2014年8月の読書メーター読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4099ページ
ナイス数:461ナイス
きまぐれロボット (角川文庫)の
感想七歳の長男がだいぶ本が読めるようになってきたので、コミュニケーションツールとして。長男にはつばさ文庫版を送り、同時に読んで感想を言い合うという事を試してみました。そういう意味ではショートショートという形式は非常にいい具合。互いに読むペースが違っても感想が言い合えるのが良かった。内容的には、何作かは「ほほう」と唸らせられるものもありましたが、過去に読んだ氏の作品に比べると捻りがソフトなものが多かったでしょうか。良かった作品としては「災難」ということで長男とも一致。「悪魔」のシュールさはまだ伝わらなくて残念。
読了日:8月31日 著者:
星新一
機動戦士ガンダム〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)の
感想家が厳しく、TVを余り観せて貰えなかった豚山田少年が夢中になっていたのがこれ。しかし当時は映像で観れない欲求を本で晴らしていた様なものだったので、TVシリーズと異なるストーリーに不満を感じていたものでした。ところがTVのストーリーを忘れ去った今、改めて読み直すとその様な違和感は全くなし。むしろニュータイプ覚醒という本作の主要なテーマの導入部がすっきりと纏められており理解しやすかったです。特にアムロ、シャア、ララアによる覚醒の描写は圧巻の一言。作者の作家としての力量も改めて目の当たりにしました。やはり名作。
読了日:8月31日 著者:
富野由悠季
私の男 (文春文庫)の
感想結末の曖昧な物語は葉巻に似ていると感じました。肺に入れずに味と香りだけを愉しむんだと言われても、煙草との根本的な愉しみ方の違いに戸惑うばかり。それ自体は嫌なものでもないのだけれど、煙草吸いには芯の所で相容れない、満足できない、そんな感覚。グロテスクだけど純粋な性愛、現在から過去へと遡っていく形式、秘められた謎。綺麗な文体とも相まって先へ先へと読ませてくれたのですが、やはり人が一般的な概念から道を外すにはそれなりの理由、つまり結論が欲しくなってしまう。嫌いではないが吸った気もしない。そんな感じの物語でした。
読了日:8月29日 著者:
桜庭一樹
“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)の
感想超有名で、しかも自分もハマっている太宰治を題材にした作品とのこと、読まぬ訳にはいかぬとばかりに手に取る。成程、人間失格をベースに話を進めて、世間の抱く太宰作品へのレッテルを利用したオチに持っていくという、想像以上にしっかりと太宰治を活用した物語でした。むしろ太宰スキーでない方が面白く読めたのではないかと。気になったのは、人間失格をベースにした為か、人の死の概念を物凄く軽く捉えている様に感じられた所です。人が自分で死ぬって大変な事だと思いますよ。あと本を食べる妖怪はこの物語に必要だったのか? 最大の謎です。
読了日:8月27日 著者:
野村美月
イニシエーション・ラブ (文春文庫)の
感想否が応でも聞こえてくる言葉。イニラブにはやられるよ。椅子からひっくり返るくらいやられるよ、と。何だよぉ、そんなこと聞いたら最初から勘繰った眼で読んじゃうから結末見抜いちゃうんじゃないの? ほらほら、序盤から何か怪しいのきましたよ…。あれ? 後半の展開が勘繰ってたのと違うな。しかし、恋愛ものってどうして結局こういう…あれ、え? ええ? どえええ!? と椅子からひっくり返りました。いや、これは凄い。身構えていてもやられました。しかも、思い返せばヒントが散りばめられていたにも関わらずこの体たらく。鈍いのかな…。
読了日:8月25日 著者:
乾くるみ
GO (角川文庫)の
感想非常に重たい身上話を、強がって笑い話にしたという感じの物語。ちょっとだけ、と思って手に取ったが最後、気付けば終いまで読まされていました。大変楽しく、それだけに日本人として胸の奥の奥にまで滲み込んで来られて針でつつかれた様な、逃れ切れない痛みも感じさせられる作品でした。ただ興味をもって読めたのは個々の細かいエピソードであり、物語全体としての妙を余り感じなかった気もしました。ノンフィクションを読んでいる感じとでも言いますか、物語性を求めてはぐらかされてしまったとでも言いますか。面白ければ万事OK! であれば。
読了日:8月24日 著者:
金城一紀
ジウ〈3〉新世界秩序 (C・NOVELS)の
感想面白かった。のですが、その方向性に違和感を感じました。何故でしょう? 前巻迄では、得体の知れない「敵」が知らぬ間に足元に侵食してくる不気味さ根底にあって、それをどう処理するのか、若しくは我々には及ばないような展開があるのか、という所に最終巻への焦点が当たっていた様な。それが蓋を開けてみると…まぁ、良く言えば思った以上に綺麗に纏まっていた、という感じでしょうか。主人公二人がそれぞれ役割を果たした結末と、ジウの行動原理が判った所は、気分的にスッキリできて良かった。エログロを除けばドラマの脚本に合いそうな感じ?
