豚山田の「日本を離れて日本語三昧」 -9ページ目

豚山田の「日本を離れて日本語三昧」

海外赴任をしたら時間が出来たので、電子書籍で小説を読み漁る毎日。
折角なので読書感想などを残します。。

全くタイプの異なる二人の女性警察官、美咲と基子が、連続誘拐事件の主犯格とみられる謎の少年を追う…というエピソードだったはずなのですが。

まさかの展開に慄いています。

単純に犯罪者を追いかけるという展開だったものが、振り返ってみれば逆にじわじわと得体の知れないものに侵食されていると気付く様な感じは、形のない病原菌を相手にしている様で焦りと恐怖を誘いますね。

非常に楽しい。

主人公の一人、美咲のキャラクターが物語に全く溶け込んでいない「異物」な所がこの先の見所かと。

この人でこの物語を締められるの?

大変気になります。

☆☆☆☆

ジウ II 警視庁特殊急襲部隊 (C★NOVELS)/中央公論新社

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日曜夕方、独居中年の部屋から「ブラぁボォ!」との叫びと共にまばらな拍手が聞こえたとしても怯えることはありません、お隣さん。

恐らく彼はアクロイド殺しを読了しただけなのだと思います。

そんな侘しい話はさて置き、オリエントでは味わえなかった氏の真価を見た気がしました。

これは面白かった!

所謂フーダニットの真骨頂。

登場人物の巧みな使い方で真相を消臭した読ませ方にも唸らせられますが、それを終盤徐々に緩めて読者に嫌な予感を植え付けていく展開では頁を捲る奴隷と化すしか道はありませんでした。

今日という記念日を覚えておこう。

☆☆☆☆☆

アクロイド殺し (クリスティー文庫)/早川書房

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愛すべきフルメタに読み残しがあるのをすっかり忘れていました。

とはいえ元来本編にしか興味を保てない性質ですので、手に取らないという選択肢も当然あったのですが、元々このシリーズ自体、外伝的短編を本編と絡ませて楽しむのが本流と捉えていましたので、であれば本作も読んでおくべきなんだろうなぁ、と漠然と思ったまま忘れていたのでした。

さて宗介の活躍しないフルメタはマヨを失くした一平ちゃん的な侘しさを感じましたが、作者の辻褄合わせの妙が光った作品がここにも含まれていて十分に楽しませていただきました。

最後の話がお勧めです。

☆☆☆

フルメタル・パニック!-サイドアームズ-音程は哀しく、射程は遠く (富士見ファンタジア文庫)/KADOKAWA / 富士見書房

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エピローグ巻でした。

プロローグに2冊、更にエピローグにも1冊を費やした人類資金ばりの壮大な構成は大作と呼べるのでしょう。

シリーズにおけるテーマは初めから一本だった様ですが、途中フラフラと彷徨っている印象を与えかねない展開もあり、フラストレーションが溜まったりもしました。

しかし最後は落ち着く所に落ち着いて大団円という感じです。

本巻の見所は親父さんの格好よさですかね。

"卑しさも尊さも、生まれや身分や職業にあるのではなく、こころの在り方のみにあるのだと、ミハエルはその生き方で教えてくれた"

見習いたいものです。

☆☆☆

ガガガ文庫 とある飛空士への恋歌5(イラスト完全版)/小学館

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立続けに二度読みました。

二度読んで、本を置き、腕を組み、ソファに深々座り直し、首を傾け、んーむと唸り、やはりもう一回読み直してみようかと考え始めた、今丁度この辺りです。

太宰文学11作目にして最も難解、万華鏡のように様変わりする情景を追いかけるだけで必死の体でした。

ただ、悩み苦しみ抜いている心情を、ひねくれ者らしい視点で吐露しているのだろうなぁ、という意図らしきものが透けて見えた気はしています。

とすれば、ギリギリの精神状態で書き殴ったのだろう作品でこれだけ読ませてくれる作者は物凄い。

やはりもう一回読もうか。

☆☆☆

二十世紀旗手/作者不明

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3作目にもなると大分自分なりの「読み方」が見えてきました。

基本的に全作を通じて恐怖の体験を手記に纏めた形式を採っている様ですので、自分がクトゥルーに関する謎を解き明かそうとする研究者にでもなったつもりで、その資料となる手記を漁っているという体で読み進めています。

すると物語として捉えるよりも荒唐無稽さという灰汁が少し抜けて、より素直に、より面白く受け入れられている様な気がしています。

にしても狂えるアラブ人、アブドゥル・アルハザードは何を書き残したというのでしょう…

ミスカトニック大の図書館に行って確かめたい!

