?」と言われた石井輝男監督が「遣るだけ遣ってしまえ!」と演出を務められた「東映第一回監督作品」です。

 

 

原作を読み「これであれば従来の東映路線と違うものになる」と感じたものの、脚本が非常に古臭かった為に現場で直しに直して撮影をしていたら、脚本家から苦情が出た為に渡辺邦男監督に泣きつき「俺が全責任を持つから、構わず直したいだけ直して撮れ!」となったのだそうです。

 

 

 

「花と嵐とギャング」昭和36年6月23日公開・藤原審爾原作・佐治乾脚本・石井輝男監督・ニュー東映(旧名称・第二東映。この後東映本体に吸収されています)制作。

 

 

VHS/DVD化作品で、Amazonビデオ/YouTubeムービー内に於いて有料動画配信が行われています。

 

 

又、平成30年11月の東映ch「高倉健アワー」の枠内の一作品として、11/1(木)20:00~21:30・11/10(土)14:00~15:30・11/18(日)16:30~18:00・11/21(水)11:00~12:30の四回放映されます(字幕付きHD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

●東映公式・YouTubeプレビュー動画

 

 

 

 

 

 

 

刑務所帰りの健さんの女房・小宮光江は酒場を経営しているものの前科者で、小宮さんの兄の鶴田浩二は香港ギャングの一員、ですから弟の小川守は一端のやくざを気取る日々…

 

 

そして小宮さん・鶴田のおやっさん・小川さんの母親の清川虹子も安宿を経営してはいるものの裏に廻れば「女傑」として恐れられている大物!

 

 

この「悪党一家」の健さんは「健さんを蹴落とそうとしている」同じ組織(組長は佐々木孝丸)の沖竜次に銀行強盗の指揮役を命ぜられ、そんな真意が有るとも知らぬ健さんは二つ返事で引き受け、小宮さん・小川さんに「旧知の仲間」である曽根晴美・江原真二郎・打越正八等々を誘い入れ金銭強奪迄は順調に進みましたが、小川さんんが逃走途中の車から隙を見て金を持ち逃走した事で「悪党同士の金欲と裏切りの攻防戦」の火蓋が切って落とされます。

 

 

 

 

 

 

初見の際、当時隆盛を誇っていた「日活アクション作品群を意識した作りながらも、東映らしさと石井センセイらしさをどう出して行けばいいかを徹底的に追求したのだろうなぁ」と思っていましたが、事実現場では助監督陣が日活の石原裕次郎主演作品のポスターを張り「この様な雰囲気と衣装でなければ駄目だ!」と、現場の意識から衣装、演出に至る迄「ゼロからの軌跡であった事」を石井センセイの著書から伺い知る事が出来ました。

 

 

恐らく「脚本が古臭くて手直しをした」と云うのも、上記した事柄と大きく関わっているものと思いますし、予告篇では「当時最新式の拳銃が多数登場する事」を真っ先に強調していましたので、東映としては「新境地の開拓と、低迷を続けるニュー東映の起爆剤としての期待」石井センセイとしては「新天地での門出を、自らが率先して行動する事で大きく飾ろうとした確固たる意志」東映の現場関係者としては「他社以上に対抗心を抱き続けていた東映京都に一矢報い、加えて岡田名誉会長に「日本一最低の撮影所」と言われた事に対して奮起し「演出料が高いだけでヒット作を中々生み出す事の出来なかったにも拘わらず、大きな顔をして歩いていた監督陣による東映東京の動脈硬化状態」を岡田名誉会長・石井センセイと共に打破する意思」を「予告篇の時点から観客に伝えていたのでは?」とも考えました。

 

 

 

作品の内容は「これだけの曲者が揃っている上に全員が私利私欲に塗れた悪党」ですので「複数の暴走機関車が同時に縦横無尽に走り廻り、激突を繰り返して誰が生き残るのか?」と云う様な雰囲気。

 

 

女優陣も「金欲の塊で騙し合いの攻防が面白い小宮さん・虹子姐御」に加え「可愛らしい顔をして平然と欲望を口にする小川さんの交際相手の新井茂子」「佐々木さんの秘書で、言葉を発しない八代万智子の不気味さ」等々「曲者揃いの俳優陣に全く引けを取らない灰汁の強さと悪党振り」が見物!

 

 

これ等の「曲者達」を冷静に見つめる姿を演じる事で「敵対する者同士の中和剤としての効果と、暴走気味の作品に対する抑制効果」を発揮し、特に中盤と最終盤に於いて「それ等の立ち位置」が最大限に強調されているのが鶴田のおやっさん。

 

 

 

「現場で遣るだけ遣った」「手直しをしながら撮影に臨んでいた効果」は結実し、軽快に進んで行く物語とそれ迄の東映作品とは一線を画す世界観は何度鑑賞しても新鮮ですし、この時期に監督昇進を果たした深作欣二・鷹森立一、そして数年後に監督への昇進を果たした野田幸男・内藤誠等々の演出作品には「石井センセイの影響・意思の踏襲」を感じ取る事が出来ます。

 

 

 

他の出演者は、山本麟一・日尾孝司・関山耕司・八名信夫・久保一・鈴木志郎等々です。