読了日:8月23日 著者:
誉田哲也
ジウ〈2〉警視庁特殊急襲部隊 (C・NOVELS)の
感想全くタイプの異なる二人の女性警察官、美咲と基子が、連続誘拐事件の主犯格とみられる謎の少年を追う…というエピソードだったはずなのですが。まさかの展開に慄いています。単純に犯罪者を追いかけるという展開だったものが、振り返ってみれば逆にじわじわと得体の知れないものに侵食されていると気付く様な感じは、形のない病原菌を相手にしている様で焦りと恐怖を誘いますね。非常に楽しい。主人公の一人、美咲のキャラクターが物語に全く溶け込んでいない「異物」な所がこの先の見所かと。この人でこの物語を締められるの? 大変気になります。
読了日:8月22日 著者:
誉田哲也
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)の
感想日曜夕方、独居中年の部屋から「ブラぁボォ!」との叫びと共にまばらな拍手が聞こえたとしても怯えることはありません、お隣さん。恐らく彼はアクロイド殺しを読了しただけなのだと思います。そんな侘しい話はさて置き、オリエントでは味わえなかった氏の真価を見た気がしました。これは面白かった! 所謂フーダニットの真骨頂。登場人物の巧みな使い方で真相を消臭した読ませ方にも唸らせられますが、それを終盤徐々に緩めて読者に嫌な予感を植え付けていく展開では頁を捲る奴隷と化すしか道はありませんでした。今日という記念日を覚えておこう。
読了日:8月17日 著者:
アガサクリスティー
音程は哀しく、射程は遠く―フルメタル・パニック!サイドアームズ (富士見ファンタジア文庫)の
感想愛すべきフルメタに読み残しがあるのをすっかり忘れていました。とはいえ元来本編にしか興味を保てない性質ですので、手に取らないという選択肢も当然あったのですが、元々このシリーズ自体、外伝的短編を本編と絡ませて楽しむのが本流と捉えていましたので、であれば本作も読んでおくべきなんだろうなぁ、と漠然と思ったまま忘れていたのでした。さて宗介の活躍しないフルメタはマヨを失くした一平ちゃん的な侘しさを感じましたが、作者の辻褄合わせの妙が光った作品がここにも含まれていて十分に楽しませていただきました。最後の話がお勧めです。
読了日:8月15日 著者:
賀東招二
とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)の
感想エピローグ巻でした。プロローグに2冊、更にエピローグにも1冊を費やした人類資金ばりの壮大な構成は大作と呼べるのでしょう。シリーズにおけるテーマは初めから一本だった様ですが、途中フラフラと彷徨っている印象を与えかねない展開もあり、フラストレーションが溜まったりもしました。しかし最後は落ち着く所に落ち着いて大団円という感じです。本巻の見所は親父さんの格好よさですかね。"卑しさも尊さも、生まれや身分や職業にあるのではなく、こころの在り方のみにあるのだと、ミハエルはその生き方で教えてくれた" 見習いたいものです。
読了日:8月15日 著者:
犬村小六
二十世紀旗手の
感想立続けに二度読みました。二度読んで、本を置き、腕を組み、ソファに深々座り直し、首を傾け、んーむと唸り、やはりもう一回読み直してみようかと考え始めた、今丁度この辺りです。太宰文学11作目にして最も難解、万華鏡のように様変わりする情景を追いかけるだけで必死の体でした。ただ、悩み苦しみ抜いている心情を、ひねくれ者らしい視点で吐露しているのだろうなぁ、という意図らしきものが透けて見えた気はしています。とすれば、ギリギリの精神状態で書き殴ったのだろう作品でこれだけ読ませてくれる作者は物凄い。やはりもう一回読もうか。
読了日:8月14日 著者:
太宰治
ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))の
感想3作目にもなると大分自分なりの「読み方」が見えてきました。基本的に全作を通じて恐怖の体験を手記に纏めた形式を採っている様ですので、自分がクトゥルーに関する謎を解き明かそうとする研究者にでもなったつもりで、その資料となる手記を漁っているという体で読み進めています。すると物語として捉えるよりも荒唐無稽さという灰汁が少し抜けて、より素直に、より面白く受け入れられている様な気がしています。にしても狂えるアラブ人、アブドゥル・アルハザードは何を書き残したというのでしょう…ミスカトニック大の図書館に行って確かめたい!
読了日:8月10日 著者:
H・P・ラヴクラフト
探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)の
感想色々と経緯があって積読を掘り起こす事に。札幌・ススキノ界隈を舞台にしたハードボイルドもの。酒、女、博打、喧嘩、風俗、ヤクザ、クスリと教科書通りの舞台装置ですが、どれもやり過ぎ感はなく、馳星周程ではない適度なノワールの雰囲気を味わえます。退廃的な生活を夢見る身としては程よくリアルで堪りませんね。ミステリの側面から読むと、主人公が首を突っ込むには切っ掛けが弱い気もしましたが、ホワイダニットとして意外性のある結末にも驚かされましたし、読み応えは十分。北海道出身という贔屓目を差し引いてもお勧めできる娯楽作品かと。
読了日:8月9日 著者:
東直己読書メーター