平成になってから、運動不足や食事のバランスが、高齢者(中高年)の健康被害の因子として結びつけられてきた。みのもんたの「おもいっきりテレビ」を皮切りに、健康番組が一世を風びし、猫も杓子も「健康に気をつける」時代が到来した。平和の証である。

 

2000年代に入ると国も関与を強める。メタボ検診である。BMI(25以上)、ウエストまわり(86・90)と具体的な数値が示された。血圧も年齢プラス90から130以上とかわった。そのほか高脂血症とかHba1cとか、最近では1日あたりの塩分摂取量まで表示している。

 

そして健康食品に特化して、消費者に誤解を与える表現が緩和された。景品表示法がザル法になった。今やすべての報道機関とSNSに食い込んでいる。まさに「健康」は国が後押しする一大ビジネスとなった。

 

では、ビジネスの結果は如何なものか考えたい。率直に寿命は延びている。100歳の人口が10万人を超えるのもすぐだ。その要因は生活環境の改善と、医療技術の進展が大きい。人間だけが持つ探究心に基づいた科学の勝利といっていいだろう。国が推進してきた科学技術全般へのテコ入れは日本の地位を高めてきた。「人々の暮らしを守る」というのは政治の原典である。したがって健康増進・維持は重要な政策といえる。それが科学的であればいい。健康長寿の明るい結果の一方で、ダークな似非(エセ)科学がこれほど社会に浸透したのはいかがなものかと懸念している。どちらも国がテコ入れしている(ダブルスタンダード)。

運動エネルギーは、肺から取り入れる酸素と、血液中の糖質を利用して発生させている。多くの酸素を取り入れ、多くの糖質があれば、それだけ多くの運動エネルギーを発生させることができる。糖質は消化器官の役割で、酸素は呼吸器官の役割となる。ここでは消化器官の話は追求しない。呼吸器官(心肺機能)の能力向上を目的とした「有酸素運動」に焦点を当てている。一般的に表現される有酸素運動で脂肪を燃焼させるというのは、理論上は正解だが個人差が大きいので結論ありきの推奨をするつもりもない。

 

エネルギーとして消費されるのは血液中のグレコロース(グリコーゲン)=糖質ということになる。100キロカロリーは心拍数105、約40分程の有酸素運動で消費される。不足分は肝臓から供給されるが、血液中の糖質が供給不足になると低血糖となり運動を継続できなくなる。

少し軽めの運動(負荷)を続けると糖質を継続的に供給できるように体が反応してくる。しかし酸素供給を向上させるには個人差が発生する。個人差とは主に喫煙の有無、そして肺活量の違いがある。時間はかかるが継続すれば間違いなく呼吸器官(心肺機能)の能力は向上する。

 

血液中への糖質の供給である食事だが、基本的にカロリー制限をストイックに意識する必要はない。食べてカロリーを摂取しなければ糖質不足で動けなくなる。有酸素運動をはじめても必要なカロリーは食べて補給することが基本だ。

 

有酸素運動をするにあたってのスタイル〔姿勢〕は非常に重要となる。まずは運動量ではなく運動するスタイル(姿勢)に気を使う。できれば、プロのインストラクターからアドバイスを受けることが必修だ。

元サイクリストとしてエアロバイクでの簡単な説明をしたい。ダメなやり方は一般的に想像できるママチャリの乗り方になる。

乗車姿勢の基本はサドルの高さ調整から始まる。クランクペダルの下支点で膝が軽く曲がっている。ペダルの軸を足の親指の付け根(肉球)で踏む。つま先は前方向。O脚やX脚は意識して矯正。上半身は前傾姿勢。苦しくない程度にハンドルの高さを調整。

この乗車姿勢でトレーニングをすると、握力・背筋・腹筋・腰回りに、必然的に筋肉が増える。

 

