東宝・藤本真澄統括の企画作品。東映東京「悪の愉しさ」伊藤久哉/森雅之/久我美子・千葉泰樹監督 | 東映バカの部屋

東映バカの部屋

東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

今朝の7時に勤務を終え、木曜日7時半の始業時迄の休みに入りましたが、今朝迄の雨模様は過ぎ去り、少し肌寒いものの日も差しています。

 

 

季節の変わり目は「体調管理を万全に」とよく言われていますが「普段よりも疲労回復に時間を要す」様な感を持っています。

 

 

 

さて本日は簡単にこの作品を…

 

 

 

「悪の愉しさ」昭和29年10月5日公開・石川達三原作・猪俣勝人脚本・千葉泰樹監督・東映東京制作。

 

 

未VHS/DVD化作品ですが、GYAO!ストア内で有料動画配信が行われており、東映ch内に於いても今年を含め、数度の放映実績が有ります。

 

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

この作品の「企画」に名を連ねているのは、東宝の統括で「社長シリーズ」を始めとする「サラリーマン喜劇」等々を多く手掛けられ「常識派」を自称していた「東宝映画」初代社長・藤本真澄(俺は「好きな統括」ではありません。「社長シリーズ」を観ていても、東映や松竹制作の喜劇と比べると「観客を見下した目線」と云う印象を持ちましたので)。

 

 

「同姓同名の別人かな?」と思い調べてみましたが「藤本統括は東宝を離れていた一時期に自ら映像制作会社を設立し、東宝復帰後も暫くの間関与されていた様子が有る」「東映と契約を結んだ伊藤久哉の初出演・初主演作品が当作で、数年後に東宝に移籍している」「千葉泰樹監督は当作品を手掛ける前から藤本統括との間に厚い信頼関係を構築していた」「岡田茂・東映名誉会長とはキャバレーに一緒に行っていた事も有る「旧知の仲」で、時折岡田名誉会長を東宝に誘っていた」等々から考えて「東宝の藤本統括の企画作品を東映で制作・公開した」と判断する事が出来ました。

 

 

 

「業務面に関しては極普通・人当たりも極普通」と周囲から思われていた伊藤さん…実は「のらりくらり催促を躱して借金を踏み倒す上に借り増しをも巧みに要求する」「弱い者のふりをして同情を誘い、情交に持ち込む」「好意を抱いていた会社の同僚・久我美子の婚約・婚姻に嫉妬し様々な嫌がらせを繰り返す」等々「題目通りの「悪の愉しさ」に浸っていた毎日」でしたが、それが遂に旧知の不動産屋社長の森雅之の殺害に至ってしまい、後半は「保身をも愉しみとして行動する姿」が描かれるものの、逮捕後は同僚等々から「聖書」を差し入れられ精神的に追い込まれ、最後は検察庁の窓から投身自殺を図り終わります。

 

 

 

作品としては「可も不可もない、抑揚も少なく描写も淡白で、誰もが普通に観られる「常識派」を自称した藤本統括らしい犯罪劇」。

 

 

無茶をせず(「出来ず」「遣ろうともせず」が適切かもしれません)余りにも無難な仕上がりである為、まだまだ家庭に於いては「テレビ受像機は高嶺の花」で「劇場公開作品が庶民の娯楽の最高峰の一つし位置していた時代背景」を考えると「これでも観客は手に汗を握り楽しんでいたのだろう」とは思うものの「再鑑賞したい」とは感じませんでした。

 

 

 

只「姑息な手段の連続ではあるものの、行き過ぎた私欲が最後に崩壊する流れ」は、優作さんが主演を務められた角川制作「蘇える金狼」との共通性を感じましたし「窓から投身自殺を図る場面の描写」は、渡社長が主演を務められた東映東京制作「仁義の墓場」とよく似ている(「仁義の墓場」が似ていた、が本来「適切な物言い」とはなりますが、何卒ご勘弁を)と思いました。

 

 

 

他の出演者は、杉葉子・日野明子・東郷晴子・伊豆肇・徳川光子・星美智子・加藤嘉・岩城力(後の岩城力也)等々です。