私の俳句:2024年3月 | ここはいいところ

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「ここはいいところ」の「ここ」は私が行った場所であり、人生の一場面でもあります。
人生という旅のなかで、自分がよかったと思ったところやことを記録し、人に伝わればいいなと思います。
1か月に2~3回は新しいブログを書きたいと思います。

 2024年3月に印刷物等に掲載された私の俳句の一部です。

 

■『麦』2024年4月号(麦の会 2024年4月1日発行)

「地熱集」対馬康子会長選(7句まで出し5句まで選)

   新しい言葉はどこに冬銀河   ……*1

   冬空に虹をかけたり象の芸

   凍鶴はそのまま氷り噴水に

   囚われてキリコの冬の「赤い塔」

   ずぶ濡れで現代は立つ竜の玉

「踏生集」(同人の自薦欄5句)

   「冬に食す」

   蕎麦掻も俳句の出来も緩すぎて

   われという荷物ひきずりおでん屋へ

   「悔」と「恨」ほどよく煮込む牡丹鍋

   闇の鍋地球のごとく掻き回す  ほか1句

令和六年「麦」新年句会 

   一瞬のヒト科繁栄冬銀河

     (特別選者望月哲土選)

誌上句会 テーマ「安」赤峯友子選

   新子安市民酒場の燗の湯気   ……*2

句会報 麦の会2月例会 対馬会長選

   春めくや人類きょうも二本足

   半熟の夜が明ければ浅い春

 

■『楽園』3巻5号

  (楽園俳句会 2024年1月1日…実際は3月25日)

「個個集」堀田季何主宰選(6句まで出し5句まで選)

   この世でもあの世でもない冬の夜

   頭蓋の冬の星座にある言葉

   重信の行間に落ち冬の蝶

   涸れ川に忘れた一人取りに行く

   十条の自由な爺さん十二月

「球体集」堀田季何主宰選 

   お題「文学」しばり。(佳作は作者名が出ません)。

   佳作

   文学を?いえ俳句です菊日和

   冬旱純文学という化粧

 

■『神奈川県現代俳句協会会報』第163号

   (同会 2024年3月発行)

 川崎句会 12月16日

   寒卵いつもどこかにある不安

 インターネット句会 11月、12月

   その悔いは芋に託して芽吹かせる

   冬の星地球の悲鳴聞いて来た

 

ブログ「大井恒行の日日彼是・続」 3月15日

 現代俳句協会の金曜教室(講師:大井恒行先生)

 の報告(最終回)        ……*3

   春風がきれいな臓器撫でていく

 

■第31回『西東三鬼賞』俳句作品集 

(西東三鬼賞委員会、津山市 2024年3月)

 佳作 路地裏に金魚いるバー攝津は来たか

 

*1 対馬会長の句評欄「地熱深耕」に取り上げていただきました。その全文です。 : 夏山さんは、井筒俊彦が研究した「意識と本質」における深層意識の世界について、2008年に正岡子規国際俳句賞を受賞した河原枇杷男を対象に、認識論と存在論の優れた評論を書いた。それは斌雄が追究した内面の具象の世界につながる。そして西行が追究した「真言」の世界であり、芭蕉が追究した「新しみは俳諧の花」という世界でもある。「新しい言葉」とはそのような言葉である。

 このような文を書いていただき、そんなことまで考えていなかったので、呆然としてしまいました。井筒俊彦を読んだことがないので、図書館にリクエストをしました。

 思いや感情に合う言葉がなくて途方にくれることがあります。インターネットや類語辞典などで調べてもないことがあります。そのようなときに期待するのは詩や俳句です。暗喩のイメージや言葉と言葉のつながりや断絶は、自我意識がコントロールしきれない言語野から立ち現れるのでしょうか。この「冬銀河」と『楽園』個個集2句目の「冬銀河」は脳内の冬銀河を見ていて、言語野からの言葉の立ち上がりを期待しているものです。突如、音楽のフレーズのように現れることを期待して・・・・・・でも、ほとんど現れません。

 

*2 かつて戦前の横浜には「市民酒場」を標榜した居酒屋がありました。現在でも、いくつかの店が名乗っています。興味がある方は「横浜 市民酒場」で調べてみてください。この句の店は新子安の「諸星」です。

 

*3 大井先生の俳句教室はたいへん勉強になり、刺激も受けました。句会の課題が無季の句、多行の句、前書きのある句、方言の入った句、平仮名だけの句、片仮名と漢字交じりの句、当季でなくてもよい雑詠、即吟などいろいろでした。また、講座としては、高屋窓秋らが折笠美秋を見舞いに行ったときのテープの聴取、赤尾兜子を偲ぶ会での折笠美秋への見舞いを吹き込んだテープ(鈴木六林男、三橋敏雄、高柳重信、宗田安正、和田悟朗、小泉八重子)の聴取、攝津幸彦を偲ぶ会で上映されたVHSテープの視聴、それらのさいには登場する俳人とその句の学習もした。また、季語についての考え方とそのなかでの加藤楸邨の無季の句、飯田龍太の雑の句を紹介していただいたりした。ただ、アルバイトで4回休まざるを得ず、それも攝津幸彦を見られなかった回があったのは残念でした。そして、毎回一人1句ずつ、当日のうちに先生のブログ「大井恒行の日日彼是・続」に掲載していただき、感謝しています。

 

 写真は2022年3月の東京都港区亀塚公園斜面のフキノトウです。まだフキノトウを食べていません。蕗味噌を食べたいです。