今日のしちふく地方は蒸し暑いです
南の方からは梅雨明けの便りも聞こえて来ています
東洋医学的に、これからの季節に怖いのは「陰虚」です。
陰虚というのは、「陰が不足している」という意味です。
「陰」というと「陽」に比べて悪いもののように思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
陰がなければ陽がなく、陽がなければ陰がありません
身体の中では陽がストーブ、陰がクーラーの働きをしていると思えばいいでしょう。
健康な場合、体の中で陰と陽のバランスが取れています。
陰というのは暗さ、冷たさ、夜、眠る、水などと関連があります。
暑くなってくると、熱によって身体の中の陽が増えます
それを補うため、暑い時には陰の要素である水を飲んで陰陽のバランスを取るのです
「陰虚」というのは、体の中の陰(クーラー)の力が弱くなった状態です。
上の図と比べてみてもらうと分かるように、陽(ストーブ)の大きさは健康な時と変わりません。
しかし、何かのきっかけ(高齢など)によって体の中の陰(クーラー)の力が弱くなると、相対的に陽の力が強くなります。
強くなったと言っても、陽の力は健康な時と変わらないので、高熱が出るわけではありません。
ただ何となく体の芯が熱いような気がするのです
人間だと体が火照ってだるいと感じるし、ワンコさんだとパンティング(ハァハァ息をすること)が多くなります。
たくさん水を飲んだり、少しでも涼しい所にいようとしたり、冷たい床に寝ようとしたりします
更年期障害、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症など、身体が火照って水をたくさん飲むような病気の多くが陰虚と関連している可能性があります。
これから暑くなってくると、太陽からの熱、つまり陽のエネルギーが大量に身体に入ってきます。
そうなると、体の中の陽の力がますます強くなり、陰と陽のバランスがさらに崩れ、陰虚が悪化します。
陰虚があると、人間でも動物でも、これからの季節に体調を崩しやすなります。
陰の働きに「夜にぐっすり眠る」というのがあります
夜は陰の時間、眠るは陰の行動なので、陰虚が進むと夜にぐっすり眠ることができなくなり、夜鳴きをする犬が増えてきます。
昼はウトウト寝て過ごし、夜になると眠れなくて騒ぐのです。
飼い主さんは、近所迷惑になるのを心配して、夜に犬の気を紛らわすために散歩をしたりします
犬は昼に眠れば済みますが、人間は昼に社会生活があるので夜に犬の世話をすると疲労困憊してしまいます
そのため、動物病院に犬用の睡眠薬や精神安定剤を求めてやって来る飼い主さんも少なくありません。
実は、犬の夜鳴きの多くは陰虚が原因なので、睡眠薬や精神安定剤を使っても一時しのぎだけで根本的には良くなりません。
西洋医学のお薬で当座の症状をしのぎながら、鍼治療・漢方薬・生命力のある食材などで陰を補ってあげると、時間はかかりますが少しずつ落ち着いてくる可能性があります。
犬が夜鳴きをする場合、すべての症状を年齢のせいにせず、何か改善策がないかどうか、早めに東洋医学の獣医師に相談してみるのも一つの方法だと思います。