東映京都「純子引退記念映画 関東緋桜一家」マキノ監督最後の作品。放映情報有り。 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

快晴ですが寒暖差が激しく、体調管理に気を付けないと即体調を崩しそうな気候の秋田市内。

そろそろ灯油が必要になりますが…今年も高いなぁ…


今朝の夜勤明けから木曜日勤開始時迄の72時間休みです。


さて…本日はこの作品を…


現・富司純子が「東映・藤純子」の時代に寿引退を飾った記念の作品にして、名監督・マキノ雅弘にとっても「最後の作品」となった…


「純子引退記念映画 関東緋桜一家」昭和47年3月4日公開。東映京都製作。


脚本は笠原和夫。

VHS/DVD化作品です。


 




※YouTubeの予告映像は此方から(東映公式では有りません。削除されている場合には御容赦下さい)→http://www.youtube.com/watch?v=7oc0f_tUgNw

※KINENOTEの作品案内は此方から→http://www.kinenote.com/main/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=19664



当作は今月の東映ch「マキノ雅弘監督スペシャル」の一作として放映中です。



※東映chの番組・放映案内は此方から→http://www.toeich.jp/?act=program-detail&info_id=1TT000000172




併映作品は「辰ちゃん・内藤監督コンビ」の「夜のならず者」。(此方は東映東京製作。未VHS/DVD化作品)


鳶の娘で芸者の純子姉御が組頭の父親の死を境に「女組頭」を襲名。

その最中に起きる「受け持ち町内での賭場・縄張の争い」「過去に愛し合った男との再会」そして「怒りが頂点に達し…殴り込み」の流れ…


当作は「引退記念」と銘打っただけあって「東映オールスターの共演」。


「我慢芝居」の鶴田のおやっさん・「両想い」の健さん・姉御に尽くそうと奮闘する文太兄ぃ・純子姉御の叔父貴分にして健さん・文太兄ぃの親父分の知恵蔵御大・純子姉御の実父の水島道太郎・「好色家だがストイック」な若山先生・警察署長のネコさん・コメディリリーフの藤山寛美…

他にもアラカン・伊吹吾郎・待田京介・山城新伍・長門裕之・小暮美千代・南田洋子・工藤明子・潮健児・石山律三郎等々…


これらの方々は全て「善人役」。


(余談ですが…KINENOTEやウィキペディアでは恒さんも出演者に名を連ねていますが実際には未出演で作品内の配役クレジットにも出ていません。

事情は不明ですが、当作公開の一月後に「銀蝶渡り鳥」に出演していますのでこの絡みの可能性が有ったと推測します。

他作では「クレジットに有りながら未出演」「クレジットされていなくても出演」という場合も有ります。

こういう例は東映では多数あ有りますし、それを知るのもまた楽しみと面白さの一つ)




悪役は…エンタツさん・天津の敏さん・名和センセイにドモリの林彰太郎の4人が主体で他は拓ボン等々の大部屋俳優…


一言で言えば「ブッチャーとタイガージェットシンに丸腰で戦いに挑み凶器と狂気で大流血の半殺しを食らったジャイアントキマラ1号2号や全日本プロレス・悪役商会(渕・永源・大熊)」みたいなモン!(昭和末期~平成初期の全日本プロレスが解る方なら…これが何を意味するか解ると思います)


要は、初めから勝負が決まっている…綺麗な「残酷ショー」!


悪役軍団は個性が強烈で魅力も十分…応援したいんですが…相手がねぇ…


しかし「初めからこれだけ安心して見られる作品」というのも最近では中々お目にかからないので「オツ」でもあります。


最後に健さんと結ばれ街を離れる純子姉御。

町民衆に「お世話になりました」とお礼を言い旅立つ場面は「観客・製作陣・役者陣への心からの感謝」と共に「任侠映画の終焉」をも感じさせます。


この作品、人によっては「マキノ監督にしてはやや大味」「恐らく任侠映画初のハッピーエンドで観客の中には白けた気持ちになった方が多い」「当作は男としての無償の死を描き続けた任侠映画にはどうしてもそぐわない最後」と手厳しい評価も有りますが…

「純子姉御の引退に花を持たせ、観客と製作陣・共演した役者陣等々に最大級の感謝を映画で伝える」という意味ではこれで良かったと思います。

「東映任侠路線に大きく咲いた花一輪」ですから、功労者として最後は「綺麗に終わらせてあげたかった」東映首脳陣・製作陣・役者陣の気持ちも有ったでしょうし…


先程も書きましたが「初めからこれだけ安心して見られる映画もオツ」というのもまた事実。

更に「時代劇を少し後世に持って来て描いた作品」と考えれば、相当楽しめる作品ですので俺はかなり好きです。


「評論家や観客の一般的な評価が悪くてもモノの見方や方向性を変えて鑑賞すれば楽しみ方が見つかる事が多い」のも東映作品の「他社作品では余り見られない長所」です。


そしてこの「昭和47年」が「任侠作品から実録作品への足掛かりとなる作品が生まれ(人斬り与太・やくざと抗争等々)転換の切っ掛けとなった年」です。