だって、人間だもの | Whoops!カズのお気楽れんらく帳

Whoops!カズのお気楽れんらく帳

ブログの説明を入力します。

ローン・サバイバー

2014年アメリカ
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ

2005年にアフガニスタンで起きた、ネイビーシールズ最大の失敗「レッド・ウィング作戦」を描いた実録サバイバル・アクション。いつもの“アメリカ万歳、海兵隊最 高!”とはいかない壮絶な負けっぷりは、「ブラックホーク・ダウン」と並ぶ悲惨さだ。もっとも、こんな事態を招いたのは、戦争と人間性の相容れない矛盾から来るものである。

作戦自体はいつものように、アメリカが他人の国で勝手に暴れ回り、独断で作戦を展開した上での大失敗なので、自業自得でしかないんだが、その失敗を招いたのは、偵察隊4人の判断ミスだ。

武器を持たない羊飼いとはいえタリバン側の人間。解放すればどうなるかなんて明らか。 作戦を遂行する忠実な兵士なら、見つかった時点で殺すべきなのだ。武器を持ってたり少しでも反抗してたら殺しただろ?だい たい民間人を何万人も殺しているアメリカが、今更3人ぐらい助けてもだれも褒めてくれないぞ。

おかげで彼らは岩山という戦闘に最悪の場所で襲われ、逃げたと思ったら追いつかれ、隠れたと思ったら銃撃されるを繰り返し、ゴツゴツした岩の上に落ちたり転げまわるという、絶対やりたくない行為を選ばざるをえなくなる。銃で撃たれなくても体はボロボロ。こんな痛々しい映画も久しぶりだ。

結果、アメリカ軍20人近く、タリバンは更に大勢犠牲になる訳だ。だが、彼らの行為を非難しようとは思わない。何故なら俺だってこの状況なら解放を選ぶかもしれないから。

殺人鬼でもないかぎり、誰だって無抵抗の人間を殺したくない。戦争だから、兵士だから、命令だから、自分を納得させる理由がなければそんなことしたくないのだ。屈強な兵士でも情けと弱さを持ち合わせている。だって人間だもの。

面白いのは、同じ決断をした人間がもう1人いることだ。主人公を助けたアフガン人の行為は、逃げて来た者は守らなければならないアフガン戦士の伝統らしい。だが、得にならない事に命を懸ける、それは勇気を越えた誇りに他ならない。この映画は、自分の命より己の心情に従った者が、国を越えて出会った奇跡の実話とも言える。

ただ、もう少しアフガン側の心情が描き足りないかな。その行為は美しいが、悲惨な戦場でしかありえない出会いだし、悲劇しか招かないのがやるせない。

天神東宝 0401