近づく日本の衆議院選挙でもヒントとなりうるのか、またビジネスにおいて活用できるのでしょうか。日経産業新聞onlineで選挙参謀から明らかにされたオバマ陣営のネット戦略を見ていきたいと思います。
『参謀が明かすオバマのネット戦略』(日経産業新聞online)
| ■基本は電子メールアドレスの確保とSNSの活用 ネットの活用により多額の献金を集めたことや、これまで選挙に関心の低かった若年層を新たな支持層として取り込んだことが勝利に繋がったと分析されています。 ですがそれは結果であって、そのために陣営が行った「行動」、それこそが重要なのだと思います。 |
①130万件以上の電子メールアドレスを取得
集会での入口でのフォームに記入してもらうことをはじめ、スタジアムの掲示板にアドレスを表示して携帯からのショートメール送信を促したり、イベントへの参加券と引き換えにメールアドレスの登録を求めるなど、とにかく1度でも集会に参加した人の電子メールアドレスを必ず記録するということを目標に動いていたようです。
その狙いは、アドレスを取得しさえすれば、オバマ氏とその参加者の『交流が継続』していくという考えにあります。
結果として、130万件以上のメールアドレスの登録を受け、それによって政治的な主張を送ることはもちろん次の集会情報や「明日が投票日です」というメッセージさえも、効率的に、かつ大量に送ることが可能となったのです。
②SNSを使って支持者同士を『友人』として繋げていく
オバマ氏の公式ホームページである『バラックオバマ・ドットコム』は有名ですが、それとは別にSNS専用の『マイバラックオバマ・ドットコム」というサイトも開設されました。
SNSを使う人たち、特に若年層の人たちは、自分の気に入った情報はネットですぐに共有したいと考える世代であることから、SNSを使って支持者同士を『友人』として繋げることで、次の集会への呼びかけなどを促し、支持者を『加速度的に』広げていったのです。
| ■結果は支持者間相互の呼びかけの活発化と小口献金の増加 ①と②を徹底的に行った結果が、集会への呼びかけやYoutubeなどの演説映像の紹介に結びつき、さらにはクレジットカードを利用した大量の小口献金に結びついていったのです。 |
米国でも献金は金額の多寡にかかわらずダイレクトメールや集会を通じて集めていたようですが、集めること自体にコストがかかるため、小口で集めていてはコストがかかりすぎる、勢い大型のパーティーで大口献金を集めまくる、という献金モデルが主流だったということです。
クレジットカードを使ってネットで献金を集める手法はオバマ氏にしか出来なかったわけではありません。ルール的にもシステム的にもヒラリー氏もマケイン氏も技術的には可能だったはずです。
ですが、オバマ氏が特に成功をしたのは、前述のメール作戦とSNS作戦とクレジットカードによる献金モデルというものを一体の仕組みとして戦略を描いたからだと思われます。
ちなみにオバマ陣営でネットを含む『ニューメディア(新媒体)』を担当するチームだけで80人のスタッフを抱えていたということです。(!)
昨日書きましたがジュリアーニ氏の選対広報委員長であったレヴィンソン氏は最も影響のあるのは「口コミ」だと分析していました。
おそらくその分析は正しく、従来は「口コミ」を喚起する最大の方法は「ローカルテレビCM」や「テレビニュース」とされており、実際に最も有効な方法だったのでしょう。
しかし、Web2.0のネット社会の中で「口コミ」を喚起するSNSという仕組みを十分に活用しきれなかったところにジュリアーニ(だけでなく他の候補者も)の敗因もあるのではないかと考えさせられました。
もちろんオバマ氏が大統領にふさわしく、魅力的な人物であったということが最大の勝因であることは言うまでもないことですが。