豚山田の「日本を離れて日本語三昧」 -6ページ目

豚山田の「日本を離れて日本語三昧」

海外赴任をしたら時間が出来たので、電子書籍で小説を読み漁る毎日。
折角なので読書感想などを残します。。

氏の作品は不夜城以外で初でしたが、良くも悪くも期待を裏切らない展開でした。

しかしこれだけ結末まで何が起こるか予測がついてしまう物語にも関わらず、ページを捲らされ先が気になってしまうのは、作者の持つ魔力としか言いようがありません。

この投げ槍でぶっきら棒な文章に浸かっているだけで、自分も気だるげで刹那的な人生の裏路地を歩いているかの様に錯覚し、その行き着く先を見てみたいという昏い欲求が肚の底でのたりと鎌首をもたげるのですから、むしろ読み通りの展開に期待をしてしまうのは当然の事とも言えるのでしょう。

面白かった。


☆☆☆☆


虚(うつろ)の王 (角川文庫)/KADOKAWA / 角川書店

¥価格不明
Amazon.co.jp
ひと言で言えば長い。

文章も読み易いですし発想も面白い。

後は個人の好みの問題として、この恋愛至上主義的な展開は肌に合わないなぁ、と思う位で終わってくれればまだ印象も良かったのかも知れません。

しかし後半、内容を支持した訳でもない本のスピンオフを無理に読ませるというのは如何なものでしょう?

その肌に合わない恋愛観を延々と語られる苦痛と言ったら。

それでもまだオマケという事であれば理解もできたのですが、しっかりその分を上乗せした感じの価格な所が納得できず。

読メ開始以来初めて挫折をしそうになった作品かも。

キツかった…


☆☆☆


塩の街 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)

¥720
Amazon.co.jp
妻子持ちの東京人の島村が逗留先の北国で芸者と過ごす日々の物語。

淡々と語られるその様に激しい愛情などは表出せず、只々穏やかに、芸者への哀れみを通じて自らへの哀れみを見るような感情なのだとか。

その仄かなかがり火に手をかざすかの様な淡い情愛を浮かび上がらせるのに、雪国という景色が効果的だった気がしました。

ただ結末で、それらを捨て帰らねばならぬ島村に、未練を残させるかの如き唐突な出来事で物語を締めねばならなかったのは何故なのか。

最後の最後で水面に一石投じた感じ。

総じては穏やか~な時間を過ごすのには良い作品でした。


☆☆☆


雪国 (角川文庫)/KADOKAWA / 角川書店

¥価格不明
Amazon.co.jp

この方は作家さんですか?

別の分野の方で何かのコネで本を書かせて貰ったのでしょうか?

とにかく「ひとり鬼ごっこ」以来の壮絶な金返せ本。

稚拙な文章、希薄な動機、説明のない設定、ご都合主義的展開、物語に関係ない無駄な薀蓄…とにかく最後まで読むのが苦痛でした。

そもそも、飼い猫を死なせてしまった不甲斐なさをバネに特訓して無双となった女子高生が脈絡もなく出てきた最強のボスキャラを斃すという物語に、結界だの魂の具現化だのという超常現象を差し込む必要性がどこにあったのか。

とにかく理解に苦しむ事ばかり。

貴重な経験でした。





パラダイスロスト (メガミ文庫)/学研パブリッシング

¥価格不明
Amazon.co.jp
30年も前の本でしたか。
感慨深いものがあります。

今読んでも古臭さは感じさせませんが、若い世代が黴の生えた古臭い勢力や慣習を打ち砕いて新しい時代を作るという構図は、まだまだ若い世代に勢いのあった時代の本ならではという感じで微笑ましい。

そういう中で、権威欲、自己保身、正義の押し売りといった如何にも憎たらしい『敵』を作り上げては読者に義憤を抱かせ、それを格好良い主人公に晴らさせるという手法を巧みに用いている所は流石の一言。

