もっと!六大合演OBOGバンドReturns!

もっと!六大合演OBOGバンドReturns!

2016年4月に結成した、東京六大学応援団OB/OGによる吹奏楽団「六大合演OBOGバンドReturns!」のブログです。普段更新しているFBページではお伝えしきれない団員の素顔などに触れていただけるblogにしていきます!

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(4月20日追記)

4月18日(月)読売新聞夕刊(首都圏版)3面の「シティライフ」欄にて、Returns!定期演奏会の情報が掲載されました。

読売新聞では、電話での問い合わせ先を掲載しておりますが、定期演奏会のお申し込みはオンラインにてお願いしております。

(電話でご連絡いただいた場合、まずはオンラインでの登録が可能かをお尋ねしております。)

以下、本文中に記載されているGoogleフォームからご登録ください。

オンラインでご登録いただける場合、電話でのご連絡は不要です。

☆六大合演OBOGバンドReturns! 第5回定期演奏会☆ 

【日時】 2022年5月14日(土)14時開場・14時30分開演 

【場所】 江戸川区総合文化センター大ホール

(東京都江戸川区中央4-14-1) ​

(JR総武線新小岩駅徒歩15分・都バス江戸川高校前徒歩5分)

 ​※ガラス越しに観覧可能な親子室があります。お子様連れの方も大歓迎です! 

【演奏ステージ曲目】 

ドラゴンクエストによるコンサート・セレクション 

ロビンソン・クルーソー 

ハックルベリー・フィン組曲 

「もののけ姫」セレクション 

【ドリルステージ曲目】

 Try Everything from ZOOTOPIA 

Sogno Di Volare ほか 

【入場料】 

入場無料ですが、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、事前にお名前・ご連絡先の事前登録をお願いします。 ​

下記のGoogleフォームからご登録ください。 

https://forms.gle/kEia1141VhWrQ1Pg7

登録完了後、『【受付完了】Returns! 第5回定期演奏会 入場チケット(無料)』というメールが届きますので、それが入場チケットとなります。

入場時にメールの画面をご提示ください。

紙に印刷してお持ちいただいても結構です。 

【ご来場時の注意事項】

 新型コロナウイルス感染症対策のため、以下の点につきまして特にご理解とご協力をお願い申し上げます。 

  • ご来場の際は、上記登録フォームより、できるだけ事前登録をお願いします。 
  • 入場時に非接触型体温計で検温します。 
  • 発熱時(37.5℃以上)はご入場をお断りさせていただきます。 
  • 咳エチケットやマスク着用の徹底をお願いします。 
  • 団員への贈物はお断りさせていただきます。 ​

そのほか、従来の演奏会と同様に、以下の点をお願い申し上げます。 

  • 客席内では自撮りも含め一切の撮影を禁止させていただきます。 
  • 終演後はアナウンスに従って速やかな退館をお願いします。
Returns! Webサイトもぜひご覧ください。
【Returns!団員の素顔に迫る(特別編) 後編】

こちらは、【Returns!団員の素顔に迫る(特別編) 前編】演奏会裏方メンバー座談会の続きです。


■司津ちゃんの写真は、撮ってもらう側からしたら最高の1枚という感じになる

― そもそも、司津ちゃんは何係だったの?

司津:器材車運転係です。

― カメラマンじゃないの?

司津:基本的には、器材車運転係です(笑)。カメラマンはプロの業者さんがいるので。本業ではないけど、器材車運転の時間まではせっかくだから写真を撮ってくれと色んな人に頼まれるのでやってます。



司津カメラマンがカメラを向けると皆自然と笑顔になります


天野:でも、司津ちゃんはいい写真を撮るんだよね。メンバーのことを知ってるでしょ。楽器の特性だけじゃなくて、人についても知っている。この人はこの場面がいい表情とかね。これは業者にはない部分だよね。だから、撮ってもらう側からしたら、最高の1枚という感じになるよね。

― ドリルステージの前の緞帳が上がる前の緞帳裏とか、いい写真がたくさんありますよね。

天野:そうそう。そういう、ツボの部分がよく分かっている。

― やっぱり、あれはどの場面を撮ろうとか、あらかじめ考えているの?

司津:1回目の時は考えてなかったです。とりあえず、パッと目に入ったものを撮るという感じで。2回目以降は、1回目の時のあの写真が良かったとか色んな意見がきてしまうので、最近ちょっと雑念が多いんです(笑)。申し訳ありません。

― 1回目にいい写真が多かったから、みんな、ついつい色々リクエストをしてしまうのね(笑)。

司津:あと、雨坪さんが私の撮った写真をスマホの待ち受けに使って下さっているんですよ。第2回の時のリハの写真なんですが、すごく気に入っていただいたようで。で、メイドカフェでメイドさんが楽器ケースを指さして「これは何ですか?」と聞いてきた時に、「こんな楽器だよ」って待ち受けを見せるらしいです(笑)。

― しっかり、活用されてるのね(笑)。



たしかに素敵な待ち受けですね


司津:他の方からも、Facebookのプロフィール写真に使いたいという問い合わせは多いですね。わざわざ連絡いただかなくても、自由に使って下さいという感じなんですが(笑)。

― もともと、写真を撮るのは好きなの?

司津:普段は、旅行したときに写真を撮るとか、そんなレベルですね。枚数は多いですけど。

― やっぱり写真を撮るのが好きなのね。撮りやすい人、撮りにくい人っているの?

司津:パーカッションとユーフォニウムは取りにくいですね。

― でも、今回パーカッションは真剣な表情のいい写真が多いよね。

司津:パーカッションの方々は、セッティングとかで忙しそうな時間が多いので、邪魔しちゃいけないかなと思って、前回まではなかなか撮れなかったんですよね。なので、今回は意識してたくさん撮るようにしました。ただ、演奏中、上半身が小刻みに揺れるので、ブレやすくて難しいんです。





― じゃあ、大久保さん(法政大学 昭和62年卒)みたいに、演奏中に体がノリノリに動く人は撮りづらい(笑)?

司津:そうですね、クラリネットを吹いてる時は。逆に、ドリルでガードをされている時は撮りやすかったです(笑)。

押切:ユーフォはベルに顔が隠れちゃうのかな?

司津:ユーフォの人は、どこから撮っても楽器に顔が映ってしまうんです。今のカメラって顔の目玉を拾いに行く機能があるので、楽器に写った顔の目玉に焦点が合ってしまうんですよね。

天野:なるほど。ホルンは顔が見えやすいからいいよね。

司津:トロンボーンは後ろから撮れば大丈夫です。





押切:さすが、やっぱり詳しいねえ。指揮者からは、こっちから撮れとか色々指示されてるんじゃない(笑)?

司津:指揮者は上手から撮ると指揮棒を追いかけてブレてしまうので、下手から撮りますね。

押切:なるほど、言われてみればそうだねえ。

司津:下手から指揮者の左手を狙っていると、左手の軸はあまり動かないので撮りやすいですね。池田先輩は頭が結構動くので狙いにくいんです(笑)。小田先輩(明治大学 昭和59年卒)は結構撮りやすかったです(笑)。

一同:へえ、すごーい!


撮りやすかった小田指揮


― そういえば、池田指揮が、「ロスト・ムーン」は本番がリハより格段にすごくて驚いたと言ってました。思わず、舞台上で感極まって、最後の部分でそれをこらえるために上を向いて振ってしまったって。

司津:あの時、写真を撮っていたんですけど、リハと振り方違うじゃんって思いました(笑)。リハの時、ここは下に腕が来ていたので、そこを撮ろうと思って狙っていたのに、「おい、上に行くんかい」って(笑)。池田先輩は盛り上がるときは大体、振りが下に来る癖があるので(笑)。

藏本:へえ、すごーい。そこまで分かって撮ってるんだ。でも、私やステマネの押切先輩は、そこまで舞台上には入り込まず、次の段取りを意識しておかないとなんですよね。

押切:そう。見てはいるんだけど、あんまりそこに入り込んで一緒になって感動して、次の段取りを間違えちゃったりするといけないからね。


■司津カメラマンが選ぶベストショット3枚


演奏ステージのメイン「ロスト・ムーン」


― 「ロスト・ムーン」のこの写真はどこから撮ったの?

司津:これは上手側の客席からです。そこからだとお客様の目にも入らないし。

― いい写真だよね。

司津:自分で撮った写真で気に入っているのは、この写真と、酒巻先輩が指揮をされているドリルステージの写真(クラウン・インペリアル)ですかね。

-これもいい写真よね。



ドリルステージのメイン「クラウン・インペリアル」


司津:今回は酒巻先輩が引退ということもあって、酒巻先輩のシーンのリクエストが結構多かったですね。酒巻先輩の敬礼を撮れとか(笑)。

藏本:私もドリルステージのスタッフ紹介では、酒巻さんの時に心を込めて名前をお呼びしました。

司津:あとは、このカラーガード写真ですかね。





― これ、いい笑顔だね。今回の演奏会のチラシに使われた写真もそうだけど、真琴ちゃん(横山真琴 明治大学 平成13年卒)は本当に笑顔がいいよね。

司津:この写真は真琴ちゃんだけじゃなくて、写っているガードのメンバーが全員笑顔なんです。全員が笑顔の写真って、意外と少ないんです(笑)。

藏本:確かに、前回までの演奏会と比較して、ガードの方の笑顔が多いなぁって私も感じてました。


■Returns!の演奏会は、色んな楽しみ方ができる場所になっている


笑顔が印象的な受付リーダーの天野さん(撮影:司津カメラマン)


― 次は受付リーダーの天野さんにお伺いします。アンケートを見ていると、受付の評判がとても良くて、本当にありがたいなと思うんですが、受付でのエピソードがあればお聞かせ下さい。

天野:そうですね。受付は、当日、どういう方がいらっしゃるかというのは、蓋を開けてみないと分からないので、臨機応変さが求められますよね。こういうお客様が来たらこうしようとかというのを、あらかじめ話し合って決めておくといってもきりがないので、もうその場のその人の判断になってくるわけですよね。受付リーダーとしては、困ったら声をかけてねという感じです。受付のメンバーも毎回変わっていきますし。

― 受付は今回何名ぐらいで対応されたんですか。

天野:会場警備も合わせると10名ぐらいですかね。その中で起こることに対応していく。例えば、前回の演奏会だと車椅子の方が見えられたりとかね。臨機応変に動かないといけない。まずは考えて動く。そんなことが現役時代に培われた部分だったり、当時と通じているところかなと思います。

― 確かにそういう部分は多いですね。

天野:ただ、意外にお客様と直接絡む場面は多くないんです。「終演は何時ですか?」、「休憩はありますか?」という問い合わせが来るくらいで。
だから、直接お話しすることは少ないんですけど、雰囲気を見ていると、どうやら前回も来てくださったリピーターの方がほとんどだと感じます。それも、六大関係者ではなさそうな方々も結構多いですね。だから、六大関係者と江戸川区民の方々、後は団員とは縁もゆかりもない、この演奏会を楽しみに来てくださる方々、この3つがお客様の柱かなという感じです。

司津:そういえば、午後1時から来ていた方もいらっしゃいましたよね。

― えっ?!開場は午後3時ですよね。

天野:そうそう。最初に来た方は、もっと早くから並んでいたの。12時ぐらいだったかな。しかも、並ぶつもりで椅子持参でした(笑)。

-Returns!の演奏会は、そこまで混まないですよね(笑)。でも、すごくありがたいですね。

司津:すごく早くから、60~70代ぐらいの男性が2人来ていて。

藏本:六大関係者?

