2年連続で山鉾巡行中止 | コバやんの祇園祭レポート&雑記帳

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京都・祇園祭の山鉾町で生まれ育ったおっさんのブログです。

昨日の山鉾連合会の代表者会議で、理事会から「本年度も山鉾巡行中止」の報告がなされ、夕方のニュースでさっそく報道がありました。

 

各保存会では「今年の祇園祭をどのように行うか」を模索し、本日の代表者会議で持ち寄る予定と聞いておりましたが、関係行政(府、市、警察など)と折衝をされていた理事会では「巡行中止やむなし」と結論されていたようです。

 

それまでの、コバやん私案では

「例年巡行~巡行中止」の選択の間で、コロナ変異株の流行拡大もありますが昨年同時期よりは

 〇マスク、アルコールの入手困難の改善

 〇感染拡大防止の方向の知識と経験の取得

 〇ワクチンの接種開始

もあって、オリンピックの開催、選抜高校野球の開催、聖火リレーの実施(大阪など一部中止もありますが)など昨年よりは状況に改善の兆しが見えるなかで、

 山鉾を建てたい保存会は山鉾を建てる。

 四条通の烏丸~堀川間の歩道側1車線を歩行者に開放する。(烏丸以東と同じ)

 宵山の歩行者天国を含め、ソーシャルディスタンスの周知徹底。

 会所見学は総量規制(例:50人として一人出たら一人入るなど)。

 囃子方も鉾上〇人まで。

 巡行は辻回しをしなくて直進だけなら曳き手も制限できるので、

  例えば、長刀鉾だけでも寺町の御旅所まで往復する。

  山はクジ順五番までが同行する。

など例年とは規模を縮小しても全面中止だけは避けて「疫病退散」を祈願する。

 

という希望的な案を持っていたのですが・・・

 

お神輿はそれぞれ神輿会さんが決められることですから私どもが口を挟むことはできませんが、同様に御旅所までの往復巡幸なら密を避けられ、可能ではないでしょうか。

 

昨日の時点では「巡行中止の決定」だけで、コロナへの緊急事態宣言など今後の情勢にもよりますが「山鉾を建てるのは各保存会の判断」という余地は残されています。

コロナが今より鎮静化に向かえば、山鉾は建ちます。

夜間の活動(宵山の歩行者天国を含む)の自粛、露店の自粛など行政・警察が絡むものは期待薄ですが・・・

警察は五輪の応援出動が見込まれ、祇園祭に人員を割けないらしいです。

 

すなわち郭巨山の現時点での最良は「山は建てるけれど巡行、夜間活動は無し」

最悪は「昨年同様(吉符入り儀式とチマキ授与だけ、夜間活動は自粛)となります。

 

↑、令和3年4月16日付 京都新聞朝刊

 

↑、令和3年4月16日付 読売新聞朝刊

 

 

さて、郭巨山の今年最大の話題は「町会所の改築」です。

郭巨山の町会所は元治元年(1864)の禁門の変で焼失した後、明治末期の四条通の市電開設に伴う拡幅工事により表の間、中の間が削られたため懸装品の展示スペースが狭くなったままで今日に至り、狭い敷地の中、大正期に建てられた蔵も手狭で円山公園の収蔵庫に納めています。

近年の台風による外壁の崩落、屋根瓦の崩落、耐震強度の不足もあり、地盤沈下による玄関雨戸の閉まり悪さなどもあり、そろそろ手を加えるか建て直す時期となっていました。

2年前に数十年来の念願であった保存会の法人化が認定され、登記名義の法人化、寄付金の受け入れなどが可能となって機は熟してきました。

 

昨年より設計、助成金などの検討に入り、設計では、建て替えか改築かの決断で、改築なら町家保存の助成金の対象になりますが、建て替えの場合は敷地のセットバック、壁の厚さ、収益ビルの場合のエレベーター・非常階段の設置、借入金の発生など展示スペースが今より狭くなることがわかり、改築の方向で進めることになりました。

 

京町家を広く手掛け助成金にも詳しい設計士さんに基本設計をお願いし、使いやすさなど私たちの希望案を提示し、このたび基本設計最終案がまとまりました。

現在の母屋(展示場)と蔵の間に二階を増床して1階をリフォーム、これにより1階奥の間が活用でき、東側に通路(宵山期間)を設け、通り抜けの拝観ができるようにします。

ご存じの方もおられると思いますがこれまでの展示では懸装品が重なりあって、覗き込んで御人形のお顔だけが小さく見える程度で見送と後掛は全く見えません。前掛、胴掛も横壁に重ねての展示で、せっかくの芸術品も満足に観て頂けませんでした。

これまでの会所展示。改築案では向かって左側(東側)に通り抜け通路を設ける予定。

 

広くなった二階は会議、チマキの飾りつけ作業、山舁き・お供の着替え場に活用でき、蔵の二階窓とも繋がります。

 

1階はこれまで吉符入り式で御神号掛軸が北向きでしたが東向きとなり、地蔵盆の数珠回しも床ギリギリから余裕ができます。

 

今年の祭事が終了した8月から工事に取り掛かり、来年5月末までには完成する工程です。

 

資金は胴掛の復元新調に向けてプールしていたものを基本資金にして、今の二世世代以降の将来の若者に負担を残さないように考えています。

 

そこで皆様に寄付金を募ることを計画しています。公益法人ですので寄付金控除の対象にもなるそうです。どのような形で行うか、これから知恵を出し合って、より有効な方法でと考えています。

昭和54年(1979)に御人形の御衣装と「花の汀」左胴掛を新調した際にも寄付を募り、このときは寄付を頂いた方(個人、法人)のお名前を新調胴掛の裏に記載し、記念事業として八坂神社絵馬堂に上村松篁画伯直筆の「郭巨山巡行図」の絵とともにお名前を記載した大絵馬を奉納しました。

今回の改築ではクラウドファンティングも考慮しましたが手数料もかかるので、大々的な募集ではなく保存会内で対応できる範囲での募集となりそうです。記念品とともに会所に名札を掛けるなどを考えています。

 

余談を一つ。

町内でお菓子屋さんをされていた方が転居されることになり、古い看板を頂戴しました。

なつかしいでしょ。

昭和43年(1968)でファンタが30円!