総長賭博と双璧の傑作!東映京都/加藤泰監督「明治侠客伝・三代目襲名」鶴田浩二/藤山寛美。 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、おはようございます。

明日から8連勤…の前の休み最終日です。

でも中々春らしい暖かさは…この時期迄暖房を使うとは…


さて…本日は「総長賭博」と双璧と思っている…東映仁侠映画の最高傑作の一つ。

VHS/DVD化作品。


「明治侠客伝・三代目襲名」昭和40年9月18日公開。東映京都製作/加藤泰監督。

脚本は共同脚本ですが、鈴木則文監督も関わっています。


併映作品は「新蛇姫様・お島千太郎」沢島忠監督/美空ひばり主演。

俺は未見ですが、此方もVHS/DVD化されています。


跡目相続と公共工事の利権絡み、更に一人の女心を絡めた話ですが…さすが加藤監督。

ひとつ間違えると解り難くなりやすい題材をあっさりすっきり、しかも其々の奥深くに潜んでいる気持ちをきちんと描き出した重厚感溢れる、誰もが気持ちを揺さぶられる名作です。


実際に見て頂くしか有りません。


主演は…後に加藤監督とは口も聞かなくなったと言われる鶴田のおやっさん。

経緯は知りませんが、筋の通った中にも色気を感じさせる不思議な心地よさが有ります。


当作のヒロインは、当時まだ19歳か20歳の藤純子(現・富司純子)。

「東映任侠映画に咲いた花一輪」という言い方が似合う女優。

緋牡丹お竜になる前なので、この時はまだ可愛らしさや女らしさの方を生かした芝居。

でも、これがきちんと出来たからお竜は「稀有なヒロイン」になったとも言えます。

決して器用ではない「台詞廻し」も独自の味、自然に見える姐御の武器として生かされています。


純子姐御をおやっさんと争うのは、安部徹。

勿論、悪役ですよ!期待通りの!


おやっさんの親分は、アラカン。

冒頭刺された場面の表情です。


刺したのは…汐路章。

咥えた玩具がまた素晴らしい!


アラカンの実子は、津川雅彦。

「若気の至り」から中盤は落ち着きを見せた男らしさを見せます。


そして、おやっさんと津川さんの子分には、山城新伍。

独特のひょうきんさが発揮されるのはこの数年後から。まだまだ任侠作品の子分らしい芝居です。


公共工事の担当は、丹波哲郎。

一体丹波さん、東映だけで何作品に出演したのでしょう…100・200は下らないかと…

でも役を問わずに出演し続けた姿勢は役者の鏡!見習って欲しいものです。

特に…今多く居る、タレントか役者か解らない、自分の世界に固執する連中には…


悪を取り仕切るのは…今回も悪としてのご紹介・大木実。



そして…おやっさんも嫉妬したと言われる、当作一番の素晴らしい芝居・表情を見せたのは、松竹新喜劇の看板・藤山寛美。

当作で最も言葉にするのが難しいのは寛美さんの芝居について。

目を凝らし、耳を澄ましてその名芝居を堪能して頂くしか有りません。


因みに…東映任侠作品(時代が明治以降の作品)で5本挙げるとしたら…俺は当作・冒頭名を挙げた「総長賭博」に加え…

「人生劇場・飛車角と吉良常」「昭和残侠伝・死んで貰います」「緋牡丹博徒・お竜参上」を挙げます…

王道そのもので万人向けですが、誰もが素晴らしいと言えるだろう作品こそがよりいい作品としてお薦め出来ますから…


「侠骨一代」「日本侠客伝・血斗神田祭り」「博徒仁義・盃」「日本女侠伝・鉄火芸者」なんかもいいですよ。