司津:いや、見ている感じだと違う。たぶん第1回の時にたまたま来て、楽しかったから毎回来てますというご近所の方々だと思います。で、ホールの警備の方に「東京六大学って、どの大学か知ってるか?言ってみろ」って絡んでた(笑)。




天野:そんな場面があったんだ。知らなかったな。いやもう、すっかりファンになってくれてるんだね。だから、もともとは六大学の応援団とまったく関係のなかった方が、何らかのきっかけで1回来てくれて、次も行こうということが少なからずあるんですよ。正確に確認したわけじゃないんだけど、何となく空気でそういう人だってわかる(笑)。広報で新聞とかにも案内を出してるんでしょう?

― はい。そんなに大きくはないですけど。

天野:それをちゃんと見ている人がいるんですよ。

司津:会場に入ってきたお客様が、1階席に行くか、2階席に行くかで何となく分かりますよね。関係者はドリルを2階で観たいから2階席に行くけど、ドリルを知らない一般の方や地元の方はゆっくり近くで見ようって、1階席に行く。

― ああ、なるほど。面白いですね。

天野:それぞれが心地よい場所で好きに楽しんでいただいている。お客様と個別に色々お話をするわけではないんですけど、そんなことを瞬時に察しながら対応することを心がけています。

― 色んな楽しみ方ができる場所になっているんですね。

天野:あとは、直接お客様に説明するわけではないんだけど、「実は我々も出演者と昔一緒にやっていた仲間同士なんですよ」という想いを背中に背負いながら、裏方の皆さんがそれぞれ動いていると思いますね。そういう話をするわけではないんですけど、やっぱり見ていて空気が一緒なんですよ。だから、演奏、司会、ステマネ、照明、受付、器材車など、それぞれの立場で最高のパフォーマンスを出そうと頑張っていて、その集大成が演奏会全体としてのよい結果を生み出しているんじゃないかと思いますよね。






押切:そういうのは、私も感じていて、六大応援団の吹奏やチアのOBOGの集まりなんで、何か起こった時もみんな自主的、自律的に動いてくれる。やっぱり、価値観が似ている人たちの集まりなんだろうなって。そういう人が集まっているから、お客様が何か困っている時にはこうしようという判断が人によって大きくズレないんでしょうね。そういうことを自然にできることが素晴らしいなと思います。


■Returns!の演奏会は、毎回みんなで力を合わせている感じがお客様にすごく伝わる

押切:さっき話した緞帳を下げるキュー出しも、三輪君が「じゃあ、僕が代わりにやっておきます」ってすぐに言ってくれたり。そういう連係プレーが自然にうまくできるところが、この集団の特徴的なところなのかなって思います。私も一般の市民バンドに所属したこともあるんだけど、そういう部分はちょっと違うと思います。

天野:うん、確かに違うね。

― どういうところが違うんですか?

押切:うーん、自分のいたことのあるバンドは、やっぱり手伝いは手伝いで、あくまでも当日だけとりあえず来ましたみたいなところがあって、エキストラの奏者も同じ感じで。あまり一体感のようなものは感じないかな。

天野:そうそう。そんな感じ。

押切:Returns!の演奏会って、入口の手書きの看板なんかもそうだけど、毎回みんなの力を合わせてやってるという感じがお客様にすごく伝わるから、何回も来てくださるお客様がたくさんいるんだろうね。だって、演奏会に行ったら、「熱中症対策でお水や飴があります。どうぞ、どうぞ」なんて他の演奏会では見たことないし、普通は思いつきもしないよ。





藏本:そういえば、第1回の時に、全然音楽をやったことのないママ友が突然演奏会にやって来て、「今着いたよー」って連絡をくれたんです。本当にびっくりして、「何で来てるの?」って聞いたら、「真美ちゃんが司会やるっていうから、とりあえず行かなきゃと思って」と返ってきたんですよ。
演奏会にすごく感動してくれて、「こういう六大の友達って本当にいいよね」って。現役当時にみんなで大変な苦労をしながら、一緒に色んなことを乗り越えてきたんだろうなっていう一体感をすごく感じたと言われました。「普通、歳取ってくるとただ飲むだけとかになってしまうのが、こういう形でみんなで一緒に何かを作り出すということに関わっていけるのは本当に羨ましいし、すごいことなんだよ」と言われて、自分は本当に幸せだなぁと感じました。現役時代はいつも、いつ辞めてやろうかということばかり思っていて、アンチ応援団で(笑)。3、4年生の時は、せっかくここまでやったんだから、最後までやってやれみたいな感じで(笑)。

― そういう人、意外と多いよね(笑)。

藏本:卒業したばかりの時は、もう絶対に応援団に関わらないと思っていたんですが、最近になって、こんな風に関わりができて本当にありがたいし、今は、応援団をやってよかったなと思っています。

押切:この歳になって、やっと気付いた?卒団して何年だ(笑)?

藏本:Returns!を知った時に、みんな本当にすごいなぁと思って。でも、自分の状況だと参加は難しいと思っていました。そんな時に、司会を依頼されて、今までやったことがないことだったので不安が一杯で、自分には無理だと思っていたんですけど、思い切って引き受けて、本当によかったと思っています。

司津:私は今、自分の同期たちが出演しているので、友達の舞台を手伝うっていう名目なんですけど、いつか世代交代して、全然自分が知らない世代の人たちしか出演しないとなったとしても、やっぱりお手伝いしたいなと思うんですよね。一緒に活動はしていなかったとしても、何かつながっていると思うと、自分のできる範囲のことは協力したいですね。

天野:そうだよね。何らかで絡んでいたいよね。

― そういう世代を超えたつながりという感覚は、応援団の世界独特ですよね。現役時代には知らなかった人ともすっと溶け込んで一緒に活動できるというのはいいですよね。

司津:「何で協力しているの?」って聞かれたら、普通に「同じ大学の応援団出身だから」って言える。

天野:一般の人だったら、「なんで?」ってなるかもしれないですね。そこが、我々応援団出身者の強みでもあり醍醐味でもあるんだと思います。何だか嬉しいし、気持ち良いですよね。

司津:今、Returns!のメンバーの最年少はどのくらいですか?

― 平成28年度卒ですね。社会人3年目。



早稲田大学 平成28年卒の片山さんと上原さん


司津:おお、自分の子どものような年齢差ですね。でも、じゃあ親子目線で見るかっていうとそうでもなくて、やっぱり後輩という立場で自然に接しますよね。

天野:社会人3年目だと、会社でいったら、まだまだっていう感覚もあるけど。こういう場所で接していると、自分と同じ仲間っていう感覚になるよね。


■Returns!の演奏会は、ステージに上がる人・裏方・お客様、みんなが熱い

― 今日お集まりの皆さんは、天野さんは第1期のReturns!メンバーで、他の方々はReturns!のメンバーではないですが、発足前のプレイベントには参加されましたよね。

司津:私は4回ぐらい参加してますよね。押切さんも結構来てますよね。

押切:うん、ほとんど参加しているかな。その時はまだ東京勤務だったから。今はつくばにいるので、なかなか参加できないですね。

藏本:私も1回楽器吹いていますね。

― そういう意味では、実は皆さんは古くからReturns!に関わっているという感じですよね。

藏本:だから、頼まれれば積極的に裏方としてお手伝いするというのがあるのかもしれませんね。

押切:工藤団長(明治大学 平成3年卒)もよく言っているけど、それぞれ色んな事情があってReturns!の活動に参加できない人もいて、そういう我々のような者にすごく気を遣ってくれているよね。だけど、自分としては、たしかにReturns!のメンバーとして演奏しているわけではないけれど、「我々も一緒にやってるぜ!」という想いで裏方として参加しているんだよね。だから、裏方もこんなに盛り上がっているのかな(笑)。先日の対談記事にもあったけど、このバンドって決して上手い人ばかりではない。だけど、この演奏会に六大とか応援団とか全然関係ないお客さんもたくさん来てくれているのは、そこに何か感じるものがあるってことなんじゃないのかな。みんなの想いだとか、おもてなしだとか。何か熱い演奏会なんじゃないの(笑)?時期も暑いけど(笑)。

― 来年は快適な時期にやりますよ(笑)。

押切:コンクールの全国大会に出るような上手い社会人バンドの演奏会に行ったりすることもあるけれど、ある意味プロと一緒だから、アナウンスとかまったく無しでいきなり演奏が始まって、「曲を聴け」みたいなところもあるわけ。そういうのがある一方で、Returns!は熱くやってるじゃない。何か六大合演のフィナーレみたいな賑やかな感じで。だから、元気もらえましたみたいになるよね。

天野:そうそう。だから、手作り感満載だし、受付にいても、演奏会が終わって出てくるお客様たちがみんな満足感というか、何だか高揚している感じなんだよね。ちょっと、顔が赤いみたいな。そういう人がどんどん出てくるわけ(笑)。

― へえ、そうなんですね。

天野:そういう人たちを見ると、こちらもとても嬉しいし、そういうことを作り出す一員になれたことが誇りなんです。もちろんプレーヤーではないけれど…、いや受付のプレーヤーなんですね。結果的に。六大関係者ならいざしらず、今まで六大や応援団を知らなくて毎年演奏会に来てくださる人たちが、今年も満足してくださって帰ってもらえたんだというのは、すごく裏方冥利に尽きますよ。
あと、アンケートの中でお一人、また案内を送ってくださいということで、切手をビニール袋に入れて貼ってくれた方がいて。しかも82円切手を1枚じゃないですよ。5枚ぐらい。

