いちごです
いちごは6歳の女の子です。
ひかりが来るまで、我が家で一番年下の猫でした。
いちごは大変な怒りん坊さんです
こちらの足がいちごにちょっと当たっただけで宇宙怪獣のような声で「ヴギャ~ッ」と騒ぎ、鼻を鳴らしながら短い尻尾を高速で振り、怒りを表現します
初めてひかりが来た日、いちごはひかりの入っている段ボール箱の臭いを嗅ぐと、急に「ヴ」と怒ったように唸り始め、そのうち呼吸が速くなっていき、過呼吸で倒れるのではないかと思うほど怒りで興奮していました
いちごからはひかりに近づかず、ひかりが近くに来ると唸って怒っていました。
最初のうちは、いちごが怒って唸るとひかりは逃げていました。
しかし、最近ではひかりがいちごにちょっかいを出すようになりました。
ひかりはいちごの頭にネコぱんちしたり、
いちごの背後から襲いかかったりします。
しちふくは、いちごがひかりに攻撃をして大変なことになるだろうと思いました。
ところが、いちごは唸って怒るだけで全く攻撃せず、ただひたすら逃げ回っています
爪とぎを使いたいときも、ひかりが使っていると黙って待っています。
いちごは怒りん坊ですが、弱虫ビビり屋さんでもあるようです
いちごは6年前、きょうだい3匹で保護されたうちの1匹です
猫の保護活動団体のお世話になっていて、他の2匹はすぐに新しいお家が見つかりましたが、いちごは原因不明の下痢が続いていて引き取り手を探すことすらできませんでした。
それで、見るに見かねて我が家に迎えたのです
我が家に来てもしばらく下痢が続いていました。
それが落ち着いたら、生後7か月の頃に急に何も食べなくなりました。
血液検査の結果、肝臓の値がとんでもないことになっていて、重度の黄疸もありました
真っ黒なので、黄疸に気づくのが遅れてしまったのです
そのころ、しちふくはまだ東洋医学を学んでいなかったので、勤務していた動物病院にいちごを入院させてもらい、点滴しました。
しばらくして避妊手術をするときも、数日前から入院させて強肝剤を入れて点滴し続け、やっと肝酵素の値が麻酔をかけられる程度まで落ち着いたので手術できました。
いちごは手作りごはんを全く食べないので、肝臓用の特別療法食を食べています。
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ここまでお読みになって、ほとんどの方は、いちごの性格の話と体調の話は全く関係ないと思われるのではないでしょうか
ところが、東洋医学の五行分析を行うと、とても関係深いのです。
東洋医学の五行説と言うのは約2500年前から存在し、観察によりさまざまなものを分類していったものであり、占いではありません
世の中の様ざまなものを「木火土金水」の5種類に分類していきます。
(詳しくは過去記事⇒五行説1)
いちごは小さい時に下痢がひどかったり、生後7か月で黄疸になるなど、生まれつきの生命力の弱い猫です。
つまり、いちごは生まれつき持っている生命力が弱いのです。
生まれつき持っている生命力のことを東洋医学では「先天の精」と言います。
(詳しくは過去記事⇒五宝7-精の話)
東洋医学では、先天の精は「腎」に蓄えられていると考えられ、「腎精」とも呼ばれます。
いちごのように生れつきの生命力が弱い状態を、 「腎精虚」と言います。
五行でいうと、腎は「水」に属します。
また、いちごは小さい時に黄疸になり、今でも肝臓用の特別療法食を食べても肝酵素の値はかなり高いです。
五行でいうと、肝は「木」に属します。
上の五行説の図を見ると、木⇒火⇒土⇒金⇒水⇒木⇒・・・と矢印が付いています。
これは相生関係と言い、木が燃えると火が生まれる、火が消えてできた灰が土になる、土を掘ると金属が取れる、金属を置いておくと金属の冷たい表面に水が付く、水をかけると木が育つ、と言うように前の要素が次の要素を生み出す関係があると考えられています。
相生関係は親子関係と言い換えることもできます。
いちごに関係する要素で見ると、水が親で木が子供です。
いちごは腎精虚なので、生まれつき水の要素が弱いです。
そのため、親である「水」から養ってもらえない「木」に異常が現れ、肝の状態が悪いのだと考えられます。
また、性格から見ても、水の性格は弱虫ビビり屋で、木の性格は「俺様」タイプの怒りん坊です。
まさに、いちごの性格は水の性格+木の性格です。
性格から見ただけで、心身のバランスが崩れたとき水の要素や木の要素に問題が起こりやすいことが分かります。
いちごの場合、西洋医学的には肝の治療しかしないですが、東洋医学では肝はもちろんですが、腎を補う治療をします。
(ここでいう「腎」は西洋医学的な腎臓とは異なります)
親である腎が元気になると、その子供である肝も次第に元気なって行くという考え方です。
西洋医学では性格と病気なんて関係ないと考えますが、いろんな動物たちの診察をしていると性格と体調不良を五行分析で説明できる例がほとんどです。
しちふく動物治療院では、初診のときは飼い主さまから症状だけでなく動物さんの性格などを詳細に伺い、五行分析をして説明し、治療方針を決めていきます。
なので、初診のときは問診と説明だけで1時間ほどかかってしまいます。
長いですが、そのくらい時間をかけないと、きちんとした診療ができないと思っています。
これからも時どき五行分析の具体例も紹介していき、皆さんに東洋医学の奥深さをお伝えしたいです