分かっていてものめり込んで、主人公に肩入れしたくなります。

氏の作品は本当に読ませられます。



☆☆☆☆


銀河英雄伝説1 黎明篇 (らいとすたっふ文庫)/らいとすたっふ

¥価格不明
Amazon.co.jp
ヒップホップが題材の物語があると聞きつけたが最後。

居ても立っても居られずに仕入れてしまいました。

ふむふむ。
まぁ、物語としてワックかイルかと言えばワックなんでしょうが、ヒップホップという素材を小説に果敢に取り入れてきた精神はドープです。

肝心のラップバトルも、韻の踏み方には賛否両論でしょうが、僕はそこそこ良かったかと。

リズムが自然に頭に浮かんできた物語は、他にはタイラーの植木等節くらいしか覚えがありません。

本物でももっとワナビーやフェイクなのはいっぱいありますしね。

ラノベ界のいとうせいこう。

これからこれから。


☆☆☆


韻が織り成す召喚魔法 -バスタ・リリッカーズ- (電撃文庫)/KADOKAWA / アスキー・メディアワークス

¥価格不明
Amazon.co.jp

なるほどね。王子様ものでしたか。

巷で大人気の作家ということで、どういったものかと思って手に取りましたが、確かに難解ではなく、かといってスカスカでもないバランスは非常にとっつき易いと感じました。

ラノベ的なキャラクターの解り易さも手伝って、大変楽しく読めました。

ただ、実弾を用いた武力抗争が背景にありながら、終始緊迫感のないゆるゆるな展開だった所は不満だったでしょうか。

これなら部活動あたりでも十分だったのでは……

まぁシリーズものですから、これからこの舞台背景が生かされてくるのかも知れませんが。

次も読んでみます。


☆☆☆


図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)

¥720
Amazon.co.jp
知人の少年の死亡事故に秋内と仲間の三人が立ち会っていた。

後に四人が顔を合わせた時秋内は言った。

「この中に、人殺しがいるのかいないのか」

…真に正統なる道尾作品とも言うべき展開とオチ。

しかしイマイチ結末がお腹の底に収まった感じがしないのは何故でしょう?

確かに予想の上を行く展開の連続には素直に感心しワクワクする事が出来たのですが、その分結末の見せ方に無理があったでしょうか。

まるで一本の糸の上を渡っているというか、何か一つでも踏み外すと物語が全く成立しなくなる様な危うさを孕んでいるという感覚。

期待が大きすぎた?


☆☆☆


ソロモンの犬 (文春文庫)/文藝春秋

¥価格不明
Amazon.co.jp

これは先に同氏の中編「津軽」を読むと本作のあらすじが殆ど載っていますので、読み順が逆転してしまうと再読の様な雰囲気になってしまいます。

僕も読書中、エンドレスエイトかくやの強烈な既視感に囚われましたが、理由が分かってどうにか正気を保つことが出来ました。

さて、氏の殆どの作品を通じてうかがえる主人公の見栄やプライドと実像とのギャップの愉しさですが、これが氏本人の性格に通じるものがあるとするならば、幼少期はこんな感じだったんだろうと思わせる回想録です。

彼の「ロマンチシズム」は子供の頃から暴走気味だったのですね…。



☆☆☆


おしゃれ童子/作者不明

¥価格不明
Amazon.co.jp
引用「一人の遊蕩の子を描写して在るゆえを以て、その小説を、デカダン小説と呼ぶのは、当たるまいと思う。私は何時でも、謂わば、理想小説を書いてきたつもりなのである。」

…ちょっと反省しました。

自分は太宰作品の全般を自虐的ユーモアの溢れるこの上ないエンターテインメントとして捉えていたのですが、氏曰く「大まじめ」に「ロマンチシズム」を語っているのだとか。

理解が浅く大変恐縮です。

しかしその大まじめがまた、氏の物語にリアリズムをもたらして一層の面白さを引き出そうとしているのだから困ったものです。

不肖の読者でスミマセン。


☆☆☆


デカダン抗議/作者不明

¥価格不明
Amazon.co.jp