藏本:ああ、見ました。びっくりしました。

天野:その方は前回も来てくれていて、今回案内をもらってきていると思うので、切手を入れなくても、また案内を送ってもらえるって、多分わかっていると思うんですよ。でも、ちゃんとまた送ってほしいという想いがあるんでしょうね。こちらからの発信だけじゃなくて、お客様側からそういう反応があるのって、なかなかないですよ。

押切:ステージに上がる人だけじゃなくて、裏方も熱くて、お客さんも熱いという(笑)。いや、すごい演奏会だよね。まあ、我々がやるとやっぱりそうなっちゃうのかな(笑)。
だって、Returns!は色んなメンバーがいるわけじゃない。上手い人ばかりじゃない。でも、どういう人でもいいですよ、参加しましょうって。この間の対談記事にも書いてあったけど、トロンボーンが8本でも10本でもステージに乗っけちゃうわけでしょ(笑)。普通、上手いバンドだったら、やっぱりバランスを考えて降り番とかあるじゃない。でも、そんなの関係ない、みんなでやりましょうというところがあるでしょ、このバンドは。そういうのを貫いてやるのがいいんじゃないのかな。上手さだけを求めると、やれ降り番だとか、この楽器が足りないからエキストラ頼んで来てもらおうかとかなるけど、そうすると、熱い集団じゃなくなってしまうような気がするな。そういうコンセプトに賛同している人たちが関わっているから、結果として熱い演奏会になるんだと思う。

司津:今年は、前回までより裏方の世代も広がりましたよね。若い世代のメンバーの同期たちが、見に来るだけじゃなくてお手伝いしますよって来てくれています。それが嬉しいですね。メンバーだけじゃなくて、裏方も色んな世代の人が、できる範囲でやりたい時に気軽に参加できるっていうのがいいんじゃないかと思いますね。





― 皆さんの熱い想いを聞かせていただき、ありがとうございました!



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六大合演OBOGバンドReturns!

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【【Returns!団員の素顔に迫る(特別編) 前編】

今回は、インタビュー特別編として、8月3日の演奏会のお手伝いをしてくださった東京六大学応援団OBOGの皆さんに集まっていただきました。
ステージマネージャーの押切隆志さん(法政大学 平成2年卒)、司会の藏本真美さん(法政大学 平成6年卒)、受付リーダーの天野慶介さん(明治大学 昭和60年卒)、器材車運転手兼カメラマンの下山司津さん(明治大学 平成6年卒)に演奏会の舞台裏を語っていただきました。お祭りや応援が大好きな応援団OBOGの熱い想いを感じていただけたらと思います。
それでは、演奏会のアナザーサイド・ストーリーをどうぞ!

(取材・文 K04池田由起子)


左から 下山さん、藏本さん、天野さん、押切さん


■ステマネを引き受けたワケ

― ステマネは誰からオファーがありましたか。

押切:同期の雨坪(演奏会企画リーダー/早稲田大学 平成2年卒)から。2月に、彼が所属する別の吹奏楽団の演奏会に行って、後日、「実は折り入って相談したいことがあります」とメッセージが来て、「雨坪としては、ステマネを押切にお願いしたい」とい書いてありました。

― 過去2回、ステマネを引き受けてくれていた大谷君(明治大学 平成12年卒)が今回は都合が悪くて来られないと聞いた時、ステマネは大役で信頼できる人じゃないと頼めないので、雨坪さんは誰に頼むんだろうとReturns!のメンバーも注目していたんです。

藏本:私も、大谷君がステマネをできないと聞いた時、どなたになるのか気になっていました。知らない先輩で、しかもステマネ経験のない方だったらどうしようと。だから、押切先輩に決まってホッとしましたね。

司津:合演(東京六大学応援団連盟合同演奏会)でステマネの経験は?

押切:一切やってません(笑)。僕は元々、合演は2年でドリル隊、3年で演奏隊、4年でドリル隊に出たけれども、ステマネ経験はないんです。ステマネってよく聞くけど、「一体何をするんだろう?大丈夫でしょうか?」と雨坪に聞いたら、「当日のキュー出しぐらいだから大丈夫だと思います」と言われて。こっちも、頼まれて適当には答えられないから、ステマネの仕事について確認しました。

― ちょっと不安はあったんですか。

押切:相当ありましたよ。トロンボーンの1つ下の保坂君(早稲田大学 平成3年卒)は、僕が幹部で合演に出た時にステマネをやっているんだよね。「もう死にました」みたいな話をしていたから大変なんだろうなとは思っていたんです。ただ、今年も何らかの形でお手伝いはしようとは思っていたんです。去年も天野先輩と一緒に演奏会の受付をさせていただいたし。

天野:そうでしたよね。

― 躊躇していたのに最終的にステマネを引き受けたのはなぜですか。

押切:知っている仲間もたくさん出ているし、今年も何らかのお手伝いはしようと思っていて、そんな中でステマネをお願いしたいと信頼して任せてくれるのであればやろうと思いました。特に、雨坪は同期だし。

― 雨坪さんが頼んだのも大きいということですか。

押切:そうそう。



押切さんと同期の皆さん


藏本:誰が頼むかというのも重要なんですね。押切先輩、演奏会の1週間前のゲネプロで、大分焦ってましたよね?

押切:ビビってたよ。

藏本:ドリルのクローザーの最後に司会がスタッフ紹介をするんですけど、今回「勇気100%」はどのタイミングからアナウンスをするのか分からなかったんです。今までのクローザー曲なら、何となくここからだろうなというのは分かるんですけど。だから、取り急ぎドリルのゲネプロの時に、その辺にある分かりやすそうな譜面をもらいました。

押切:僕も、譜面を貰っていなかったから、トロンボーンの譜面をスマホで撮って(笑)。

― やっぱり自分の楽器の譜面がいいんですか。

押切:ヘ音記号が見やすいよね、慣れているから(笑)。

― なるほど。それにしても、こちらの準備不足でご迷惑をおかけして…、頭が上がらないですね。

押切:昔のクローザーは、いかにもみたいな曲で、ここでキターという感じになるじゃないですか。

― 今年はいかにもという曲ではなかったんですよね。

押切:この前の酒巻・池田対談にも書いてあったけど、若いドラムメジャーによって新しい価値観が入ってきたりしてね。我々裏方も、新しい価値観を受け止めないと(笑)。

天野:それにしても、譜面はもう少し早くほしいよね(笑)。

押切:僕は、ドリルのゲネプロの時から藏本さんに叱られてるから。「先輩がちゃんと指示を出さないと入れないんですよ」って。

(一同爆笑)

藏本:言ってないですよ(笑)。

押切:藏本さんのことはOB会とかで一緒になったりして知ってはいたけど、こういう立場で一緒にやるのは初めてで。それで、「そういう指示は全部ステマネがやるんです」と言われて、「えっ、マジで?!」みたいになって。

― たしかに、先輩に遠慮していたら物事進まないですよね。言うことは言わないと(笑)。

藏本:一応、遠慮しているつもりではいるんですけど(笑)。

押切:ドリルのゲネプロで、池田さんが僕と藏本さんの写真を撮ってくれたよね?一枚目の写真の顔がこわばっていたのは、すごく焦っていてそれどころではなかったんだよ。

― たしかに、すごく表情が固いなと思いました(笑)。



たしかに固いですね(笑)


押切:これは大変な仕事だぞと思って。ただ、たまたまステージ周りはほとんど法政の人だったからやりやすかったですね。ステマネサブが三輪君(法政大学 平成7年卒)で、照明は細矢君(法政大学 平成4年卒)で。細矢君もえらいよね、岐阜から始発に乗って来たんだって。

― えっ、そうだったんですか。

押切:彼は単身赴任で岐阜にいるんだよね。わざわざ遠方から来てくれたのに、「細矢、そこはちょっともう少し○○して」とかバンバン言われてたよね。岐阜から始発で来て、江戸文(江戸川区総合文化センター)で叱られて終わりましたって言っていた(笑)。みんなそれぞれ想いを持って手伝いに来ているよね。


■「ロスト・ムーン」のキュー出しはしんどかった(笑)

― 実際にステマネをされてみていかがでしたか。

押切:結構、緊張感あふれる役割でしたね。特に、第一部の「ロスト・ムーン」は楽章間にナレーションが入ったので、キュー出しが特殊で大変でしたね。裏方にはしんどかった(笑)。

(一同爆笑)

押切:台本上は、オープニング、1楽章、2楽章、3楽章、4楽章と書いてあるんだけど、演奏のゲネプロでどう聴いても、そういうふうにはなっていないと思って。

― 2楽章と3楽章が繋がってますからね。

押切:譜面ももらっていないし、音源も聴いていないから分からなくて。オープニングと1楽章も繋がっているし。譜面を見たら、アタッカ(attacca)と書いてあるじゃんって。これはヤバいと思って、家に帰ってYoutubeで「ロスト・ムーン」を聴きましたよ。

― 演奏のゲネプロで初めてキュー出しの練習をしたんですよね?指揮者が指揮棒を降ろしたら、司会が頃合いを見計らって、勝手に入るんだと思っていました。

藏本:私がアナウンスする位置からは指揮者が見えないんですよ。ドリルのスタッフ紹介もそうなんですけど、私からはステージが見えないので、全てにおいてステマネがキュー出しをしているんです。

押切:そんな頃合いとか言われても、人によって感覚が違うしね(笑)。だから、演奏のゲネプロで指揮の池田君(慶應大学 平成4年卒)にキュー出しのタイミングが早いと言われたあたりから焦って。譜面も持っていないから、とりあえずフルートの譜面を見せてもらって。

藏本:しかも、押切先輩はステマネが初めてなのに、今までにない、楽章間のナレーションのキュー出しという大役があったから大変だったと思います。でも、そつなくこなされていて、安心して司会ができました。

― 「ロスト・ムーン」の冒頭でケネディ大統領の演説を流しましたが、その音源が入ったiPodの操作も大変そうでしたよね。

藏本:iPodは職場でも使っているから操作方法を分かっているんですけど、ゲネプロで操作したら、なぜか福山雅治の曲になっていて焦りました(笑)。

(一同爆笑)



ゲネプロで福山雅治が流れそうになって焦る二人


押切:だって、後はそっちでやっておいてくれみたいにiPodが椅子に置いてあったよね。

― 一応、ここだけ押せば演説が流れるという状態にしておいたらしいんですけど、時間が経って、iPodの状態が変わってしまったみたいですね(笑)。でも、本番の「ロスト・ムーン」のキュー出しはバッチリでしたよね。


■実はインカム2台持ちだったんです

押切:もう一つ難しかったのが、クローザーの最後に緞帳を下ろすタイミング。「いやあ、タイミングが違う。コーダの3小節目から」と言われても、そもそも昨日初めて譜面を見たばかりなのにって。

藏本:それに、緞帳のスピードも、実際に現場で見てみるまでは分からないので。

― 正直、イラっときましたか(笑)?

