豚山田の「日本を離れて日本語三昧」 -7ページ目

豚山田の「日本を離れて日本語三昧」

海外赴任をしたら時間が出来たので、電子書籍で小説を読み漁る毎日。
折角なので読書感想などを残します。。

短編集。

どの話も毒の含んだユーモアのある話でちょっと長めの星新一を読んでいる感じが飽きさせない作り。

ただ短編という性質からオチに期待してしまいますが、その点では満足とまではいかないでしょうか。

どちらかと言えば物語の発想とその成り行きを愉しむタイプの作品かと。

個人的に爆笑したのは古書詐欺の話。

夫を亡くしたばかりの資産家の未亡人の下に、詐欺師から生前納書して未払いという本のリストが届くのですが…まぁ、確かにさっさと支払って水面下で処理したくなるような本だよな、という題名のセンスに脱帽。

ホント発想が凄く面白い。


☆☆☆


王女マメーリア/早川書房

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タイトルで購入。

大好きな時間遡及ものと期待しての取り組みでした。

なので感想はそこに尽きます。

「時間を渡った意味がひとつもない」

これはちょっと…かなり期待を外してしまいました。

文章や物語がソツなく纏まっていただけに残念。

ドカッとかキィンとかの直接的な効果音を用いない文章は読み易く好印象で、物語も教科書通りの無難な展開。

後は時間遡及が生かされた衝撃のラストを待つばかり、だった筈です。

なので…いつの間にか綿あめが舌の上で溶けたかの様に終わった物語に呆然でした。

ならば作者はこの物語の何を読者に読ませたかったのか…



☆☆



時渡りの〈紅女神騎士団〉(スカーレット・ナイツ) 1 (オーバーラップ文庫)/オーバーラップ

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わはは、なんじゃこりゃ。

アメリカのB級映画というよりは、ジョジョ読み過ぎて悪ノリしちゃいました的な感じでしたが、かなりやり過ぎ感のあるキャラクターのノリもやり過ぎ感のある設定や展開の中なので妙にバランスが取れていて読み易かったような気がします。

ただこの無茶苦茶の中にある爽快感が売りの筈の物語に、三竦み勢力の相関関係は必要だったのでしょうか?

盗人にも三分の理とは言いますが、この場合は完全に敵側に「正義」があったとしか読み取れず、何とも言えない肩透かし感がありました。

このキャラ、この展開なら勧善懲悪でしょ!


☆☆☆


ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド (富士見ファンタジア文庫)/KADOKAWA / 富士見書房

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良家の生まれである作者ですから、家には女中さんがいた様です。

その一人のお慶という女中に対し「ほとんどそれが天命であるかのように」いびり倒したという幼少期の思い出から物語が始まります。

そして時は経ち、家を追われて独り病気と貧困に苦しむ生活を送るさなか、品のいい中年の奥さんとなったお慶と再会するのですが…。

黄金風景という表題を振り返り、成る程と頷ける内容なのですが、その黄金風景を際立たせる為の対比になる描写が、氏の幼少期の振る舞いや執筆当時の落ちぶれてしまった風景という所が何とも面白い。

表現とは奥深いものです。


☆☆☆



黄金風景/作者不明

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作者の大学時代の回想録。

姉に無心し送られた金を都会から離れ静かに小説を書く為の旅費としようとするのですが、いつもの見栄っ張りでお調子者の性が発露し、たまたま旅行前に出会った友人を3人も招待してしまうという事に。

忽ち一夜のうちに金が無くなり、一足先に友人達が帰ると一人残った作者は、そのひと夏を友人の家に居候させて貰えないかとお願いするのですが…。

その後の創作に重大な影響を与えたと本人が語る程の思い出だった様で、微に入り細を穿つ描写がそれを物語っている様です。

なお表題は「懐かしき故郷」の様な意味があるとのこと。


☆☆☆


老ハイデルベルヒ/作者不明

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目次にプロローグとしか書いていないな と思ったら本当にプロローグだけでした。

頑ななまでの秘密主義で、中世とも現代とも取れる異様な世界観、キャラクターの行動原理、鍛錬をせずとも強い主人公、一部隊の敗北で降伏する国家、後に何故彼が王になれたか…等々、一切について触れられず、次巻以降に乞うご期待という展開の様です。

ただ物語の方向性は王道を狙う雰囲気で、若き王とその臣下という関係は、グリフィスとガッツ、はたまた政と信といった趣の展開になるのであれば心を躍らせるものがあります。

とにかく次をお楽しみに、ということで。


☆☆


伝説の勇者の伝説1 昼寝王国の野望 (富士見ファンタジア文庫)/KADOKAWA / 富士見書房

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あとがきにて著者が「自分の不明を恥じる」とまで述べた完結編。

仰ることは理解できますし、これだけの作品ですからアニメの視聴者の方に気を配らねばならぬことも道理でしょう。

しかし「あえて言おう! これは小説であると!」

…書かなきゃ良かったか…?

と、とにかく僕が言いたいのは、小説版の読者はきっと異なる読み方をしたでしょう、ということ。

つまり何故「Zガンダムの小説版を本作の続編としなかったのか」。

そして「こちらこそ正伝、と本読みのちっぽけな虚栄心を満たしてくれなかったのか」。

それ程に完成された三部作でした。

完璧。



☆☆☆☆


機動戦士ガンダム III (角川スニーカー文庫)/KADOKAWA / 角川書店

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面白いなぁ…子供の頃の記憶より数段面白いです。

ガンダムの良さとは、ニュータイプという人類の進化…宇宙居住時代の人々の繋がりをもたらす新しい力がテーマでありながら、それが戦争の道具としての優秀さ(人の意志を読む勘の良さ)にも繋がってしまう所にあるとは知っていたのですが、小説版ではより焦点化されていて分かりやすい。

その上で一年戦争という背景も明快で戦記物としての愉しみも満足できるものです。

MS戦や設定等という局部ばかりに目を奪われなければこんなにも楽しめる作品なんだ、と再認識できる小説。

今更ながらハマりそう。


☆☆☆☆


機動戦士ガンダム II (角川スニーカー文庫)/KADOKAWA / 角川書店

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貧乏作家、笠井さんの逃避行の物語。

文学作家の笠井さんは、妥協して通俗小説書く様になり、遂にはそれすら行き詰ってしまったらしい。

懊悩し、煩悶し、ある日「ぉわーッ!」となって逃げだした先が、過去にちょっと優しくしてくれた顔見知りの女中さんがいるというだけの湯河原の宿だったのだが…。

見栄っ張りのダメ人間、笠井さんがとにかく楽しい。

何をしても上手くいかない、様にならないで笑い飛ばさせてくれる爽快さがあります。

それでいて、ダメならダメで悩みながら行動をする姿には勇気づけられる部分も。

にしても氏の作品は締め方がいい。


☆☆☆☆


八十八夜/作者不明

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著名な詩人らしい大谷とその内縁の妻の物語。

酒浸りで、例によってどこかの文豪によく似た感じのダメ人間、大谷という男の姿を、妻や行きつけの酒屋の主人の視点から描かれる所から話が始まります。

この大谷、中々のロクデナシなのですが、真面目でどこか憎めない部分が有り、大谷から相当酷いめに遭っている筈の奥さんと一緒に何となく笑い飛ばしてしまう、というのが本書の愉しみ方でしょうか。

「生きていさえすればいいのよ」と妻に赦された大谷の様に、作者も許されてきたのか、それともそう願ったのか。

穿った見方ですがやっぱり気になります。


☆☆☆


ヴィヨンの妻/作者不明

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