極寒の三陸海岸を目前に男女が「連れ野●」!日活ロマンポルノ「おんなの細道・濡れた海峡」三上寛 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、肌寒く本日も降雨に見舞われる模様…当初「洗車と車体の細かな塗装の剥げや傷の補修」をする予定でしたが、次回か次々回の休日に延期します。

 

 

 

さて本日は、平成30年9月・10月・11月の東映ch「ロマンポルノ傑作選」の枠内で放映の一作品からです。

 

 

「ロマンポルノ傑作選」の放映形態は「初放映作品一作品+前月・前々月放映の二作品若しくは三作品」という図式が確立されつつありそうに感じますが「毎月一つの放送局で「日活ロマンポルノ」数作品と「東映妖艶作品/東映ポルノ作品/東映ピンキーバイオレンス作品」の中から数作品を楽しめるのは、ボンクラ野郎にとっては涎物」!です。

 

 

 

「おんなの細道・濡れた海峡」昭和55年4月12日公開・田中小実昌原作・田中陽三脚本・武田一成監督・日活制作。

 

 

DVD化作品で、平成31年2月2日にブルーレイが発売される予定となっており、TSUTAYA TV/GYAO!ストア内に於いて有料動画配信も行われています。

 

 

又、先述の通り東映chに於いて「R15+版」が本日以降、10/15(月)26:00~27:30・10/31(水)22:30~24:00・11/8(木)24:30~26:00・11/15(木)26:00~27:30に放映されます(HD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの平成30年10月分の作品案内・放映日時案内は此方から/平成30年11月分の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

ストリッパーの山口美也子は、亭主の草薙幸二郎にとっては「美也子さんの先夫でやくざだった兄弟分から頼まれた大事な預かり物」。

 

 

「腫れ物に触れる様な態度や、何事にも容喙する日常」等々が精神的に疲弊する原因となり、美也子さんは薬物依存症で不感症に陥ったものの「愛の有る交尾が出来る以外には短所だらけにしか見えない、容姿もいいとは言えない職業不詳の男」である「津軽が生んだフォーク歌手」三上寛と交尾する時だけは「女の悦び」を感じる事が出来たのです。

 

 

そこで二人は、草薙さんが居住する盛岡に向かい、許しを得て一緒になる事を目論んでいたのですが、先述の理由から三上さんは草薙さんの子分である田山涼成等々からの袋叩きに遭い三陸海岸方面に逃げ(旧・田老町を含む現在の宮古市付近である事が作中から判断出来ます)目的も無くふらふらしている中で「九州に妻子を残して近海漁業・遠洋漁業の漁師として励む石橋蓮司と恋仲の情婦である桐谷夏子」「バスの車内で乗車賃を無心して来た自殺願望の女だったが、思い留まった事で再会を果たした小川恵」と情交に至ります。

 

 

そして美也子さんは草薙さんのストリップ小屋で監禁状態となり舞台に立ってはいたものの、薬物依存による酩酊状態に加え精神状態も悪化の一途を辿っており、役目を果たしていたとは言えませんでした。

 

 

しかし三上さん・美也子さん共に「数日間の別行動」により「好きでたまらない上に、戻るべき場所は美也子さん(三上さん)」と云う事を改めて認識し、更に美也子さんが三上さんに対して電話で「か弱い女を捨ててよく平気で逃げられるわね!」と挑発した為に事態は急展開し「三上さんの命がけの懇願に根負けし、美也子さんの本心を知った草薙さん」は二人の仲と愛情を認め、笑顔で盛岡から新天地へ向かう姿を映し出して終了。

 

 

 

 

 

 

「我々の極普通の日常や、抱いている思考・感情等々をそのまま歌詞にし、聴いていると即座に情景が浮かび上がる、脳内再生が可能な楽曲を作らせたら職人級で、自らも数々の作品で名芝居を見せて来た三上さん」「愛した男性の事だけを胸に抱き、生きる奏として底辺を懸命に這い回る女性を演じさせたら指折りの美也子さん」の顔合わせが、完全に物語に嵌った傑作!

 

 

「三上さん・美也子さん御二方の芝居の中でも指折りに入る」と言ってもいいです。

 

 

「一時離れる事で愛情を再認識する物語」は国産・異国産を含めて無数に存在はしていますが、俺は「汚れの無い、在り来りの演出で表向きを綺麗にしている物語」は大嫌いで食指も全く動きませんが、当作品の様な「人間らしさや人間臭さを欲望のままに映し出し、心の奥底から愛すべき物・守るべき物等々を再認識する物語」は大好きです。

 

 

「我々日常の現実」も「場面描写」は完全一致とはいかないものの「心情面」「遭遇した事実との類似性」は後者に近い事がほぼ全てかと思いますし…

 

 

 

因みに三上さんはアメーバブログに参加をされていますし、今年発売された徳間書店「東映実録バイオレンス浪漫アルバム」内の対談に於いて「子供の頃の時代劇から、東映の映画は全部観ていた」とお話をされていますので「相当な映像作品好き、芝居好きで大の東映ファンである事」が伝わって来ます。

 

 

そうでなければ「美也子さんの陰毛を大事に持ち続けて便所の中で舐める!」「風光明媚な極寒の三陸海岸で、雪上で桐谷さんと尻を丸出しにして野糞をする!」(雪上のど真中に排泄物の作り物のみが鎮座する場面を挿入する姿勢は「娯楽映像作品の監督の姿勢としては素晴らしい観客目線そのものの演出!」として評価されるべきと考えます)等々を「堂々と・爛々と・人間臭く演じ切る事」は出来ません。

 

 

「美也子さんを大事な兄弟分から預かったと言いながらも、未練がましさと三上さんを見下した「美也子さんへの愛情が微塵も無い最後の抵抗」にしか見えない草薙さん」「可愛がっていた情婦の桐谷さんを三上さんに寝取られ一度は発狂しながら、その日の晩に酒を酌み交わし、台詞として発せられてはいないものの「三上さんと野郎らしい相互理解と和解、そして友情の構築に至った」と感じさせる石橋の連さん」の対比も見物!

 

 

 

そして、鑑賞をしていて解ったのは「街並みや情景、撮影に使用された路線バスの塗色」等々から、列車内の場面と極一部の屋内撮影を除いて、恐らく場面の九割以上は盛岡と宮古を中心とした岩手県内で撮影された事。

 

 

郷里が盛岡の俺としては「日活ロマンポルノの傑作を、我が郷里を舞台に、雰囲気等々を生かす為にほぼ全ての撮影を岩手県内で行って下さった事」は本当に嬉しいですし、心から感謝です。

 

 

「何十年経っても色褪せない傑作」「再評価を得てじわりじわりと人気と評価を得ている作品等々が、郷里や居住地・近隣地を舞台に撮影された事実」は、俺だけではなく皆様にとっても嬉しい事だと思います。