荻窪で文学(俳句)逍遙 | ここはいいところ

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「ここはいいところ」の「ここ」は私が行った場所であり、人生の一場面でもあります。
人生という旅のなかで、自分がよかったと思ったところやことを記録し、人に伝わればいいなと思います。
1か月に2~3回は新しいブログを書きたいと思います。

 2つの句集を読んで、このブログに取りかかります。この2つの句集は東京都杉並区荻窪の古書店で購入したものです。荻窪へは、当地にある「屋根裏バル鱗kokera」というバルで1月6日に行われた「堀田季何さん特別句会」に参加しに行きました。

 

 まず、南口に出ました。駅前の「岩森書店」は魅力的な古書店でした。文学書が多く、高柳重信の『青弥撒』を購入しました。句会の兼題は「寒雀」でしたが、中村草田男の「天餌足りて胸づくろひの寒雀」の短冊が掲示してあり、句会で短冊があったという話をしました。

 南口仲通りから左折する細い通りにある「待宵珈琲店」は店主が俳人で、俳人のブログなどでも紹介されています。コーヒーがとてもおいしかったです。

 その近くの仲通り沿いに「竹中書店」があります。専門書が多い古書店ですが、店番が明るい女将さんで、本の整理をされているご主人に楽しそうに話かけていました。

 駅前を東西に走る道に戻ると「古書ワルツ」があります。店頭の廉価本コーナーが充実していますが、店内もなかなか面白い本があります。青梅に本店があるようです。なぜ「ワルツ」なのか、聞いてみたい衝動にかられましたが、気軽に聞ける雰囲気ではありませんでした。阿波野青畝の『遍照』を購入しました。

 十数分歩けば、3箇所、魅力的な庭園、公園があるようです。

角川庭園は、俳人で角川書店創設者の角川源義氏の旧邸宅をご遺族が杉並区に寄贈し、杉並区が改修して公開しています。駅から徒歩15分だそうです。

角川庭園とは | 角川庭園・幻戯山房〜すぎなみ詩歌館〜 (sugi-manabi.com)

 杉並区立大田黒公園は吟行によさそうです。

施設案内 大田黒公園|杉並区公式ホームページ (city.suginami.tokyo.jp)

 その近くには杉並区立中央図書館がありますが、図書館は杉並区立読書の森公園という公園のなかにあります。「読書の森」と聞いて、行ってみたくなります。

施設案内 読書の森公園|杉並区公式ホームページ (city.suginami.tokyo.jp)

 大田黒公園と図書館の間には石井桃子記念かつら文庫があるそうです。

 

 北口に出ると、駅前のロータリーの先を東西に青梅街道が通っています。街道を渡れば「ブックオフ荻窪店」です。

 

 その先、教会通りに入ってすぐ右に行った2階に「屋根裏バル鱗kokera」があります。2022年に内装改修のためのクラウドファンディングを募集していましたが、荻窪は遠いように思え、「バル」という名称にも気後れして参加しませんでした。しかし、店内に句集、色紙などもあり、とてもよい雰囲気でした。

 

 教会通りの少し先には「COTOCOTO BOOK CAFÉ+BAR」があるようです。TBSテレビの「サンデーモーニング」に出演している方がご友人と始めたそうです。

 駅前の商業ビルには「八重洲ブックセンター荻窪店」があるそうです。「八重洲ブックセンター」はなくなったと思っていましたが、こちらに支店があると知り、入ってみたかったのですが、時間がありませんでした。

 そのほか、「古書かいた」という古書店もあるようです。

 

 さて、『青弥撒』です。高柳重信著、1974年、深夜叢書社刊です。箱が素敵ですが、標題紙は幻想的な絵のデザインです。

 4行の句が見開き中央に寄り添う形でレイアウトされています。

 深夜叢書社を作った斎藤愼爾さんは昨年3月28日に亡くなりました(1939年生)。高校時代から句作をし、秋元不死男主宰の『氷海』に投句、1959年に氷海賞を受賞したにもかかわらず、翌年から20年以上、句作を中断されていたそうです。その間、山形大を中退、1963年に深夜叢書社を設立されました。齋藤愼爾さんについては昨年ブログに書かせていただきました。

 齋藤愼爾氏のこと | ここはいいところ (ameblo.jp)

 このブログの写真に載せた本のうち、『石原吉郎句集』、『幽明婚』、『かりうどの朝』は1974年刊でした。攻めていたなあ(いろいろな意味で)、と思います。

 次に、『遍照』です。阿波野青畝著、1990年、ふらんす堂刊です。阿波野青畝はいつか句集を読もうと思っていましたが、文庫版で厚さも薄く、装幀がとても可愛かったので買いたくなりました。ふらんす堂代表の山岡喜美子さんには数年前の現代俳句協会総会で名刺をいただいたことがありますが、そのブログ「ふらんす堂編集日記」は毎日読んでいて、感想を書いて紹介していただいたこともあります。また、主催する横浜句会に参加させてもらったこともあります。

 火をテーマにした句集の栞が「水中の火」という塚本邦雄(歌人)によるものだったことも魅力でした。


 装幀は千葉皓史さんです。

 千葉皓史さんは俳人、篆刻家、デザイナーです。俳人としては、角川ソフィア文庫の『極めつけの名句1000』に掲載のある方(3句)で、『俳句歳時記』にも掲載がある高名な方です。和文具・和雑貨のブランド「GENRO (ゲンロ)」を創業、素敵なスタンプを創作され、大手文具店でも扱われています。ホームページによると「社名の玄廬(げんろ)は、創業者の篆刻家としての号です。」とありました。上井草は荻窪と同じ杉並区で3kmくらい離れています。もしかして、と持っているスタンプを調べると「玄蘆」とありました。

 古書ワルツの値段票も素敵です。これも魅力でした。


 

 荻窪は古書店のほかに新刊の書店もたくさんあります。本を好きな人がたくさんおられるのだと思います。また、魅力的な居酒屋やカフェもあるようです。

 荻窪はかなり気に入りました。これからもうろつきたいと思います。よろしくお願いいたします。