押切:いやあ、むしろ申し訳ないと思って。

藏本:隣で見ていて、いつも押切先輩は「すみません、もう一度お願いします!」と言っていて、先輩は悪くないのになぁ、謙虚で素晴らしい先輩だなぁと思ってました。

押切:今回、Returns!からインカムを支給されて、照明、ステマネサブ、受付と連携するために付けていたんです。緞帳だけは危ないから江戸文の方が操作しますということで、江戸文のスタッフとやり取りするためのインカムがそれとは別にあって、インカム2台持ちだったんです。

一同:そうだったんですか?!

押切:クローザーで緞帳を下ろすタイミングが、何回やっても上手くいかなかったら、ステマネ・サブの三輪が「そこは私がやりますから」と言ってくれて。

― 素晴らしいチームワークですね。

押切:緞帳を上げるキュー出しもあなたがやるんですよとドリルのゲネプロで言われて。ドリルステージが始まる前に、気合入れをしてから緞帳を上げるじゃないですか。気合入れを何回やるのか、どの順番でやるのかも台本には書かれていないんですが、まあ一応私もこういう団体卒なんで、6回やるんだろうな、気合入れの最後は東大かなと(笑)。

― 察してくださったんですね(笑)。

押切:東大の気合入れは村山さん(東京大学 昭和63年卒)だったんで、この声にピンときたらキュー!みたいな(笑)。

(一同爆笑)

押切:一般的にバンドをやっていても、ステマネをやったことがある人は極めて少ないじゃない?自分も演奏会に出る時は、何か指示している人がいるんだなぁくらいの認識で、ステマネの業務内容はイマイチ分かってなくて。しかも、ステマネが参加するのは演奏会直前だから、ドキドキ感満載だよね(笑)。



(撮影:司津カメラマン)


司津:明治の定演は、OBがステマネをやっていますね。

― 私たちの時は、慶應の定演のステマネと照明はリーダー3年生がやってくれてました。

一同:それはすごい!大したもんだ。

― 普段、音楽をやっていないリーダーがキュー出しするという。譜面を見ながらやっていたのか、音源を聴きまくってキュー出しの位置を覚えたのか分かりませんが。

押切:また、ステマネは仕事の範囲もあいまいだから。当日のバンドの様子を見ていて、バンドのタイムキーパーもやらないといけないのかなと思ったり。放っておくとずっとリハーサルをやっているから(笑)。「あと○分ですよ」とか声かけたり。結局、ドリルのリハが10分押して。でも、昼休みを長めに取ってあって、そこでうまく調整したから、さすが雨坪君と思いましたね。

― そうだったんですね。

押切:仕事をしている中で、会社のイベント運営や会議の進行などを経験してきて、状況を見て何を求められているのかを判断できるようになっているので、今回、その経験が生かせたように思いますね。


■毎回自分なりに目標を作って司会に取り組んでいる


(撮影:司津カメラマン)


― 真美ちゃんは今までのReturns!の演奏会でずっと司会をやってくれてますが、3回やってみていかがですか。

藏本:1回目は、初めての司会だったので、ただ台本を読むだけだったんです。例えば学校の授業でも教える先生によって聞きたくなる、聞きたくならないってあるじゃないですか。なので、お客様が聞きたくなるような司会を目指して、2回目の時はちょっとくだけてみたんです。

― 自分の言葉で話していて、とてもいい感じだったよね。

藏本:でも後日、指揮の池田さんにダメ出しされました(笑)。自分としては、お客様に聞いてもらいたかったので、文章を淡々と読むよりは「タイタニック、沈没してしまいましたよね?」みたいにくだけて語りかけた方がいいだろうと思ってやったんですが、タイタニックの話自体が深刻なのに話し方がライト過ぎたみたいで。
だから、3回目は、お客様がふっと耳を傾けたくなるような感じで行こうと思ったんです。ただ、今回は「ロスト・ムーン」という大曲があって、そのナレーションはくだけられないので、原稿を読み込みながら、それ以外のところをどう言うかを自分なりに考えました。
最終原稿が出来上がったのは演奏会前日で、それを読んだら、今までとは違うところで改行されていて戸惑ったり(笑)。今回は大曲があったのでドキドキしましたが、過去2回頑張って何とかできたから、今回も原稿を読み込んでおけば何とかなるだろうという気持ちがありました。

― 「ロスト・ムーン」のナレーションについては、録音したものを流すか、当日生でしゃべるかという話もありましたよね?「録音した方が安心してできるというなら録音して流してもいいし、生でしゃべりたいならそうしてください。司会がいいと思う方に決めて」という話が池田指揮からあったみたいですが。

藏本:それについては、演奏会企画パートの皆さんと「どうする?」という議論があって。録音するとなると会場や器材を借りる必要があるからお金と時間がかかるから大変だよね、という話になりました。たしかに録音した方が安心だけれども、皆さんの手を煩わせて、お金もかかって、当日どんな風に流れるかも会場に行ってみないと分からないという状況だったので、「それだったら私が頑張ればいい話ですよね。噛まないように練習します」と言いました。

― カッコいい!男気ありますね(笑)。それから、「ロスト・ムーン」のナレーションを演奏会当日に一ヶ所直してもらったと聞きました。当日だから言うかどうか迷ったらしいですけど。

藏本:指揮の池田さんから、「前年」という言葉のイントネーションが違っていると指摘されたんですけど、楽屋で周りの人に聞いてもらったら、池田さんの「前年」も真美ちゃんの「前年」もおかしい。フラットに「前年」だと言われて。そうしたら、余計に分からなくなっちゃって(笑)。何度もみんなに聞いてもらいながら練習していたら、志村先輩(慶應大学 平成4年卒)が「もう、『前の年』にしよう」って。

(一同爆笑)



ここで「ロスト・ムーン」のナレーションとドリルスタッフ紹介をしました


― 楽屋でそんなことが起こっていたんですね(笑)。次回は、バリトンサックスで演奏会に参加する可能性もありますか。

藏本:次回はちょっと。5月だから練習期間が短すぎますよ。

押切:市民バンドで、演奏した奏者が司会をするというのもあるから、両方やれば?バリトンサックスだから、席が上手になっちゃうけど。

司津:まるちえ(丸山智恵子 明治大学 平成6年卒)とセットで司会は?

― Returns!の新しいチャレンジとして、上手で司会というのもいいかも(笑)。まるちえはフルートだから下手で司会をして(笑)。

(一同爆笑)


■私も想いを込めて指揮者を送り出しているので、あの瞬間をすごく大事にしています

― 池田指揮から、これは絶対に真美ちゃんに聞いてきてと言われたんですけど、指揮者紹介をされてステージに出ていく時、いつも真美ちゃんと握手をしているそうですね。

藏本:そうですね。1回目は、私が指揮者紹介をして舞台袖に戻ったタイミングで指揮の池田さんと握手しました。2回目は、ハンドマイクと司会の原稿を持っていて、両手がふさがっていたので握手できなかったんです(笑)。1回目はスタンドマイクだったから、片手が空いていたんですよね。3回目もハンドマイクだったので両手がふさがっていたんですけど、さっと持ち替えて握手しました。

― 1回目の時の握手は池田指揮から手を差し出したんですか。

藏本:そうですね。私も、指揮者を送り出すときに「頑張ってください」という想いで相手の目を見るので、パッと差し出された手を握り返しました。

― 池田指揮としても、司会者とすれ違う瞬間に感じるものがあるようで、「頼んだぞ」「任せとけ」という無言の会話が交わされていると言っていました。あの信頼関係は、同じ応援団の絆があるからこそだとも言ってましたね。外部の司会者だったら、そんな想いにはならないんじゃないかって。

藏本:私も想いを込めて送り出しているので、あの瞬間をすごく大事にしています。

天野:いい話ですね。



3回目の司会とあって堂々とした雰囲気です


押切:僕も、舞台袖で「頑張って」とか「お疲れ様」とか言ってあげたいんだけど、こっちも余裕がなくて。もう、それどころじゃなくてさ(笑)。

― 次の段取りがありますからね。

押切:ああいうのも慣れなんだろうね。


【Returns!団員の素顔に迫る(特別編) 後編】演奏会裏方メンバー座談会へ続く


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【Returns!団員の素顔に迫る その11 後編】


こちらの記事は、【Returns!団員の素顔に迫る その11 中編】演奏スタッフチーフ&ドリルスタッフチーフ対談の続きです。



ドリルスタッフチーフの酒巻さん

演奏スタッフチーフの池田さん


■Returns!のメンバーにとっての楽しさとは?

