ひまうどの声溜め① あるボッチの悲劇 | 放浪カモメはどこまでも

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カチカチ・・・カチ・・・ポトリ・・・

 

とある日常の最中、次に参加する

謎解き公演を探し求めマウスを動かし

ネットの波の上を泳ぐ私の手の甲に

ぽつりと水滴が降ってきた。

 
ここは室内なのにおかしいなと思い、
天井を見上げた私の視界が
ゆっくりと滲み始めた。
 
そして頬に流れる水の感触が伝わる。
 
もしや……私は泣いているのか。
 
何故か?何故だ??
 
理由はもちろんわからない。
 
しかし、先程まで感じることのなかった
胸の奥の痛みがきりきりと強さを増し、
苦しさで呼吸が乱れてきた。
 
不可解な状況を確認しようと
周りを見渡した私の視界に
暗色を基調としたデザインの真ん中に
大きく描かれたその文字が飛び込んできた。
 
【●&#%*@Ψβ からの脱出】
 
 
その文字の羅列を認識したとき、
ぴしっと言う音が頭の中から
聞こえ、鈍い痛みが襲ってきた。
 
その音とほぼ同時に私の意識は
深い闇へと落ちていった……
 
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……………………
 
 
………………
 
…………
 
 
 
 
……お…………ろ
 
 
…………お……き…………ろ
 
 
 
 
 
「起きろ。」
 
 
大きな声が聞こえ私は飛び起きた。
 
頭の奥の方に残った頭痛のせいか
ぼんやり靄がかかったように
視界が定まらない。
 
ようやく目が見え始めてきた
私の前に座っていたのは
 
無駄にガタイの良い、
丸いサングラスを掛けた
スキンヘッドだった。
 
(こ、こわい……)
 
怯む私に全く構うことなく、
スキンヘッドは話を始める。
 
「この世はまやかしだ。」
「真実を知りたくないか?」
 
(ますます怖い……逃げたい。。)
 
無表情なうえ、サングラスをしてる為、
何を考えてるのか検討もつかない。
 
(逃げよう!!)
 
「すみません、間違えました。」
 
そう言いながら、席を立ち去ろうとする
私を見て、すっと掌を向ける。
 
(え?動けない。??。なんだこれは!)
 
混乱する私を前にスキンヘッドは
立ち上がり、後ろ手で腕を組み
諭すように話をする。
 
「君は君の心の囚人だ」
 
「現実とは何だ?明確な区別など出来ない。
五感で知覚できるものが現実というなら、
それは脳による電気信号の解釈に過ぎない。」
 
「現実としか見えない夢を見たことがあるか?」
 
「実はその夢から目覚めていないとしたらどうだ?夢の世界と現実の世界の区別がつくか?」
 
「物事を理性で捉えようとするな。涙が出たのなら、そこで何か悲しいことがあった事が現実だ。」
 
「君の精神は自分自信を守るため、
仮想世界を見ている。」
 
「現実から目を背けるな。」
 
「今、目を覚ませ!」
 
スキンヘッドは一気に話し
無表情を笑みで崩し言った。
 
「真実を知りたくないか。」
 
スキンヘッドの有無を言わさぬ圧力に
私は黙って頷くことしかできなかった。
 
スキンヘッドは後ろで組んでいた手をほどき
何かを握った両手を私の前に出してきた。
 
握ったものを開きながらスキンヘッドは話す。
 
「青いピルを飲むと・・物語はおしまいだ。
ベッドで目覚め、あとは好きに考えれば良い。」

「赤いピルを飲むと・・
君はとある記憶を取り戻す。
それは辛い記憶だが、君の
現実である。」
 
 
 
「さぁ、選べ。」
 
 
 
 
( ゚д゚)・・・
 
 
(やっぱ胡散臭過ぎる!!!)
 
私は青いピルに手を伸ばし、
それを飲もうとしようと、、
 
思ったが、青いピルを取る前に
閉じられる左手の掌。
 
(左手ぷるぷるしてる)
 
(握っている、握っているよこの人ぉぉ)
 
そして無言の黒人はサングラスを取り
その素顔を私に晒した。
 
 
これは非常におこぷん状態である。
 
(殺される・・・・・・)
 
私は引き攣った笑みを見せ
心を決め赤いピルを手に取った。
 
これから書かれるのは
謎解き備忘録に乗らなかった
私の記憶から消し去った
公演の記録であり、記憶である。
 
個人的満足度は超最悪。
 
それでも私の身に何が起こったのか
興味のある酔狂な方はご覧いただきたい。
 
ここは深淵へと続く、
不思議の国のウサギの穴
 
さぁ、夢(現実)の続きを見に行こう。
 
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そんな感じに前置きが長くなりましたが、
謎解きをしていると年に数回、
運の悪い公演にあたる時があります。
 
お金払ってなにしてるんやろう、
と、とても寂しい気分になり、
記憶からそっと消し去る公演の
1つや2つは誰しもあると思います。
 
そういう公演の感想を書くと、
私の体験に引っ張られすぎて、
有意義な感想をかけないと思い、
これまで書いてきませんでした。
 
しかし、そんな経験も結構溜まってきたので
これを連続して書いたら、
「そういうネタ」として
少しは楽しんでもらえるんじゃないかと
ふと思い変な文章を書いてしまいました。
 
 一応元ネタは「マトリックス」です。
 
他にもパロディ元の候補もあったので、
出来れば毎回変えていきたいかと。
 
では本筋に戻して・・・・・
 
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………………
 
…………
 
「ここは・・・?」
 
元の部屋に戻った私の前には
過去に行った公演の名前があった。
 
「エリザベス姫の孤独」
 
 
「わたくしひとりぼっちですわ・・・」
 
ズキッ!
 
