今年の流行語大賞の候補になるかも知れない。思考回路が自己中でなければこんな発言は出ない。根拠のある楽観視ではないなく専ら自身に言い聞かせている。心境の不安を落ち着かせる言葉なのだろう。

しかし現実は思い通りにはいかない。思考力の限界を思い知ったのかどうか分からないが、見たくない聞きたくないとドアを閉めても逃げる場所はない。

イラン戦争はトランプ大統領にとって、いやアメリカ合衆国という国においても稀に見る失敗劇となる。孫子の兵法による「敵を知り己を知る事、百戦危うからず」という大原則が欠落していた。旧日本帝国の日米開戦と同等の愚策と評価されることになるだろう。ハワイの真珠湾を叩けばアメリカは和平交渉に応じる「きっと上手くいく」であった。思い通りにはならなかった。アメリカは反戦から抗戦へと一気に結束した。結果、旧日本帝国は過ちを認めたくないばかりにドロ沼戦争へと導いた。最後は東京裁判で「death by kill」となり「すべて上手くいかなかった」。パールハーバーを持ちだしながら教訓は知らない。愚かだ。

改めるまでもないが、決断・実行するためには情報収集と分析が必要不可欠だ。イラン戦争は臆病な連中の妄想(与太話)を基に実行されたのは間違いない。間違って政治家になってしまった連中は、おとなしく任期を全うするだけで、それ以上の背伸びは考えない方がいい。

 

トランプ大統領にとっての不幸は、不相応な職に就いてしまったことだ。「過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」政治家なら潔(いさぎよ)く身を引く時がきている。文化や価値観の話をしているのではない。アメリカという国を誇(ほこ)らしいと感じるなら、身を引くのが残された職である。

 

同じようなことで2003年にイラク戦争が始まった。理由はサダムフセインが核兵器の開発をしているという理由であった。1997年から始まったIAEAの核査察に妨害が入ったとして、武力行使を認めない国連決議1441が採択されたが、アメリカはイギリスと共同でイラク戦争へと突入した。結果として何もなかった。核開発の話は戦争開始に都合の良い、偏った情報屋のデマに当時のアメリカ政府が傾注していたことが後に検証されている。

 

今回のイラン戦争の理由である核兵器開発についてだが、2005年ころからナタンズで遠心分離器を稼働させ始めたのがそのころとなる。IAEAの査察に協力していたが、第一次トランプ政権の時にイラン核合意をアメリカが一方的に破棄してからはベールに包まれている。ベールをつくったのはトランプ大統領なのだ。当時のIAEA事務局長もトランプ大統領に追従していた一人である。日本人として恥ずかしい。

 

ベールに包んでおきながら、確かな情報の裏付けもとらないで戦争を始めたのである。日本政府も確証もなく核兵器開発と追従したのは過ちであった。悪魔に心を預けている総理大臣にも言っておきたい。「過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」日本人なら言葉の意味がわかるだろう!

イラン側の提示した10項目とは凧であると分析した話があったが全くその通りであろう。核の扱いについての議論は短期間では無理なので継続的なものになろう。おそらくテーブルの上には載らない。イラン側の載せる議題は、秘匿性が極めて高いミサイルや地中貫通爆弾の100発弱の不発弾やステルス無人機の残骸等の扱いが交渉のカードとして載るのは間違いない。アメリカ側も攻撃映像から不発弾が一定数以上発生していることは承知している。

 

イランが精密誘導の技術を入手したのは、アフガニスタン戦争、イラク戦争で飛来した迷子のトマホークとグローバルホークを鹵獲したことからだ。ウクライナ戦争でロシアに提供したのはモンキーモデルで、実際にはランダムな回避行動にアメリカ軍は翻弄されていた。

さて、ここでステルス塗料や貫通爆弾の解析が他国に流れるのを恐れているのは事実だ。イランでは最新鋭の航空機を製造する技術がないので、あえて必要な技術ではない。戦争とは技術の水平化を伴うもので安易にハイテク兵器を使った代償でもある。アメリカとしては痛いところだが賠償金交渉の材料になるのは間違いない。