袂を別った二人の結末?東映東京「わが恐喝の人生」梅宮辰夫・千葉真一/佐伯清監督。東映chで放映中 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

休み二日目、昨晩も深酒をしてしまい、起床したら既に11時を回っていましたが、明日から夜勤で時間の調整をしなければなりませんので「都合がいい」とも言えます。日差しも昨日より強く、気温も上昇しています。

 

 

 

さて本日は今月と平成30年8月の東映ch「お蔵出しリクエストシアター」の枠内で放映の作品です。

 

 

余談ですが…最近では有料波各局に於いても「独自の番組制作」に乗り出し始め「過去の映像作品の放映枠」に於いても「比較的新しい、平成の作品」が増えて来ています。

 

 

そんな中に於いても東映chは、俺が加入後から大きくは基本構成が変わらぬどころか、益々「昭和の日本の映像作品群」に対する拘りを見せており「オプションchかつ、CM無しの放送体形…更にリクエストを存分に生かしていると考えられる姿勢」を両手を挙げて支持しますし、何時迄もこの体制を保持して貰いたいです(「東映ファン」と云う「贔屓目」も有りますが、何卒御容赦を)。

 

 

他は日本映画専門ch/「繰り返しの放映」が多いものの時代劇専門ch/劇場公開作品の放映作品数が減ってはいるもののchNECO/在京キー局が運営する中では比較的旧作を放映しているTBSch1・2が現状では安定している様な気がします(そして俺は未契約ですが、衛星劇場)。

 

 

 

脱線してしまいましたが、作品紹介を…「東映chを含む「全局に於いて初放映」となります。

 

 

 

「わが恐喝の人生」昭和38年12月7日公開・藤原審爾原作・瀬川昌治/大川久男の共同脚本・佐伯清監督・東映東京制作。

 

 

未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われていませんが、先述の通り東映chに於いて本日以降、7/26(木)23:30~25:00・8/1(木)21:30~23:00・8/19(日)21:00~22:30・8/26(日)22:30~24:00・8/29(水)21:30~23:00の五回放映されます(HD放映)。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

※東映chの平成30年7月分の作品案内・放映日時案内は此方から/平成30年8月分の作品案内・放映日時案内は此方から

 

 

 

「何処かで見聞きした事の有る様な題目だなぁ」と思われる方々も多いかとは思いますが、松竹が制作し昭和43年10月26日に公開した深作欣二監督・松方弘樹主演の「恐喝こそわが人生」(VHS/DVD化作品でDMM.com/Hulu/GYAO!ストア/ビデオマーケット内に於いて有料動画配信が行われています)と同じ、藤原先生の原作を使用した作品です。

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

サクさんの作品が「恐喝仲間を結成して暫く経っている段階から物語が始まり、松方さんによる回想で集結した経緯を簡単に描き、只管に「犬死の結末」に向かって進んで行く」のに対し、佐伯監督の作品は「数年前に故郷を飛び出し、一つ屋根の下で共同生活をしながら同じ酒場で接客係として働いていた同郷同士の梅宮辰夫と千葉真一が「性格と価値観・人生設計等々の不一致」により袂を別ち、辰ちゃんは「一獲千金」を狙いトルコ嬢の北原しげみやチンピラの大村文武・亀石征一郎、元新聞記者で現在はトップ屋の中山昭二と「恐喝屋」を開業し、千葉ちゃんは公務員試験に合格し警視庁の刑事となり「辰ちゃん達が絡んだ事件の専従捜査員の一人」として「苦渋の再会と対立」に至る物語」となっています。

 

 

 

「細部の違い」は結構存在するものの「端的ながらも丁寧に、順を追って事の経緯を描きながら多方面から登場人物の深層心理を描いて見せる方向性となった佐伯監督版」「悪党軍団の活躍を私利私欲剥き出しに描き出し「対立抗争のぶつかり合いの面白さと凄味に加え、野良犬らしい犬死を描く事を最初に決めると云う「結末から作り上げた物語かな?」とも感じる構成のサクさん監督版」とでも言えばいいのかなぁ…と感じました。

 

 

と云うのも「わが恐喝の人生」は「要所要所の細かな台詞」が「後の場面描写に繋がるヒント」となっていたり「太く、短く生きたい辰ちゃん」と「長く、細く生きたい千葉ちゃん」の対比を「辰ちゃんの側からの描写を主体に描いている点」から感じた事です。

 

 