― ここまでは、お客様に対しての質という話でしたが、それとは逆に、Returns!のメンバーにとってのドリル・演奏の楽しさという意味ではいかがですか。

池田:Returns!発足最初のコマ発表の時に、酒巻さんが「Returns!にとっての楽しさとは何かを模索し続けていきたい」と発言したのを僕は本当によく覚えていて、その通りだなぁと。自分がいつも考えているのと同じだなぁと、とても共感したんです。

酒巻:それはもちろん覚えてるよ。当然、それは今も思い続けてるよね。

池田:お互いにそれをずっと考えてきたというのがReturns!の歴史みたいなものだと思うんですが、酒巻さんは答えが出たんですか。

酒巻:うーん、ちょっとずるい答えになるかもしれないけど、結局、ドラムメジャーにできることって量の設定しかないというか。曲数と長さと難易度。だから、メンバーの最大公約数的な楽しさを実現できる分量の設定を間違えないってことなのかな。その中で、メンバー自身が好きなように楽しむ。その環境づくりがドリルスタッフの肝かなって。今回はそれが丁度よくできたんじゃないかと思っている。でも、これってやってみないと分からないんだよ。難しい。だけど、そのことがドリルを楽しんでもらう上でこちらが提供できる最大のことなのかもしれない。その量が、適切なら練習の分量もちょうどよくなって、楽しくできるかもしれない。

池田:やっぱり、余裕を作るっていうことなんですかね。

酒巻:そうだね。演奏もそうなんじゃないのかな。

池田:そうですね。どのくらいの難易度、長さの曲が適切なのか。でも、あんまり簡単すぎるのもだめで、ある程度の挑戦というものがないと、それはそれで楽しくなくなってしまうんじゃないかと思います。ただ、ドリルは、全員がそれなりに動けないと成り立たないんですよね。演奏って、必ずしも全員がすべて吹けないと楽しめないかというと、そうでもないんです。全部は吹けないけど、周りがいい音を出していて、ああ、いいなぁって。そんな楽しみ方も許容できるんじゃないかと。そこは、演奏の方が少し楽しむハードルが低いかもしれないですね。もちろん、全員吹けないというのでは困るけど(笑)。全員がパーフェクトじゃなくても、曲を楽しむことはできるじゃないですか。

酒巻:指揮者の立場で、よくそこまで言うねぇ(笑)。

池田:いやあ、そうなんじゃないですかね。人によって、ちゃんと吹けないところもあるけど、それはそれとして楽しめる。次にもっと吹けたら、それはそれでもっと楽しめる。

酒巻:いいねぇ。吹けるところだけでも吹いて楽しむ。

池田:Returns!には、久々に吹く人、他部門の出身で初めて楽器を持つ人、現役時代と楽器を変える人とかがいる。そんな、いろんな状況の人が思い思いにそれなりのレベルで楽しむっていうのがいいんじゃないかと思います。でも、演奏会本番に向けては、最終的にそんな様々な状況の人たちを前提に、全体として曲を成立させていく。そのバランスを全体的に作っていくのが指揮者の役割なので、それはそれでいいんじゃないかと僕は思っています。1人1人はパーフェクトじゃないんだけど、トータルとしては十分聴けるものになるという感じ。

酒巻:社会人バンドの指揮って、そういうことなんだろうね。でも、現役の応援団だってそうだよね。

池田:そうですよ。現役当時だって、初心者もいるし、上手い人、下手な人、いろんな人がいる。各々はその人なりに気持ちよく吹ければよい。そもそもで言ったら、ない楽器だってある。今年なんかオーボエがなかったわけだし。そこは全部は埋められないけど、何かの楽器で曲を成立できるレベルに埋めて作っていくしかない。結局、そこにある素材を前提に、できる最大をトータルでどう作り出すかなんですよ。

酒巻:なるほど。

池田:「全員が完璧に吹いたら最高によいものができるから、みんな完璧に吹け」なんてことを要求するつもりはありません。みんな完璧なんてありえないし、そこを追及してもあんまり幸せじゃない。その上で、みんなで作るから面白い。例えば、「トロンボーンがうるさすぎるからメンバー半分出るな」なんてありえないじゃないですか。基本全員参加ですよ。だから楽しい。だから、入りたい人はみんな入れるし、演奏会に出られる。それが、Returns!の良さだと僕は思っています。まあ、スタッフは大変ですけどね(笑)。

― Returns!の楽しさをスタッフが定義するのではなくて、メンバーそれぞれが好きな楽しさを求めることができる環境をスタッフの皆さんが作っているということですね。

酒巻:ところで、僕は演奏の良し悪しの細かいところまで分からないから、ぜひ聞きたいんだけど、今回の「ロスト・ムーン」の出来は実際どうだったのかな?感動した、素晴らしい演奏だったってメンバーや観客の評判はとても良いけど。それなりに分かる人にとっては、今一つだったりするのかな。

池田:コンクールに出たとしたら、金賞が取れるというレベルではないですね。でも、そういうことではないんですよね。専門家から見た演奏レベルがどうこうということより、そこにいるメンバーが感動した、満足した、またやりたい。お客さんが迫力があった、想いが伝わった、感動、素晴らしい演奏だった、また行きたいと感じてくれている。それでいいじゃないですか。それがReturns!の楽しさだと思うんです。それをわざわざコンクールに出て、専門家の目から評価されて、自分たちのだめさをわざわざ知る。それ、何が楽しいんですか。それでも、コンクールで他団体と技量を競いたいんだったら、そういうバンドに所属したらいい。Returns!って、そういうバンドじゃないと思うんですよね。

酒巻:なるほど。確かに、うちの女房も今回は「すごく音が大きかった。びっくりした」って言ってた(笑)。

池田:やっぱり、今のReturns!ってパワーバンドだから、管がガンガン鳴って、太鼓がバンバン鳴って、アンケートを見ると「迫力」という言葉がとても多く書かれている(笑)。専門家から見たら「音の暴力団体」と言われるかもしれませんね(笑)。でも、それが今のバンドの強みであれば、そこを活かす。選曲もそれに合わせる。多少雑でも、想いが込もった迫力ある音やパワーで押し切る。それが観客を魅了する。そして、奏者も感動し、満足する。みんなHappyじゃないですか。それでいいと思う。そんな音を作るのがReturns!のスタッフの役割ですよね。僕は、コンクールの審査員受けするような音を緻密に作る必要なんかないと思ってます。コンクールレベルの演奏じゃない?だから、何って感じ。Returns!のメンバーとReturns!の演奏会に来て下さるお客様の満足だけしか考えていません。特にメンバーの楽しさ、満足度が優先です。それなしで、お客様にReturns!の楽しさなんか伝わらない。だから、客受けするだけの選曲は基本的にしません。

酒巻:そうだよな。確かに、そういう意味ではドリルも止まらない曲を安心して、思い切ってやる方がいいよな。

池田:そう。思い切ってやって、やり切って満足っていうのがいいですよね。


■演奏とドリルがReturns!の両輪になった

池田:演奏練習って、指揮者が頑張らないと奏者たちが自発的にワイワイ盛り上がるってことはまずないんです。現役時代にも、「いいなあドリルは、勝手に盛り上がって」と思ってました(笑)。

酒巻:でも、Returns!って、演奏練習もメンバーが結構盛り上がってない?

池田:そう、確かに今期は演奏練習でもメンバーが色々と発言したり、盛り上がっていて、本当に雰囲気が良かったと思いますね。そういう意味では、今期は演奏もドリルも両方、同じように楽しい雰囲気だったなと思います。

酒巻:そう、本当にいいバランスだったね。








池田:そういう意味では、3回目にして、ようやく演奏とドリルがReturns!の両輪って、胸を張って言えるようになったというのが今期の最大の成果ですね。現役のころは、正直あまり両輪感がなくて、ともすれば対立は言いすぎだけど、お互い別物みたいな感じがしていた気もしますね。今のReturns!は完全に演奏とドリルが両輪ですね。Returns!で指揮者をやって、現役の時と考え方がかなり変わったと僕自身思います。本当に両方やるのが楽しい。でも、そう思えたのは酒巻さんと一緒に演奏とドリルの両輪を作って来れたからだと思うし、それは演奏の「NOVENA」に酒巻さんが感動してくださったことからすべてが始まっているんですよ。

酒巻:あはは。ありがとう。

池田:だから、僕にとってはあの「NOVENA」がReturns!の原点だし、あの日があったから、僕は演奏とドリルを分けずに、みんなが演奏とドリルの両方をやるバンドがいいと提案したんです。演奏隊・ドリル隊に分かれて片方だけやるんだったら、結局、現役の時とやっていることが変わらない。そんなバンドは楽しくないと思ったんです。もちろん、それぞれの事情がある中で、片方だけ参加という選択もありだと思います。どちらかだけに出ても楽しい。両方出たらなお楽しい。こんな感じがいいんじゃないですかね。







■Returns!は二人の人生を変えたのか

酒巻:工藤が「もう一度ドリルをやりたい!」と言い出して。それがなかったら、本当に何もなかったからね。Returns!三回の演奏会だってなかったわけだし。それを思うと、すごい巡り合わせだと思うし、自分自身を知るきっかけになったよね。Returns!に入ったことで自分とは何かということについて考えた。

池田:Returns!は酒巻さんの人生を変えたと思いますか。

酒巻:YESだろうね。Returns!がある自分となかった自分を考えた時に、全然違うよね。

― 何が違いますか。

酒巻:自分を知った。ドリルについて考えて、語って、練習を⾒てという時に、⾃分は何が好きだったか、何が得意だったのかを強烈に思い出しつつ、逆にさっきジャッキー・チェンで例えたけれども、⾃分には何が出来ないか、⾃分とはどの程度の⼈間かをこれまた強烈に思い知らされたという感じ。会社や家庭でもそういう経験は積んだ気がするけれども、それとは全然違う⽣の感触で思い知ったという感じかなぁ。それを感じた時に、本当に仕事観が覆された感じがあって、だからと言って、この先、人生をガラッと変えるという話ではないんだけど。30年ぶりにそんなことを強烈に思って、これは大きいですよ。池田君の指揮力もそうですよ。

― 池田さんはどうですか。

池田:今までの人生を振り返った時に、学生時代には指揮者を、社会人になってからはITプロジェクトのマネジメントや企業研修の講師をやってきて、そしてまた今、指揮者をやっていて。自分の中では、明確に人生設計をしてきたわけでもないけど、結果として何だか一本の線で繋がっているような気がします。

― 一本の線というのは?

池田:「人をまとめて、ゴールに向かう」ということ。いつもそんなことをやっている、ああ、自分って結局そういう人なんだなぁと思いました。仕事だからとか趣味だからとかではなく、全てひっくるめて自分の人生なんだなぁという感じ。そんなことを改めて考えるきっかけをReturns!が与えてくれたと思っています。そういう意味では、酒巻さんと一緒ですね。

― 二人とも、Returns!の活動がきっかけで自分自身を改めて思い出したという感じでしょうか。まさに「AWAKE」ですね。


■「AWAKE」と「NOVENA」はReturns!の大切な原点

池田:「AWAKE」、来たね(笑)!

― 「AWAKE」は、Returns!設立前のプレイベント「とり六(とりあえず六大合演)」の初回のドリル曲ですよね。(2015年9月13日)



卒業以来久しぶりのドリル。皆のドリル魂がAWAKEしました!


