津軽美人・小川節子の現代劇で主題歌も担当した傑作・日活ロマンポルノ「怨歌情死考・傷だらけの花弁」 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

今朝の7時に勤務を終え、土曜日8時の始業時迄の49時間休み中ですが…曇り空で何時降雨に見舞われてもおかしくはない、気温は然程高くは無いものの湿度が高く過ごし易いとは言えません。

 

 

 

さて本日は、日活ロマンポルノ作品から…

 

 

俺は毎年2月だけ「スカパー!加入月の贈り物」と云う形で、松竹系の「衛星劇場」を無料視聴しています。

 

 

日活ロマンポルノには以前から力を入れているチャンネルですので興味が有りましたが(但し、通常の「スカパー!」契約では「R15+指定作品」のみ視聴可能で「R20指定作品」放映の時間は「スカパー!プレミアムサービス」「ケーブルテレビ各局」等々とは別の番組に差し替えられています)俺は「基本パック+東映ch」と云う契約(東映chに関しては「組み合わせ割引」が適用され「二割引き」となっています)をしている為、オプション局を二つも選択するのは負担がどうしても嵩んでしまいます(但し、二年程前から東映chに於いても日活ロマンポルノ作品が「R15+指定作品」として毎月2.3作品放映されています)。

 

 

余談ですが「番組構成に対する感想は人其々」ではあるものの、やはり「東映ファン」としては東映chに軍配が上がります。

 

 

 

その「衛星劇場無料視聴の月」であった今年の二月に放映された際に鑑賞し「俺自身は日活ロマンポルノの鑑賞作品数はまだ序の口にも至っていないものの、その数少ない鑑賞作品の中で物凄く好きになった作品」が此方です。

 

 

 

「怨歌情死考・傷だらけの花弁」昭和48年6月23日公開・小原宏裕/ひかわ・みよしの共同脚本・小原宏裕監督(あらゆる種別の日活ロマンポルノ作品で活躍された「元衆議院議員の秘書」と云う肩書を持っておられた方で、神代辰巳・蔵原惟繕・西村昭五郎等々の元で助監督修行を積まれました。東映では平成に入り、年少者向けの特撮テレビドラマ作品の演出を手掛けられています。因みに「その特撮作品」に関しては俺は未見です)・日活制作。

 

 

DVD化作品ですが、有料動画配信は行われていません。

 

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

長内美那子(宗方勝巳夫人)・新山千春と共に俺が「津軽出身(青森県出身)の有名人の中に於ける三大美女」と思っている、白川和子と共に「日活ロマンポルノの杮落とし作品」に主演された「和服美女」小川節子の「数少ない現代劇主演作品」。

 

 

時代劇作品での活躍が非常に多かった模様で、日活ロマンポルノに詳しい方々の書籍やブログ等々を読むと「現代劇は数が少なく珍しい」と…

 

 

去年、その小川さんが主演を務められた日活制作「江戸艶笑夜話・蛸と赤貝」(昭和49年9月11日公開・西田一夫/藤浦敦の共同脚本・藤浦敦監督。DVD化作品で、スカパー!オンデマンド内に於いて有料動画配信が行われています)を、やはり衛星劇場で視聴したのですが「細身ながらも形の良い大きな乳房」「ずば抜けていると迄は行かないものの、素直に「綺麗・美人」と言葉が出てしまう魅力」を強く感じ、好きになりました。

 

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

「演歌」ではなく「怨歌」(えんか)と読ませる題目もいいですし、小川さんが歌唱された主題歌「怨歌情死考」も名曲!

 

 

 

 

 

 

劇中では小川さんと「腹黒さが際立つ、可愛い悪党」の潤ますみが歌唱されていますが、歌唱力も表現力も小川さんの方が遥かに上回り、特に「怨」を曲の結末に向けてじわりじわりと効かせて行き、終盤で爆発させる「感情の調節の上手さ」が際立っています。

 

 

この「怨歌情死考」は最近発売されたオムニバスCD「怨歌情死考」にも「一曲目」として収録されており(因みに俺は所有していません)裏表紙の真ん中には上記の「小川さんの写真」が鎮座しています。

 

 

 

 

 

 

歌手を目指していた小川さんと、イラストレーターを目指していた影山英俊が九州から東京に向かう夜行列車で出逢い、将来の夢を叶えることを約束して東京駅で別れてから数年後、偶然に再会を果たした二人はお互いに夢に破れた事を偽り「一時の至福の時間」を過ごしたものの、それは「その後に起こる惨劇を更に際立たせる物にしか過ぎなかった」と云う物語。

 

 

 

