大人になる前に-24 | もうひと花咲かせます

もうひと花咲かせます

『妻が夫を捨てるとき』の花子と息子吾郎の
その後・・・のおはなし

「おまえ、何してんだよ!!」




「何って・・・勇作こそ何してんのよ!!」




「何が。」




「私に言えないことしたんでしょ?

浮気したんでしょ?」




「はっ?何言ってんだおまえ。」




「ずっとおかしいと思ってた。

勇作、なんか変わったよね。

私のこと、もう好きじゃないんでしょ?

結婚の話もぜんぜん進まないし。

真剣に考えてないんでしょ。


浮気してたから、だから、私とHしなくなったんだね。

好きだったら、こんな風になるわけないもん。




もう私、疲れた。

もういい。








別れよ。」










勇作はしばらく無言で、私のことをじっと見つめていた。

そして、目をふせて、こう言った。





「分かった。」






その瞬間、楓はパニックになった。

勇作はきっと、「別れたくない、話をしよう。」って、引き止めてくれると思っていた。

どうしてそう思ったのか、根拠はないのだが。

2人のこれまでの長い時間が、こんなことで簡単に終わるとは、思っていなかった。





「分かった。」



勇作はただひとことそう言って、その場を離れようとした。




「いや!待って!

いやーーーー!!」




楓は、その場にわっと泣き崩れた。




勇作が振り返り、そばに来て、黙って楓の身体を起こした。

楓は、勇作の手を強く握り、勇作にしがみついた。




「もう、やめろって。」



冷たい言葉だった。




楓は手を離し、その場に座り込んだまま、ひとりで泣き続けた。





くっつく時は、あんなに大変なのに。

プレゼントもらったり、待ち伏せされたり、告白されたり。

別れるときは、一瞬で終わりなのね。




どうしてこんなことになってしまったんだろう・・・




楓は、何がなんだか分からないまま、涙を流しながら、ただ夜空を見上げていた。





「楓~!!」




貴子が走ってきた。




「勇作、先に帰るって。

楓のこと頼むって。

どうしたの?喧嘩でもした?」




「みんなは?」




「ああ、ヨッシーも理絵も、さっき帰ってったよ。

勇作と楓、2人だけにしてあげようって。

誰もいないとあれだと思って、私だけ店で待ってたんだけど。

そしたら、勇作だけが戻って来てさ。」




「そう・・・」




「どうしたの?勇作と話できた?」





「うん・・・






別れた。」





「えっ?」





~つづく~


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