シナモンさんは8歳の男の子のわんこさんです。
ミニチュアダックスフンドとイタリアングレーハウンドの
ミックス犬ですが、ダックスの形質が強く出ています。
今年の2月ごろから右手首を痛がるようになり、
かかりつけ動物病院では関節炎と診断されたそうです。
とても痛がるため、1~2日おきにステロイド剤を飲んでいました。
ステロイドとは腎臓の近くにある副腎という
豆ぐらいの小さな臓器で作られるホルモンの一種です。
ステロイドから作られたお薬には
内服薬・外用薬(塗り薬)・目薬・点鼻薬などさまざまあります。
少量で強い効果がありますが、副作用も強いです。
犬が内服した時の主な副作用としては、肥満、皮膚が薄くなる、
胃腸障害、肝障害、糖尿病、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、
免疫抑制により感染症にかかりやすくなること、などがあります。
一番最初に現れる症状は水をよく飲むこと、食欲が増えることです。
ご飯をたくさん食べるようになるので、
喜ぶ飼い主さんが多いですが、
食欲が増えた時点で他の副作用も始まっていると思ってください。
特に肝障害などは、相当悪くならないと検査結果に表れないので、
血液検査の結果が高くなった時点では、
かなり副作用が進んでいると思わなければなりません
ステロイドは短期的に使うにはいいかもしれませんが、
いつまでもだらだら続けるのは問題があると思います。
さて、シナモンさんはステロイド剤を1~2日おきに飲まないと
痛みのコントロールができない状態が続いていたので、
副作用を心配した飼い主さんからしちふくに相談がありました。
診察すると右手首が張れていて、右前肢に体重がかからないように
左前肢で支えるような立ち方をしていました。
右ひじが外側に突き出るようになっていました。
シナモンさんは 水の性格 で、
怖がりの甘えん坊さんです。
恥ずかしがり屋さんで、カメラを向けても
横を向いてしまします。
東洋医学の五行説
における水の要素は
腎臓・骨・関節・耳などに深い関係があります。
水の性格の子はそれらのどこかに問題を起こしやすいです。
シナモンさんの治療には、
強い症状のある右手首だけでなく、
腎臓や骨に関するツボや
痛みをコントロールするツボも使っています。
ツボに鍼を刺す鍼治療のほかに、
鍼に電極をつないで微弱電流を流す電気鍼を行い、
さらにツボに薬液を注入する水鍼治療も行っています。
鍼だけでなく、マッサージも行います。
飼い主さんにも家でマッサージしてもらっています。
漢方薬も毎日飲んでもらっています。
≪電気鍼治療の様子≫
痛みがだんだん弱くなってきたので
ステロイドを飲む間隔が少しずつ開いていき、
治療開始から2か月で完全に止めることができました
とても自然な形でステロイドから離脱できました。
治療開始直後は週1回の鍼治療でしたが、
治療開始から4か月たった今では
2~3週おきの治療になっています。
鍼治療が3週間隔になると痛みが出てくるようなので、
痛みが出始めるかどうかのタイミングで治療しています。
漢方薬は続けていますが、
ステロイドを完全に止めることができたので、
飼い主さんも喜んでいらっしゃいます
今では、同居のわんこさん・にゃんこさんと
元気に走り回れるようになりました
今回はシナモンさんのご紹介でした