大都会に単身で乗り込んだものの、初めて目にした「世間の厳しさ」に加え、小川さんは「実力勝負と云う名の虚実の世界」を受け入れる事を拒絶した「生真面目さ」により「飛躍の最大の機会」を失った姿を、そして影山さんは「関係各所や一般読者の要望に応えよう」と真剣に学ぼうとした「生真面目さ」に「焦り」が加わり「絶体絶命の危機」を迎え、それを回避するには「転落一方の人生」を選択する以外に無い迄に追い込まれた姿を「端的ながらも丁寧に」描いています。

 

 

序盤、小川さんと同郷で「歌手を目指して上京しながら挫折し、女給として、そして会社役員の愛人として生きていた」続圭子が小川さんに放った「あたしは二年で二度堕胎した。貴女も数年すればあたしの言った言葉の意味が解る。それを知る迄は何も教える事は無い」と云う「台詞の重み」が光ります。

 

 

 

小川さんは先述した「江戸妖艶夜話・蛸と赤貝」の様な「冷血な美女だが、完全に悪人にはなり切れない人の良さと滑稽さを兼ね備えた芝居」も上手いですが「薄幸の美人」もよく似合う上に「儚さを伝える技量が相当に高い為、一時の至福で見せた愛嬌や燥ぎぶりが本当に可愛らしく、心底楽しんでいる様に我々に伝わって来る事」は特筆に値します(私感)。

 

 

 

そして「潤まり子」名義で東映京都制作「女番長(すけばん)ブルース・牝蜂の逆襲」(「女番長(すけばん)シリーズ」第一弾・昭和46年10月27日公開・皆川隆之/鈴木則文の共同脚本・鈴木則文監督・池玲子主演。DVD化作品で、DMM.com/ビデオマーケット内に於いて有料動画配信が行われています)に於いて「音楽学校の同期生の設定だった「女番長グループ」の一人・西来路ひろみを見下す人気歌手の役」で出演していたますみさんは(余談ですが「牝蜂の逆襲」に於いて「ますみさんのマネージャー役」を演じられたのは今年御逝去された左とん平、そして「ますみさんの愛人の国会議員」を演じられたのは、つい先日御逝去された「名和センセイ」こと名和宏)当作品に於いても「小川さんを見下し、付き人として利用し、挙句の果てには小川さんの飛躍の機会を奪った上に「影山さんとの大切な思い出と、影山さんの詩が書かれた小川さんの愛用のギター」をも「自らの売り出し」に利用した「夢の実現…と云うより「金欲と出世欲」の為なら、性欲を満たしながら利用出来る物(者)を全て利用し、例え相手を蹴散らしてでも、心に深い傷を負わせてでも前進し続ける悪女」と云う「似通った役」演じられていますし、先述した続さんの「台詞」を裏付ける役柄として中々の芝居を見せています。

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

「歌唱力・表現力はますみさんより小川さんの方が圧倒的に上回る」と先述しましたが、ここから先は「俺の憶測」ではあるものの「小川さん・ますみさんの持ち味と武器・歌唱力を存分に生かす為に企画された作品である」とするならば「関係者の眼力は相当に高かったのだろう」と感じます。

 

 

 

劇中に於ける「ますみさんの宣伝媒体」の一つであるポスターの「終盤の見所に於ける絶妙な使い方」にも注目です。

 

 

そして、中盤から立て続けに四回の情交に至る「小川さん・影山さんの身体の求め合い方の絶妙な変化」加えて「本当に取り付く島を失ってしまった逃避行に於ける「誰にも邪魔をされる事の無い、永遠の愛の世界への出発の覚悟」を決めたかの様な言葉少ない遣り取り」「当作品の最大の見所となる」と、俺は感じました。

 

 

しかも「逃走に使用した車両」「愛のスカイライン」の宣伝文句を初めて使用したC10型・日産スカイライン(「ハートの有るハードトップ」の宣伝文句で発売された2ドアハードトップでグレードは「装備上では最高峰」に当たる直列6気筒ツインキャブレターエンジン搭載の2000GT‐X。下の写真は「性能上では最高峰」に当たる直列6気筒DOHCエンジン搭載の2ドアハードトップ2000GT-Rの為、劇中で使用されていた車両とは外観に多少の差が有ります。その下のYouTube内「C10型スカイラインCM」で使用された車両とほぼ同一です)と云うのも「絶妙な車種選択」!

 

 

 

 

 

 

 

 

更に「影山さんの行き着いた姿」「暴力団の二枚目担当=スケコマシとなり売女(ばいた=トルコ嬢・コールガール・夜鷹等々の売春婦)やヌードスタジオの店員・女給等々にに引き摺り込む三下」ですので、C10型スカイラインの男性側を数年間に渡り演じられた俳優の蟇目良の「相手の女優」「目まぐるしく変わり続けた事実と重なって見えてしまう所」も面白い!