少し軽めの運動(負荷)を続けると血流を活発にしてくれる。全身の毛細血管も活性化する。ランナーズハイという言葉があるが、運動を続けることで心身ともに活発化するのは確実にある。運動をすることでドーパミンが供給され、持続時間の長いエクスタシーを得ることができる。

 

「急いては事をし損じる」基本的に「やりすぎない」「ステップアップに走らない」「疲労を蓄積させない」。1回20分の運動を継続3か月、次に40分3か月といった具合だ。意識的に1週間ほど中断してみて、体が欲しているのを感じれば「苦痛」から「爽快」へと移行する。有酸素運動を実感できるのはこの辺りからということになる。

 

高齢者の不安はとどのつまりは動けなく(歩けなく)なること。筋肉量の減少(フレイル)は足が細くなるので見た目でわかる。肥満体型、やせ体型でも発症する。有酸素運動は到達目標ではなく、動ける体によみがえらせるための、高齢者(中高年)の登竜門だ。

今日は朝から少し強めの雨だ。花粉症の私にはスッキリした一日となりそうだ。そんな家の中にこもりながらも、筋肉と消費エネルギーについて少し触れてみたい。

高齢者に必要な筋肉は不安なく動ける程度であればよいと考えている。ベンチプレス、スクワットなどの部分的な筋トレはムキムキ思考に限定される。筋肉や関節類を傷めたりする可能性もあるのであまりお勧めしない。何といっても継続というか体型を維持するのが大変だ。そんな訳でここでは瞬発的な筋肉(ムキムキ)よりも、運動消費エネルギーが大きく持続的な運動に必要な筋肉(スッキリ)をメインに取り上げていきたい。

 

運動エネルギーを発生させるためには、何よりも酸素が必要となる。酸素は細胞のミトコンドリアに取り込まれ細胞を燃焼させることでエネルギーとなる。その酸素を取り込む機関が肺であり酸素と二酸化炭素の交換器という役割を持つ。まずは交換器の機能を高めることからスタートさせる必要がある。エンジンでいうならば排気量アップとなる。軽自動車のエンジンよりもガソリンがぶ飲みのV8エンジンの方が燃費も悪いわけで、結論から言えば燃費を悪くする=基礎代謝の向上というのが有酸素運動ということだ。よく「高齢者は筋肉を増やせ」といわれるが、筋肉を増やすためには血液により多くの酸素を取り込む=心肺機能を高めることから始めるという感じになる。体型は問わないが、運動不足の高齢者(中高年)が取り組むべき最初の第一歩が有酸素運動ということになる。100mをジョギング並の速さ(時速15キロ程度)で走って、ゼイゼイと息切れをしなければ心肺機能は改善している。かなり厳しいハードルである。

 

では、どのような運動をするのがいいのか。コスパで考えるとエアロバイク一択しかない。自転車でもいいのだが天候や交通事情、専用道路の問題とできない理由が数えきれない。スポーツジムでは定番で、自治体の体育館でも普及している。これなら企業でも従業員の健康づくりに用意することは可能といえよう。

エアロバイクの効果について多くを語る必要はない。第一に、大腿部の筋肉を動かすのでエネルギー消費量が大きい。時間当たりの消費カロリーが、100キロカロリーを消費するのにウォーキングで1時間。エアロバイクなら20分。第二に、心拍数を1分間に105程度、ペダリング強度を緩めに選択するので筋肉や関節を痛める心配がない。第三に、短時間でも十分に汗は出る。達成感を得ることが重要だ。

ただエアロバイクや自転車にも、筋肉や関節を痛めないポジションという大切な基本がある。ウォーキングやジョギングにもポジションがある。それは運動によって体を傷めてしまっては意味がないからだ。運動=スポコン〔強い負荷を与える)と結びつける世代も多い。中学・高校時代の体育会系の伝統というか「バカの一つ覚え」であるシゴキを連想する。有酸素運動は体育会系とは一線を画した、競うための運動ではないことを理解してもらいたい。

明日に続く。