酒巻:「AWAKE」誕⽣秘話っていうのも結構あってね。詳しくは担当ドラムメジャーの⼩沼に聞いてみて下さい。「AWAKE」、良かったよね。あれをやったのは4年前か。

池田:僕は「AWAKE」をやってないんです。午前中の基礎錬だけ参加して、その足で出張に行ったんで。



池田さん、コマ発表前の合奏練には出ていました


酒巻:あの「AWAKE」をやった喜びは泣く感じだったよね。

池田:それは分かりますよ。僕は出張先でAWAKEの動画を観て、本当に悔しかったですから。何で自分はここに居ないで、足上げだけしてたんだって。あれを見た時に、やっぱりドリルもやりたいと正直思いましたね。

酒巻:オープン・スタンスで誰々の横に着いた時とか、ガードとの距離感でトロンボーンのスライドが当たりそうとか。30年ぶりのあの感じは忘れたらいけないよね。



この歳で再びコマ発表を体験するとは。皆、真剣です!


池田:あのとり六の「NOVENA」と「AWAKE」は、Returns!にとって本当に大切な原点なんですよね。

酒巻:一つの原点だよね。「NOVENA」も楽しかったなぁ。あの喜びというのは、あのイベントがなかったら全部ないわけだから。

― あの時の映像を観ると、音は鳴っていないし、レベル的には全然じゃないですか。 だけど、熱量がすごかったですよね。

酒巻:「とり演(とりあえず六大合演演奏の日)」の時も5,60人いたよな。みんな楽器を担いで集合して。翌日の「とりドリ(とりあえず六大合演ドリルの日)」の時も、どうやって貼るんだっけと言いながらみんなでポイントを貼って。

池田:酒巻さんが練習の最初と最後に集合をかけて。酒巻さんはプレイベントの時はバンドリーダー的役割でしたね。

酒巻:小沼や工藤にコマを描いてもらって、僕はどちらかというと裏方をやっていたよね。



「AWAKE」を担当されたドラムメジャーの小沼さん


■Returns!は単なるOBバンドではなく、Returns!というバンドになった

池田:懐かしいなぁ。あの原点が、今こうして新しいバンドの形を作ったというのはちょっと感慨深いですね。

酒巻:感慨深いですよ。次は令和の時代のReturns!をどうしていくのかということをいい意味で模索していって、またたぶん何かで少し間違えるんだろうけど、それはそれでね。

池田:だから、今回の第三回演奏会というのは、ある意味Returns!の第一段階の終着点だという意味付けもあるんだけど、令和最初のスタートとして新しい形を作った回でもあると思っているんです。

酒巻:いいこと言うね、意外と(笑)。

池田:いや、本当にそう思うんですよ。すごくこの第三回には意味がある。礎を作るゴールとして酒巻さんのラストでもあり、新しい形を作るスタートでもあるという記念すべき回になった感があるんです。これは記事に書いておいてね(笑)。

酒巻:僕もそう思う。若い子たちも加入して、そのキャラがReturns!に受け入れられたとか。Returns!の演奏を支えてくれた小田さん(明治大学 昭和59年卒)の指揮といい、若手ドラムメジャーの中田君が登場してキャラが売れたとか。そういうのが次の未来に向けてのスタートになっているよね。
でも、次回ネタを繰り出すのはなかなか大変だぞ。今回、酒巻的なことは全部やったから。

池田:そう、第四回は結構大変。僕は坂野さんから「OBバンドは3年で理想的な形では続けられなくなるところがほとんどだから、正念場の年だよ」と言われていたから、自分にとって3回目は勝負どころだったんです。
それで今回こういう結果が出て、本番後に坂野さんから「いやあ、素晴らしかった。Returns!は単に合演を再現するOBバンドではなくなった。OBバンドとしてのスピリッツを持ちながら、今のバンドに合った形を表現するReturns!というバンドになった」と言われたんです。

酒巻:へえ、そんなことを言われたんだ。



Returns!第一回演奏会にて。坂野さん(左)と迫さん(右)


池田:もう一つ坂野さんに言われたのが「ロスト・ムーンに乗りたかった」と。やったなと思いました(笑)。坂野さんが乗りたくなるステージが作れたということが嬉しかったですね。それが今回の僕の誇りです。やっぱり三回目をずっと意識して作ってきたから。だから、本当は僕も引退してもいいくらい(笑)。

酒巻:しないでしょ(笑)。

池田:気持ち的には、ですけどね。これで二人とも引退したらさすがにヤバいでしょ(笑)。


■ドラムメジャーをアイドルに例える?!

酒巻:なんかね、ドラムメジャーはフレッシュでなければいけないという感じがあるんだよ。だけど、指揮は昔からいるおじさんの方がむしろいいのかもしれない。いい意味で指揮とドラムメジャーは違うと思ってる。

池田:えーっ、そういう感覚なんですか。僕はそういう感覚あんまりないですね。

酒巻:「池田さんって、いつからReturns!で指揮振っているんだろう?」みたいになるまでやれよという感じ。逆に、ドラムメジャーは前田敦子や大島優子みたいにセンターを変えていって、フレッシュじゃないと。ファンは飽きちゃうから(笑)。

一同爆笑

池田:じゃあ、ドラムメジャーには一過性にファンが付く感じですか。そんなこと考えたこともなかったな(笑)。ドラムメジャーの方がアイドル性があるってことですか?

酒巻:いい意味で飽きられる(笑)。

― たしかにファンは付いてますよね。あのメジャーコスチュームもアイドル性を作っている要素かもしれません。5年後くらいにまた出て来てくれるとファンは盛り上がりますね(笑)。酒巻さんも記念の回に、ぜひ!



現役時代のメジャーコスチューム姿。決まってますね!


池田:前田敦子、復活!!みたいな。一日だけゲストで来る(笑)。

酒巻:紅白(歌合戦)でピンクレディが歌うみたいな。全く同じコマを描いたりして(笑)。

池田:でも、僕も世代交代をしていこうとは思ってますよ。まだまだ頑張りますけど、段々主軸を少しずつ他の人に移していきたいということも考えるんですよね。

酒巻:それはその方がいいかもしれないね。

池田:僕も、同じスタッフがやり続けるのもあまりよくないかなとも思うんですが、一方で、またこのスタッフの下で演奏なり、ドリルをやりたいと思うメンバーもいるわけで、そのバランスってすごく難しいと思うんですよ。そこはどう思われますか。

酒巻:現役時代だったら、4年間で自動的にいなくなっていくから、そんなこと考えたことがないよね。

池田:確かにやろうと思っても、ずっとやり続けられるわけじゃないですから。

酒巻:指揮よりドラムメジャーの方がもっとそういう感じがあるような気がするな。

池田:それはなぜですか。

酒巻:新陳代謝していかないと、バンドもスタッフも持たないんじゃないかなと。ドラムメジャーの賞味期限っていう言葉も正しいんじゃないかと。

池田:僕はもう3回連続演奏のメインを振っているので、それをやり続けるのは何か違うなって思うんですよ。

酒巻:次回また、池田メイン、酒巻メインていうのはちょっと違うよな。そういう意味では、中田君という若い次のドラムメジャーが出てきてくれたのは嬉しいね。

池田:彼が出てこなかったら、辞めづらかったかもしれませんね。

酒巻:そうね、辞められなったかもね(笑)。別に僕が何したわけでもないんだけど(笑)。中田君、伸び代あるじゃん。みんなから愛されてるし。嫁も嫁で大物だし(笑)。

池田:そう、大物夫婦(笑)。



大物夫婦の瞳ちゃんと中田君。爽やかですね!


酒巻:そういえば、嫁の瞳ちゃん(慶應大学 平成23年卒)が演奏会の打ち上げで懺悔していたけど、楽器を間違えちゃったんだっけ?

池田:「ロスト・ムーン」でマリンバを叩くはずが間違えてシロフォンを叩いて、一オクターブ高くなっちゃったんです(笑)。僕も指揮をしながら何か違和感は感じたんですよ。でも、普通に叩き続けていたし、リズムは壊れていないから楽器が違うとは気が付かなくて。あれをそのまま成立させたのは大物なんです。彼女は一音叩いた瞬間に楽器を間違えたことに気付いちゃったんです。そこで動揺して止まっちゃってもおかしくないから、そのまま叩き切るというのは彼女のすごいところだと思う。気持ちが弱い人だったらできないです。

酒巻:また面白い伝説が生まれたなぁ(笑)。



指揮を見つめる真剣な眼差しが素敵です


■Returns!のメンバーに一言

― 最後に、今期で退団される酒巻さんからReturns!のメンバーに一言お願いします。

酒巻:ないよ(笑)。

池田:絶対に「ないよ」って言うと思ったんですけど、一応載せないといけないから何か言って下さいよ。

酒巻:あまり冗談で言うのはあれだし。

池田:そうですね。ここは真面目に言ってください(笑)。

酒巻:芸能人の人たちは、映画の宣伝とかで「一言お願いします」とお願いされて、よくサラッと言えるよね。

― でも、前田敦子は言わないといけないですから(笑)。

池田:前田敦子は卒業する前に残ったメンバーに言っていかないと(笑)。

酒巻:どこが前田敦子なの(笑)?全然違うじゃない(笑)。

池田:自分で言ったんでしょ(笑)。

酒巻:全然違うよ。前田敦夫だよ(笑)。

一同爆笑

酒巻:そうだなぁ。それぞれが、一番いいと思うReturns!の関わり方を見出して、いい感じで楽しくやって下さいってことかな。僕もそうだけど、途中で抜けるも良し、また入るも良し。あとは、池田君も言っていたけど、Returns!にとって何が楽しいステージであるかということを悩み続けて下さいということかもしれない。

池田:そうですね、答えは分からないですから。悩み続けることに意味があるんでしょうね。

酒巻:今回、少ししっくりきた可能性はあるけど。

池田:次回、同じようなことをして、しっくり来るとは限らないですよね。

酒巻:いや、そうはならないと思う。前例踏襲で行くと、やる方も面白くなくなっちゃうよね。

池田:だから、フォーマットを作っちゃだめなんですよ。毎年、毎年、考えていかないと。

酒巻:ドリルスタッフチーフの中田君が、過去3回の演奏会でやったことから積極的に逸脱していくことをメンバーも許し、面白がってやれたらいいんじゃないのかな。演奏も同じだよね。

池田:そう思います。だから、やっぱりスタッフも新陳代謝を計っていかないとだめだと思うんです。そういう意味では、演奏もドリルも次回の演奏会のメインはチャレンジになると思います。第4回はそこが目玉です。

酒巻:おお、それは楽しみですね!