「恐喝こそわが人生」は「松竹作品だが完全に東映作品の味付け」ですので、両作品共に「東映作品同士の比較」と言って問題も無ければ異存も無い物と思いますので…「同じ原作を使用して、全く趣の違う作品を高い均衡で実現させる力量」は、時代劇作品に於いて大いに発揮して来た「東映らしい方向性」かつ「様々な役者陣・制作陣の芝居の違いや構図の違いを比較出来る面白さと奥深さが存在している事」が大きな魅力。

 

 

俺が「何方が好きか?」と問われたら「恐喝こそわが人生」となりますが「わが恐喝の人生」には「この後に辰ちゃんの十八番となる「夜の青春シリーズ」に代表される「私利私欲の為だけに周囲を巻き込み、女を玩び、最後にしっぺ返しを食らう腐り切った色男」の出発点となる姿が垣間見られる事」「今に至る迄「自らの仕事に対する真摯な姿勢」を保持し続けている千葉ちゃんの「生真面目さ」をそのまま生かしたかの様な役柄」「調子に乗り暴走しそうな一団を自制させる役割を存分に果たした中山昭二」「三島雅夫・神田隆の重厚感溢れる安定した「影の極悪」ぶり」「大活躍するかと思いきや…「右の頬に大きな傷を負った顔写真」が大きく映し出されながらも開始10分足らずで「トルコ風呂の前で射殺されてしまった」東映東京撮影所・拳友会の擬斗師である日尾孝司先生!(残念!)」等々見所も多く、此方も「お薦め作品」です。

 

 

又「恐喝こそわが人生」では「今を時めく大女優」を女としていた松方さんに対し「わが恐喝の人生」の辰ちゃんは「決して幸福とは言えなかった、偶然知り合った水上竜子(「辰ちゃんが孕ませた上に千葉ちゃんの目の前で死んでしまった大衆食堂の女給役」との「二役」を演じられています)を女房として迎え入れる」と云う「明らかな違い」も幾つか存在していますし「松方さんが八方塞がりとなった事を知り半狂乱状態になる「恐喝こそわが人生」の佐藤友美と、将来の夫婦生活の構図を思い描く為に、見返りとして辰ちゃんが譲り受けた「海の見える土地」で「辰ちゃんの身に起きた事」を知らずに、期待を膨らませたかの様な微笑で待ち続ける「わが恐喝の人生」の水上さん」の「主役を愛した二人の女優の芝居の違い」も比較して鑑賞すると面白いです。

 

 

「わが恐喝の人生」に於ける「今を時めく大女優」は「酒場の店員時代に辰ちゃんに暴言を吐いて恥をかかせ、その時の屈辱を抱き続けていた辰ちゃんが恐喝屋になってから泣きを見る結果となった筑波久子」となります。

 

 

 

他の出演者は、南廣・小川守・室田日出男・潮健児・沢彰謙・佐藤晟也・藤里まゆみ等々です。

 

 

 

最後に…平成30年11月2日に東映ビデオより「東映現代やくざ映画路線に新たな風を送り込み、更には東映実録路線にも多少の影響を与えたのではないか?」と俺が思っている「隠れた傑作」である「組織暴力」「続・組織暴力」「組織暴力・兄弟盃」の三作品がDVDとなり発売される事が決定しました!

 

 

 

 

 

 

※東映ビデオの作品案内・商品案内は此方から

 

 

 

丹波哲郎・渡辺文雄は三作品全てに出演しているのですが…ナベさんが見事に三作品全てで「私利私欲のみに没頭するインテリ極悪やくざ!」を演じ切っている事は特筆もの!

 

 

やはり「この類のインテリやくざ」はナベさんが最右翼ですし、東映ファンは歓喜します!(私感)

 

 

「組織暴力」「続・組織暴力」に於ける「Gメンの黒木警視正の前哨戦とも思える丹波哲郎の捜査指揮官ぶりと、嵌りに嵌っている山本麟一の刑事役」そして「続・組織暴力」に於ける「作品内の最大の犠牲者・露口茂の狂乱自殺!」「安藤昇組長が演じた「大東亜戦争に於ける死に損ない」が見せた、毛等達への報復そのものの機関銃乱射!」は見所です!

 

 

そして「組織暴力・兄弟盃」はこの4年後に制作された「実録私設銀座警察」と内容が似通っている上に監督は両作品とも佐藤純彌…

 

 

 

 

 

 

「両作品を連続して鑑賞し見比べて、双方の味付けや物語の流れ等々の違いを楽しむ事」を是非お薦めします。

 

 

菅原文太の「根底に流れる「一匹狼」の心情を捨て切れなかった事で、中盤で兄貴分の安藤組長の命により辛酸を舐めさせらたものの、文太さんの眼力が正しかった事が証明された時は既に手遅れ…その結末の物悲しさ」は必見です!