☆☆☆

ラヴクラフト全集 3/東京創元社

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色々と経緯があって積読を掘り起こす事に。

札幌・ススキノ界隈を舞台にしたハードボイルドもの。

酒、女、博打、喧嘩、風俗、ヤクザ、クスリと教科書通りの舞台装置ですが、どれもやり過ぎ感はなく、馳星周程ではない適度なノワールの雰囲気を味わえます。

退廃的な生活を夢見る身としては程よくリアルで堪りませんね。

ミステリの側面から読むと、主人公が首を突っ込むには切っ掛けが弱い気もしましたが、ホワイダニットとして意外性のある結末にも驚かされましたし、読み応えは十分。

北海道出身という贔屓目を差し引いてもお勧めできる娯楽作品かと。

☆☆☆

探偵はバーにいる (ススキノ探偵シリーズ)/早川書房

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2014年7月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1741ページ
ナイス数:328ナイス

ジウ―警視庁特殊犯捜査係 (C・NOVELS)ジウ―警視庁特殊犯捜査係 (C・NOVELS)感想
読了後に今一度表紙を見直すと不思議な感じがします。この表題から抱いた印象と本文とではギャップがあった様な。しかしいい意味での裏切りだったのは「ジウ」の意味が理解できた本巻の中盤にして、本作が既刊三冊をフルに使った大作になるであろうと容易に予想できた事でしょう。先が楽しみになってきました。とはいえ肝心の内容は、その中盤に届く迄物語の目的が全く見えず、妙に地に足のつかない展開に戸惑っていました。それでも不思議と結末まで読まされてしまう「誉田エンジン」はやっぱり凄い、という事にもなるのですが。まだ序章という所。
読了日:7月19日 著者:誉田哲也
金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件: 2 (角川文庫)金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件: 2 (角川文庫)感想
中短三編を収録。表題作は金田一氏初登場の回と聞きつけての購入でしたが「2巻」とはこれ如何に? さて余りに有名な作品故、初読とはいえ予備知識なり憶測なりを抱きつつの取り組みでした。意外だったのは、装丁やら映像作品等から受ける怖い印象はなく、むしろ探偵のコミカルで頼りなげな印象の強い、明るめの物語だった事です。ミステリとしては、家柄や風土が重視されがちの背景が故にトリックよりも動機が肝という所でしょうか。探偵が動機を見てきたかの様に語る姿が気にならなければ、論理的で重厚な謎解きを楽しめます。車井戸~がお勧め。
読了日:7月13日 著者:横溝正史
天魔 (新潮文庫―剣客商売)天魔 (新潮文庫―剣客商売)感想
最強の剣客・千代太郎現る「天魔」。悪党に謀られ追い詰められる脇役の苦悩が切々と語られ、さりとて上手の敵には歯が立たず無念如何ばかりか、の所で真打登場の「老僧狂乱」。最強の主役はこう使えと言わんばかりの、物語の教科書の様な胸躍る展開の連続ですが、それも修練と修羅場の果てに辿り着いた厚みのあるキャラだからこそ。主人公の強さにも理由が欲しいスポ根好きの貴方にこそ贈りたい、少年漫画の手本の様なシリーズです。また●饅頭のくだりで初心な若者ふたりを苛める辺りは、作者の愛と悪戯心に触れ思わずニヤリ。正に娯楽の極みです。
読了日:7月9日 著者:池波正太郎
とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)感想
実は本シリーズ、誓約3まで積んでおります故そこまでは読みます。さて、まるで口を開かなければ貴公子なあのキャラの様に、引き続き戦闘描写と台詞の質の差に苦笑いのシリーズにも慣れてきたこの頃。理由や伏線に拘らなければ、偵察機を介した戦艦同士の砲撃戦は航空機の空戦とはまた別の趣で読み応えがありました。そうして血と肉で積み上げてきた緊迫感を、結局異能一発で解決してしまう結末には賛否両論かとも思いますが、この辺は初めから匂わせていた流れでしたので仕方の無い部分かと。次巻終幕。ドラマは残されていない気もしますが、さて。
読了日:7月6日 著者:犬村小六
ラヴクラフト全集 (2) (創元推理文庫 (523‐2))ラヴクラフト全集 (2) (創元推理文庫 (523‐2))感想
前巻より読み易かった。今巻の秀逸な点は、悪魔や怪物という人外の存在を題材にしているにも拘らず、実際に怪物そのものや残酷な描写が少ない点でしょう。あくまでも扱っているのは興味と恐怖と狂気の境界線におけるせめぎ合いという人間らしい部分であり、故に容易に想像が可能であり怖気を誘います。中でも「チャールズ・ウォートの~」は珍しく長編で、それだけに主人公の狂気への過程がじっくりと描かれ、読み手の中の恐怖も醸成させられる体で世界観を堪能できます。にしてもラスト付近の老医師の胆力には脱帽。僕なら瞬間発狂ものでしょうね…
読了日:7月5日 著者:H・P・ラヴクラフト

読書メーター
お久しぶりのブログ。

単身赴任先に妻子が来ていて、自宅PCに火を入れる暇すらない怒涛の日々を過ごしていましたが、それも昨日までの事。

今日はやけに騒がしい空調の風音が、まるで僕の読書時代の再来を告げる汽笛のようです。

さて何読もう?
思いっ切り楽しそうな奴にしようか?


夏休みなので、妻と子供が単身赴任先に遊びに来ました。

陰々滅々、色々クヨクヨ悩んでいた生活が一転、子供パワーに圧倒され右往左往する日々が戻ってきました。

元気を貰って頑張れそうな反面、この生活を取り戻すべく仕事を選べない己の力量と度胸の無さを再認識し落胆も。

今は図らずも読書の時間を得たものの、失った物は大きい。