― 今日はありがとうございました。それにしても、この対談、何回シリーズの記事になるんでしょうね(笑)?

池田:いつものインタビューは30分で2回シリーズだけど、今日は2時間半だから10回かな(笑)。

酒巻:タイタニックくらいあるね(笑)。でも結構、本質的な話ができたよね。いやぁ、楽しかったな。

― 普段聞けない話がたくさん伺えて楽しかったです。長時間ありがとうございました。




トロンボーンパートの皆さんと



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【Returns!団員の素顔に迫る その11 中編】


こちらの記事は、【Returns!団員の素顔に迫る その11 前編】演奏スタッフチーフ&ドリルスタッフチーフ対談の続きです。



ドリルスタッフチーフの酒巻さん(左)と演奏スタッフチーフの池田さん(右)


■二人がReturns!に関わったきっかけ

― お二人がReturns!に関わったきっかけを教えて下さい。

酒巻:4年生で出た合演で非常に好評を得て、バブルの時代に会社に入って浮かれていて、お立ち台で扇子を振ってはいませんでしたけど、それに近い状態に埋没し。まあ、それはいいんだけど(笑)。一方で、今更、応援団の先輩や後輩とどう接したらいいのか距離感が分からなくなっちゃって、25年くらい自然消滅的に応援団関係の人たちから身を引いていたと思うんです。
そんな中で、4年半前に工藤から突然声をかけられて。アイツもいい根性していると思うけど(笑)。それで、工藤、小沼(慶應大学 平成3年卒)、迫さん(早稲田大学 昭和63年卒)で新橋で会ったんだよね。

― 工藤さんとは面識はありましたか。工藤さんは酒巻さんがドラムメジャーの時の合演ドリル隊には出てないですよね?

酒巻:僕がサブの時の2年で、一緒にドリル隊に出ていたからもちろん知ってはいたよ。でも、そんなにしゃべったことはない。それで、会ったら、急に「ドリルをやりたいんです。ドラムメジャーをやってください」と言われて。呼ばれた時点で何かあると思っていたけど、それまでほとんどしゃべったことがない僕と迫さんに向かって、「二人の力が必要なんです」と。

池田:それはすごいですね。言われた時、最初どう感じたんですか。

酒巻:僕も、応援団と距離を置いていたことに対して違和感があったというか、当時に対するわだかまりがあったんだよね。あれは一体何だったんだろうって。時々、後輩と会うと、「酒巻さんのアルヴァマー知ってます」とか「何百回観たか分かりません」みたいなことを言われるわけ。

― 酒巻さんの「アルヴァマー」に出ていない人やライブで観ていない人が言ったりしますよね(笑)。

酒巻:「あなたが酒巻さんですか」とか言われちゃったりして。

池田:そうなんですよ。何か有名人ですよね(笑)。

酒巻:そう言われちゃうと、何言っていいか分からないから、もうカッコつけるしかなくなって(笑)。

一同爆笑

池田:あはは、なるほど(笑)。

酒巻:それで、OB会とかにも余計行きづらくなっちゃって。

池田:行ったら、また言われちゃうから(笑)。

酒巻:そんな時に工藤から「ドラムメジャーをやって下さい」という話が突然あって。工藤は大きな病気をしていて、それが理由と言っていいのか分からないけれど、そういう状況下だったから、「じゃあ、やるか」って。
「ドリルやるの?!」「迫さん、コマ描きます?」「じゃあ描くかぁ」「コマねぇ。55センチかぁ。あれなぁ」って盛り上がったね(笑)。



迫さんは、ドラムメジャーとして、第一回演奏会ドリルステージのメインを担当されました


― では、池田さんがReturns!に関わったきっかけを聞かせて下さい。

池田:大学を卒業してから吹奏楽とは全く離れていたんですが、4年前にたまたま娘の高校の合唱部の文化祭ステージに行ったんです。最初は学生の指揮者が振っていて、別にどうということはなかったんですが、その後、顧問の先生が指揮をした時、明らかに音が変わって、同じ人が歌っているとは思えないほどの違いに衝撃を受けました。「ああ、指揮っていいよな、またやってみたいなぁ。でもやらせてくれるところなんかないよなぁ」と何となく思ったんです。ところが、その10日後くらいに小沼さんから突然「OBバンドを立ち上げようとしているんだけど、君を指揮スタッフとして推薦したい」というメッセージが来たんです。ドラマみたいなホントの話(笑)。

酒巻:それはすごいね。

池田:あまりにもビックリして、その2日後に小沼さんにお会いして、これも運命だなと思って関わることにしました。「ホルン吹かない?」って誘われていたら、入っていなかったと思います(笑)。で、今に至ります。はしょり過ぎですか(笑)?


■二人の出会い

酒巻:演奏会の打ち上げの時に「NOVENA」の話をしてくれてありがとう。


打ち上げで「NOVENA」のエピソードを語る池田さん


池田:その話を今日はぜひしたいんですよね。

酒巻:そう、それ本当によく覚えているんだよね。Returns!設立前のプレイベント「とり六(とりあえず六大合演)」初回の演奏の日の「NOVENA」。(2015年9月12日)

池田:その演奏の日の打ち上げで、初めて酒巻さんと話をしたんですよね。「NOVENA」の通しの時に酒巻さんが足元にあった水筒を蹴飛ばしたんですよ。録音にカランって音が入ってる。

酒巻:本当に感極まっちゃったんだよね。

池田:そう。そう言ってくださったんですよ。

酒巻:いやあ、あれは本当にいい演奏だったよ。現役の時、東大って編成が小さいんですよ。25人とか。パートコンバートして、パーカッションをやったこともあるし。演奏会になると、他大からエキストラを頼んだりしてね。だから、あんまり卑下するわけじゃないんだけど、50人ぐらいのフル編成で演奏するのって、あの時が初めてだったんだよ。僕は合演の演奏隊に出てないし。で、その「NOVENA」をやった時に、池田君が福音の鐘が宗教的でどうとかこうとか、曲の解説をしたんだよね。ああ、この曲こんな意味があるんだなぁ、と。この曲はもともとドリルの曲として知っていたんだけどね。



2年の春合宿でトロンボーンからパーカッションにコンバート


池田:酒巻さんは、この曲を大吹連(東京都大学吹奏楽連盟)の合演のドリルステージで初めて聞いたんですよね。

酒巻:そう、大学1年生の時。

池田:だから、酒巻さんにとっては「NOVENA」はもともとドリル曲という認識だったんです。それを演奏の「NOVENA」として体験したときに何か違ったんですよね?

酒巻:そうなんだよ、違ったんだよ。

池田:それから、ドリルの「NOVENA」と演奏の「NOVENA」の話をずっとしたんです。それは、すごくよく覚えてる。それが、酒巻さんとの最初の出会い。

― ドリルと演奏、何が違ったんですか。

酒巻:あまりほめても仕方がないんだけど、曲についてこういう説明を練習でするんだと思って。しかもあんなに時間のない中で。

― あはは。結構、しゃべってましたか。

池田:全部で1時間ぐらいの練習だったかな。そして、最後に曲を通して終わり。半分ぐらいはしゃべってたかも(笑)。

― でも、みんなを休ませる意味もあったんでしょ?

池田:うん。その時、ほとんどの人はブランクうん十年って感じだったから、吹けないし。スタミナないし(笑)。

酒巻:それこそ、あれは初日だもんな。

池田:しかも、初日の一発目。



とり六での「NOVENA」の演奏練習


■「NOVENA」は酒巻さんにとって様々な縁のある曲だった

酒巻:1年生の大吹連の合演って12月だったんだけど、その時ドリルで「NOVENA」を観て、ドリルってこういう動きが出来るんだって衝撃的だったんだよな。それが、その後の「アルヴァマー序曲」に繋がっていくんだけど。自分がはじめてドリルを見たのは、その年の6月、坂野さんがドラムメジャーだった第13回の六大合演。本当に衝撃だったね。今でも鮮明に覚えてるし、昨日のことのように語れる。語り始めたら、2時間はいけるね(笑)。それで、「とり六」のイベントの時に坂野さんと初めてお話しするチャンスがあって。

池田:えっ、坂野さんとはその時はじめてお話したんですか。

酒巻:そうだよ。自分が1年の時の4年だから、現役時代には話をする機会はないよね。「坂野先輩、僕は先輩が4年の時のNOVENA、本当によく覚えているんです」と伝えたら、「NOVENAの操作を付けたのは、当時ガードチーフだった俺の嫁だ」という話になって。

池田:へえ、それは面白いですね(笑)。

酒巻:その時は、おべんちゃら成功したと思ったよ(笑)。

池田:本当に「NOVENA」って、酒巻さんにとって色々な縁のある曲だったんですね。
ちなみに、僕は酒巻さんとは現役時代に全く接点がなくて。ドリル隊も出ていないし。ドリル隊に出ていた同期が、「アルヴァマー、アルヴァマー」って言うから、「酒巻さんはアルヴァマーの人」みたいな印象しかなかった。

酒巻:そうだよな。別に他に用事もないし(笑)。

池田:その「ドリルの人」酒巻さんが、今日の「NOVENA」の演奏良かったよ!って、言ってきてくれたのが本当に驚きだったんですよ。

酒巻:いや、だって、本当に面白かったから。あと、次の「とり六」(2016年2月13日)でやった基礎合奏の「ふるさと」も良かったな。あれも和音をきっちりはめていく感じ。トロンボーンってハーモニーが気持ちがいいからね。ちょっと泣く感じになるんだよね。本当に気持ちよく合奏ができた...そんなことを思ったなぁ。


基礎合奏で「ふるさと」を演奏した回のとり六


池田:でも、その頃はまだバンドを作る前で、ドリル隊と演奏隊でメンバーを分けるという方針でしたよね。だから、酒巻さんは、その時点ではドリルだけをやる人だったじゃないですか。その後、みんなで演奏、ドリル両方やるという方針に変わっていったわけですけど、酒巻さんはドリルだけではなく演奏もやるってことをどう思っていたんですか?

