アンテナ-学生編- 第二章 第二十九話 404 | 見えない世界の真実が此処に®

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夜。

 

404に戻ると、空気が静かだった。

 

 

ドアを閉め、

電気をつけ、

靴をきちんと並べ、

カーテンを引く。

 

 

無意識ではない。

意識しながら、流れるように体が動く。

 

 

(……落ち着く)

 

 

 

そのまま、床に座った。

 

外では、まだ少しだけ雨の音がしていた。

 

 

(……静かや)

 

 

 

何もない。

 

でも、それがよかった。

 

しばらく、そのままでいた。

 

 

 

身体は軽い。

 

頭も、静かだった。

 

(……拾っとらん)

 

 

 

昼間のことを思い出す。

 

冷蔵庫。

 

洗濯機。

 

古いタンス。

 

 

 

触れても、流れ込んではこなかった。

 

 

 

一瞬だけ、よぎる。

 

でも、それだけ。

 

 

 

持っていかれない。

 

 

 

悟は、ゆっくり息を吐いた。

 

天井を見上げる。

 

白い。

 

何もない。

 

 

 

(……これが、おいか)

 

 

 

そのとき。

 

ふ、と。

 

何かを感じた。

 

 

 

遠く。

 

下の階か、隣か。

 

はっきりしない。

 

 

 

でも。

 

 

 

(……誰か)

 

 

 

一瞬だけ、意識が向いた。

 

 

 

腹のあたり。

 

鈍い、違和感。

 

 

 

(……痛い)

 

 

 

すぐに、分かった。

 

 

 

でも、それ以上は入ってこなかった。

 

 

 

悟は、そのまま息を整えた。

 

 

 

(……違う)

 

 

 

自分のものではない。

 

ただ、それだけ。

 

 

 

少しして。

 

その感覚は、消えた。

 

何も残らなかった。

 

 

 

(……できとる)

 

 

 

悟は、立ち上がった。

 

台所に行く。

 

 

 

米を研ぎ、

水を入れ、

炊飯器のスイッチを押す。

 

 

 

(……整う)

 

 

 

音がする。

 

水の音。

 

炊飯器の小さな機械音。

 

 

 

それだけ。

 

 

 

でも。

 

 

 

空気が、まっすぐになっている気がした。

 

 

 

悟は、少しだけ笑った。

 

 

 

(……なんや、これ)

 

 

 

言葉にはならなかった。

 

でも、分かっていた。

 

 

 

前とは、違う。

 

 

 

悟は、錆臭い水を飲んだ。

 

 

 

窓の外を見る。

 

雨は、もう止んでいた。

 

 

 

(……明日も、同じやろな)

 

 

 

それでよかった。

 

 

 

悟は、電気を消した。

 

 

 

目を閉じる。

 

 

 

島のことが浮かんだ。

 

 

 

(……元気やろか)

 

 

 

(第三十話へ)

 

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