大人になる前に-12 | もうひと花咲かせます

もうひと花咲かせます

『妻が夫を捨てるとき』の花子と息子吾郎の
その後・・・のおはなし

車の外では、大乱闘が起こっていた。

楓からはハッキリとは見えないものの、男たちが殴り合ってるということは分かった。



持っていた携帯で、すぐに110番へ通報した。



「早く、早く来てください!

暴走族に襲われてるんです。

いきなり車のフロントガラスを割られて、友達が、友達が、殴られてる・・・



早く助けて、助けて!



今いる場所は・・・

分からないけど、近くに、病院・・・久保田医院って看板が見えます。

早く来て!お願いします、助けて!」



楓は泣き叫ぶような声で、助けを求めた。



それから5分もしないうちに、パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。



楓は、ずっと後部座席で震え続けていた。



パトカーが近づくにつれ、オートバイの数が減り、男たちの数が減った。





いやーーーっ!!!!





勇作の姿が、ちらりと見えた。

顔面が腫れ、血だらけだった。



楓は思わず、車の外に出ようとした。




そのとき、時田が車の中に戻ってきた。

少しだけケガをしているが、見た目にはそう分からない。



「楓、そこ動くなよ。

警察が来たみたいやから、もう大丈夫や。」



「勇作は?勇作どこ行ったの?」




勇作の姿が見えなくなっていた。






「勇作は・・・



勇作は・・・








あいつらに連れて行かれた。」




~つづく~


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