酒巻:ちょっと話がずれるかもしれないけれど、僕は、ドリルってそんなに根詰めてやるもんじゃないって思ってるんですよ。工藤とは元々はそんな話をしていて、今でも覚えてくれていて、そういう意味では工藤もジレンマなのかもしれないけど、草野球みたいなドリルをやろうって言ってたの。みんなで、ある日の朝、楽器1本持って集まって、夕方までに1曲やるっていう、あの「とり六」の「AWAKE」をやったときのような、ああいう感じのことの方がよくないかと。演奏会に向けて1年かけてしっかり暗譜して、上手い人とそうでない人がいてキリキリやるような感じじゃなくて、みんな1日でやるっていう感じ。そんなことを思っていただけに、演奏も一緒にやるっていうのが、ドリルだけをやることの妨げになるみたいな考えは全然なかったんだよね。むしろ、ドリルってもっとライトにやりたいって今でも思っているところもあるし。

池田:じゃあ、実際に演奏もドリルもやるとなった時に、そこに対する抵抗はなかったということですか。

酒巻:全然ないよ。だって、演奏は暗譜しなくていいし、コマ覚えなくていいし(笑)。

池田:そこですか(笑)。

酒巻:むしろ、ドラムメジャーをやりながらメンツをやる方がしんどいよな。

― 現役の時はありえないですからね。

酒巻:実は、暗譜はトロンボーンの暗譜係の二村(東京大学 平成4年卒)に任せていて(笑)。言い訳がましいんだけど、まあ自分の立場って、言ってみれば監督・プロデュース・出演でしょ。ジャッキー・チェンってすごいよなって。あの人って脚本家でもあり、監督でもあるじゃない。そして、出演者としてビルの屋上のはじっこで戦ったりしている。全部やっているわけ。僕はできないよなぁって。だから、ジャッキー・チェンへの尊敬の念が他の人とちょっと違うんだよね(笑)。



ドラムメジャーと一緒にコマに乗れるのはReturns!ならではの特典?!


― ドラムメジャーがメンツを兼ねているのは、メンツの人数が少ないからなんですか。

酒巻:それは何か「メンバーに対して示しがつかない感」って感じで、他のドラムメジャーと話して決めたんだよね。

池田:でも、それは指揮者からしてもそうですね。

酒巻:率先垂範みたいな?

池田:やっぱり、両方やってナンボみたいな。でも、演奏練習とドリル練習が同じ日にあると前日は結構きついですね。演奏練習の準備もやらなきゃ、でも、コマ覚えなきゃ、どっちやろうかなって。だから、練習が片方だけの日って嬉しいんですよ。そっちだけ集中してやればいいから。


指揮者もメンツを頑張っています!


■個人の力量を問わないところは、お互いに似ているかもしれない

酒巻:演奏練習って、長い期間の中で曲を作っていくのに、やっぱり積み上げていく道筋というか、プロセス設計みたいなのは考えているの?

池田:考えてますね。

酒巻:それって、その通りに行くものなの?

池田:行かないですね(笑)。でも、作っておかないと、立ち戻る場所がないから、どんどん不安になってくるんですよ。いきあたりばったりで行くと、本当に仕上がるのかなって。作っておけば、それとずれてることがわかるから、その時点から作り直していけるじゃないですか。やっぱり、最後までの道筋ができていないと怖くて仕方がないので、自分の中でのゴールへの道筋は常に頭の中には作っておきますね。

酒巻:それは、個人練習でのレベルアップは期待値として含んで作っているの?

池田:それはほとんど考慮しないですね。そこはあんまり期待してない(笑)。まあ、してこないだろうなって。そういう前提で(笑)。

酒巻:それが池田の優しさだね。まあ、悪く言えば甘さというか。でもそれがいいよね。ドリルってなかなかそうならないんだよね。復習して覚えてこないとだめっていうか。それがどうしても前提になっているよね。だから、さっきの話じゃないけど、1日で仕上げる、予習も復習もいらないドリルというのができたらいいなとも思っちゃうんだよね。その日の朝にコマ表を渡して。今日はこの先輩が隣に来るんだとか、この人の後ろにいるんだとか。それもドリルの楽しさだよね。

池田:それは本当にその通りで、演奏も同じだと思うんですよね。今日来て、今日やって、今日楽しくて、終わり。また、次の回、来て、やって、楽しくて、終わり。という1日完結が積み重なっていった結果、本番になるっていうぐらいの感じがいいんじゃないかと思っていて。その合間合間に個人が練習してレベルを上げてくるというのは期待しないで、その日を作る方が何かいいなって思いますね。
で、本番の日はたまたまそこがホールだったので、いつもより真剣にやろうみたいな。まかり間違って、個人練習してきて上積みがあったら、それはそれでラッキーという感じ(笑)。

酒巻:それはそれで、なおよし。

池田:これ、おおっぴらに言っちゃうとみんな練習して来なくなっちゃうから、あまり言いたくないんですけどね(笑)。感覚としてはそういう感じですね。じゃないと、続かない気がするんですよ。そんなことを要求したら、みんな辞めちゃうんじゃないかって。うーん、そういうのはずっとありましたね。

酒巻:池田君は指揮する中で、いろんなプレーヤーの出来不出来を耳で聴けちゃうんだろうけど、意外と個人の力量を問わないよね。

池田:うーん、あんまり問わないですかね。

酒巻:そこが、あなたがこのバンドの指揮者に向いているところだよ。ドリルスタッフって、やっぱり何かシビアなんだよね。

池田:でも、酒巻さんはドラムメジャーの中では、かなり問わない方だと思う。僕なんかよりもよっぽど問わない感じがしますけどね。

― もともと、そうなんですか?

酒巻:本当は、もともとそうなんだと思う。現役の時も。と言いながら、後輩には厳しく接してたけど(笑)。僕と池田君はそういうところが、どこか似ているのかもしれないね。でも、このバンドはそういうぐらいでやっていかないとこっちも持たないかもしれないよね。

池田:そう、そこであんまりキリキリしちゃったら苦しい。たとえキリキリしたとしても、何も解決するわけじゃないし、つらいだけ。だから、いい意味で期待しないぐらいの方が、出来てた時に嬉しいじゃないですか(笑)。

酒巻:これあんまり書かない方がいいよ(笑)。ルーズになってもいけないから。

池田:でも、期待しないとはいっても、どこかで最後は仕上げてくるだろうっていう信頼はしている。だから、1回1回に過度な期待をしないってことなんでしょうね。と、一応フォロー(笑)。

― ちなみに、個人練習をしたくなるような全体練習って普段意識していましたか。

池田:それはかなり意識してましたね。個人練習してくることはあまり期待してないけど、してきた方が楽しいなって思うような演奏練習にしたいとは思っていた。だから、できないことは許容するけど、求めるものは高いです。例えば、譜面通りに吹けるかではなくて、その曲で何を表現したいかというイメージを共有して、そのためにはこういう音が必要で・・・という話をしたりします。あとは、今、吹けていないことはとがめないけど、吹けている前提で演奏練習を進めていますね(笑)。

― だからといって練習に付いていけないという感じではないので、その加減が絶妙なんですかね。



演奏練習の中で曲のイメージを共有する池田さん


池田:あとは、毎回の練習後にFacebookにその日の演奏の録音と所感を上げるようにしています。

酒巻:あれ、毎回大変でしょう?

池田:もちろん録音を上げるだけの方が楽でいいんですけどね(笑)。でも、自分の備忘録として書いておくという意味では自分のためでもあるんです。もう一つは、メンバーに対する指揮者からの要求というよりは、こうやったら次はもっと楽しいんじゃないかという楽しみ方のガイドみたいなものだと思っているんですよ。あとは各々好きに感じて、やりたいようにやって下さいという材料を提供している感じですかね。


■ドリルは神輿みたいなもの。最近そんな風に思う

酒巻:まあ、その辺はドリルと演奏の違いかもしれないね。でも、本当は理想的な状態っていうのは、毎回の練習が楽しいなって思っていて、どんどんそれが積み重なっていって、本番75点ぐらいで(笑)止まらない安心感の中でやって終わりというぐらいなのかな。ドリルって上手い下手じゃないんじゃないかと思うんだよね。板に付いているかどうかみたいな感じ。

池田:酒巻さんにとって、上手いドリルってどういう感じですか。

酒巻:横浜インスパイヤーズとか天理高校とか、きっちり揃って、きっちり動いてみたいな。でも、六大のドリルってそういうことじゃないんじゃないかなぁ。下手ぐらいで丁度いいってわけじゃないんだけど(笑)、まあ、上手くできる人もいて、上手くできない人もいて、それでもみんなでやっているという状態の方が、見てる人も楽しいんじゃないかって。

池田:なるほど。

酒巻:それこそ、神輿みたいなもの。現役当時はそんなこと思っていなかったんだけど、最近そんな風に思う。勇壮であればいいっていうか、神輿って上手い下手ってないじゃない?でも、見てて、ああいいなぁ、俺もやりたいなって思うでしょ。できそうだなっていうか。そういう感じの方が、僕たち六大のドリルとしてはいいんじゃないかって。見る側もそれを望んでるんじゃないかな。上手くなることは全く否定しないし、もちろんド下手だったり、あまりにも幼稚なものじゃだめだけど、その辺りは程度の問題でしょうね。そういう意味では、ドリルスタッフ内でも色々な考え方があったね。



ドリル練習の打ち合わせをするドラムメジャー陣


池田:そういう議論って、ドリルスタッフ内で結構されたんですか。

酒巻:結構したね。

池田:それはやっぱり、なかなか折り合わない感じだったんですか?

酒巻:折り合わないっていう言葉ともちょっと違うんだけど、お互いにリスペクトしているから、お互いの考え方を分かった上で、お互いの道を行こうっていう感じだったね。誰々がどうだこうだというとき、「まあ、あんまりそこは気にするなよ」とかって会話はあったねぇ。

― 酒巻さんは、そういうのは気にならなかったですか。

酒巻:いやあ、それは気にはなりますよ(笑)。

池田:それはそうでしょ。

酒巻:でもまあ、それもひっくるめてドリルかなぁと思っていたからね。だって、「酒巻のドリルも下手になっちゃったな」とか言われたとしても、まあいいじゃない。そんなこと言う人もいないだろうし。

池田:まあ、いないでしょうね。

酒巻:でも、スタッフによっては、やるからにはそれなりの品質や表現を追求していきたいという考え方の人もいて、それはそれで正しいとも思うし、それを否定するつもりもなくて。そんな価値観の違いをお互いに許容する感じかな。でも、今回はドリルスタッフ内でそういう議論が一番できたんじゃないかな。だから、それぞれに腑に落ちながらできたんだと思う。


3期のドリルスタッフミーティング。スタッフの皆さん、いつもありがとうございます!



【Returns!団員の素顔に迫る その11 後編】へ続く



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