この文字が私の胸を深くえぐる。
 
痛みに耐え、公演の概要を思い出す。
 
参加料金 2000円
チーム人数 最大4人
場所は京都なぞともカフェ
ストーリーは割愛。
 
この日は京都SCRAPの
「不思議な晩餐会へようこそ」に参加して、
それだけじゃ京都まで来て勿体無いと
思って、ハシゴをしようとなぞともへ。
 
なぞともカフェはなんばでは参加したこと
あるけれど、京都のなぞともパーティーは
参加したこと無かったので行きたいなぁ、と。
 
晩餐会の方は無事に成功し
ホクホクいい気分で軽い足取りで
なぞともカフェへと向かいました。
 
ネカフェと併用されていて
登録が必要だけれども、
謎の為ならば手間は厭わない。
 
どんな謎が待っているか
楽しみ楽しみと席に着きました。
 
横の席には4人が座っていて、
私の席にはまだ来ていませんでした。
 
「どんな問題出るかなーーー」
 
「連勝したいなーーーー」
 
「どんな人来るかなー」
 
そんなことを思っていたら、
いつの間にか良い時間に・・・。
 
開始時間が近づくにつれ、
私の中に最初からあった
小さな黒いモヤモヤが徐々に
膨れ上がっていく。
 
(もしや・・・・)
 
 
(わし、ひとり??)
 
そう、この日の私はソロ凸。
横のテーブルでわいわい騒いでいる声が
ノミの様な心に突き刺さる。。
 
なんだよ、このアンバランスなチーム分けは…
 
結局、ひとりで挑戦することに。。。
 
その後、流されるオープニングで
エリザベス姫の
「わたくしひとりぼっちですわ・・・」
のセリフがどんなに辛かったことか。
 
((わしも独りぼっちじゃ!!))
 
なんか辛さを通り越して、
むしろ腹が立ってきました。
 
やったる!!
 
解いたる!!
 
やらいでかぁぁ!!!
 
そんなテンションでゲーム開始。
 
最初の小謎は割と解きやすい問題。
 
素早い動きで情報を集め、
サクサク解いていきます。
 
「よし、小謎は全て解いた。」
 
4人組より進度は明らかに早い。
ぼっち勢の意地である。
 
そして次のステップ。。
 
 
???
 
????
 
 
・・・・・・・・・・・??
 
!!!!!!!!
 
くっっっっっっっっそ、作業やん。。
 
詳しい内容はネタバレ厳禁なため
説明は出来ませんが、
完全な作業謎というやつである。
 
ここここここここここここ、これは
一人じゃ厳しすぎる((((;゚Д゚))))
 
そして制限時間は30分。
時間は短めである。
 
怯んでいる暇も、嘆いている暇もない。
小謎は5分ちょっとで解けた。
とりあえず作業に没頭しよう。
 
作業をしていたら、横の4人チームも
そこまで到達したみたいで、、、、
 
分担してこなしている。いいなぁ。。
 
「わたくしひとりぼっちですわ・・・」
 
エリザベス姫の声が脳内リフレイン。
 
10分過ぎても作業は終わらない。
 
GMの人を呼んできて
「これめっちゃキツイんすけど・・・」
と言うものの
 
「頑張ってくださいー」両手フリフリ~
 
と解くに協力はしてくれなさそうだ。
 
 
・・・・・・・。
 
「わたくしひとりぼっちですわ・・・」
 
脳内に響くエリザベス姫の言葉。。
 
((わしもじゃ!!!))
 
怒りに任せて作業の速度を速めてく。
 
しかし、遂に残り5分。。
 
精根尽き果てた私からGMに
衝撃の言葉が飛び出す、
 
「もうこれマジで無理なんで、
大事なポイントだけ教えて下さい。」
 
失敗しても良いから、
せめて大謎までは辿り付きたいという
最後の足掻きである。
 
「じゃあ、ここです。」
 
とすんなり教えてくれました。
 
いやすんなり教えてくれるんかい。
そしたら最初にキツイって行った時に
教えてくれたら良いやん。
そこは気を聞かせて欲しいぞ。
作業の海に溺れるぼっちを助けるのもGMの役目でしょう。
 
そこから一気にラストスパートを掛けるが、
やっぱ間に合わずあんだっしゅ。
 
私はお金を払って何をしてるんだ。。
 
そう思ってそっと記憶の奥底にしまった
公演でした。
 
 
ああああああぁぁぁぁぁ、頭がぁぁぁぁ。
 
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やたら長い文章になってしまいましたが
ここまで読んでくれた方がいれば
ありがとうございました。
 
時々、肥溜めの様な記憶・・・じゃない
声溜めを出していこうと思いますので
その時は、ドンマイ、、と
暖かく見守っていただければ嬉しいです。
 
ではでは・・・・・・・バタッ。。