昼飯ついでに本屋で発見した新書。
春日太一・著(映画史・時代劇研究家)「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」平成25年2月1日初版/PHP新書/¥780-(税別)
いきなりケツから読んでしまいました。
恐らく、今の日本映画のつまらなさを嘆いていると思ったので…
予想通りでした。
仲代さん曰く…(原文とは言い方を変えています。又、そんな中でもしっかりした人材は今でも居る事はきちんと書かれています。)
●役者が役者らしくあり、監督が監督らしくある時代が終わってしまった。
●皆タレントばかりで役者という存在が随分減ってしまった。役者とタレントは何が違うのか、と問われれば非常に困るが…
●昔の主役クラスは掛け持ち無し(助演や脇役は別)。それを監督も許さなかったが…今は幾つも台本を抱える事で「売れている」という錯覚が有る。私には理解出来ない。
●使うほうも失敗を恐れて無名の新人を使わない(才能が有っても)。結果、売れている役者を集める=時間が無い(特にリハーサル)。効率の時代になった。
映画・演劇・文学・絵画等々、芸術/芸能/文化に入るものは無駄(余剰)なものが無いと作られない。効率だけでは何も出来ない。
●監督は「役者が絶対上手く行かなきゃこの作品は失敗するんだ」という意識と、皆で作り上げるものという意識を最大限持って厳しく臨んでいたし、役者交代なんてしょっちゅうだった。
人気者=とりあえず出す、なんて絶対に無かった。
●映画俳優は映画俳優の技を持っていた。
●昔は台詞がしっかりしていたが、今の役者でそれが出来るのがどれだけ居るのか…それだけ、基礎が疎かになってきている。
本当にこの発言、今の役者や製作者の殆ど、そして過去の作品は「古い!硬い!」と見向きもせず良さを全く理解しようともしない、「流行り物」ばかり見て「表向きの薄っぺらい似非感動」にまんまと嵌められている若い日本映画ファンに聞かせてやりたい「重いお言葉」です。